二種免許の費用と取り方|結論

この記事の結論

普通二種(タクシー・ハイヤー)の教習所料金は、2026年秋時点の公表料金で税込20万〜28万円台(東京・埼玉・栃木の指定教習所4校の例)。大型二種(バス)は普通免許からで税込53万円台(埼玉の例)。
受験資格は原則「21歳以上・普通免許等3年以上」ですが、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・1年以上で受験できます(警察庁・2022年5月13日施行)。
2025年9月1日から普通二種の教習は学科17時限・技能12時限(従来40時限から29時限)に短縮され、最短教習日数は6日から3日になりました(警察庁)。
タクシー会社の多くは二種免許の取得費用を会社負担にしています(日本交通・大和自動車交通の公式採用ページで明記)。自費で取る場合は雇用保険の教育訓練給付(一般で20%・上限10万円)を使える講座があります。

二種免許(第二種運転免許)は、タクシー・ハイヤー・バスなどお客様を乗せて運賃を受け取る「旅客自動車」を運転するために必要な免許です。普通免許(第一種)とは別に試験があり、取り方は「公安委員会指定の自動車教習所に通う」か「運転免許試験場で直接受験する」かの2通りです。

この記事では、費用・受験資格・試験内容・教習時限・取得後の制度変更までを、警察庁・警視庁・厚生労働省・国土交通省と、指定教習所やタクシー会社の公式ページという一次情報だけで整理します。数字はすべて出典つきで、確認できない相場感や口コミは載せていません。

二種免許とは|種類・運転できる車・保有者数

二種免許には5種類あります。都道府県警察の案内では、大型二種は大型自動車、中型二種は中型自動車、普通二種は普通自動車を「旅客運送のために」運転できる免許と整理されています。タクシー・ハイヤーは普通二種、路線バス・観光バスは大型二種、マイクロバスは中型二種が対応します。

免許の種類運転できる車(旅客運送)主な仕事
普通第二種免許普通自動車タクシー、ハイヤー、介護タクシー、役員運転手
中型第二種免許中型自動車(マイクロバス等)送迎バス、コミュニティバス
大型第二種免許大型自動車(路線・観光バス)路線バス運転士、観光・高速バス運転士
大型特殊第二種免許大型特殊自動車雪上車等による旅客運送(限定的)
けん引第二種免許けん引自動車トレーラーバス等(限定的)

警察庁「運転免許統計(令和7年版)」によると、令和7年末の第二種免許の現在数は、大型749,150件、中型664,156件、普通169,395件、大型特殊37,765件、けん引41,469件です。普通二種は令和6年末の136,453件から約3.3万件増え、令和3年末(67,611件)から4年で2.5倍になりました。大型二種・中型二種が毎年減り続けているのと対照的で、タクシー業界の採用増と教習の短縮が普通二種の取得を押し上げている形です。

なお同統計の注記にあるとおり、複数の免許を持つ人は該当するすべての欄に計上されるため、上の数字は「免許の件数」であり「人数」ではありません。

二種免許が「必要な仕事」と「不要な仕事」

二種免許が必要なのは、旅客自動車運送事業(タクシー・ハイヤー・バス)で旅客を乗せて運転する場合です。一方、企業や施設の送迎で運賃を取らない場合や、自家用車活用事業(日本版ライドシェア)のドライバーは第一種免許で運転できます。ライドシェアは国土交通省の制度説明で「タクシー会社の管理のもとで一般ドライバーが有償で旅客を運送する制度」とされ、第一種免許と所定の研修が要件です。タクシーの求人はタクシードライバー求人、ライドシェアはライドシェアドライバー求人で探せます。

受験資格|21歳・3年が原則、特例教習で19歳・1年に

警視庁の「免許種別ごとの受験資格」では、第二種(大型・中型・普通)は21歳以上で、大型・中型・準中型・普通・大型特殊免許のいずれかを取得して経歴が通算3年以上の人、または他の二種免許を持っている人が受験できます。免許停止期間は経歴から除かれます。

2022年(令和4年)5月13日に道路交通法の改正が施行され、「受験資格特例教習」を修了した人は19歳以上・普通免許等1年以上で受験できるようになりました。警察庁の案内では、年齢要件の特例を受けるための教習は座学と実車を含む7時限以上、経験年数要件の特例を受けるための教習は29時限以上です。

区分年齢免許経歴追加の教習
原則21歳以上普通免許等を通算3年以上不要
年齢要件の特例19歳以上原則どおり(3年以上)受験資格特例教習 7時限以上
経験年数要件の特例原則どおり(21歳以上)普通免許等を通算1年以上受験資格特例教習 29時限以上
両方の特例19歳以上普通免許等を通算1年以上両方の課程を修了

特例教習を実施している教習所は都道府県ごとに異なり、警察庁は「お近くの都道府県警察の窓口に問い合わせを」としています。

適性試験(視力・深視力)の合格基準

二種免許は視力の基準が第一種より厳しく、警視庁の「適性試験の合格基準」では両眼で0.8以上、かつ一眼がそれぞれ0.5以上(眼鏡・コンタクトレンズによる矯正可)です。さらに深視力検査があり、三桿法の奥行知覚検査器で2.5メートルの距離から3回検査し、平均誤差が2センチメートル以下であることが必要です。教習所に申し込む前に、眼科で深視力を測っておくと安心です。

19歳で取った場合の「若年運転者期間」

年齢要件の特例で二種免許を取った人は、本来の年齢(二種免許は21歳)に達するまで「若年運転者期間」になります。警察庁の案内によると、この期間に違反点数が合計3点以上になると若年運転者講習(9時間)の受講が義務づけられ、受講しない場合や講習後に再び3点以上になった場合は特例で取得した免許が取り消されます。

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取り方は2通り|指定教習所に通うか、試験場で直接受けるか

取り方は、公安委員会指定の自動車教習所を卒業して技能試験を免除してもらう方法と、運転免許試験場で学科・技能の両方を直接受ける方法(いわゆる一発試験)の2つです。費用・期間・難易度が大きく違うので、先に比較表で押さえておきます。

項目指定教習所を卒業試験場で直接受験
技能試験免除(教習所の卒業検定)試験場で受験(合格基準80%以上)
学科試験試験場で受験(95問・50分・90%以上)同左
教習時限(普通二種・普通免許所持)学科17時限・技能12時限(2025年9月1日から)なし(練習は自己手配)
最短日数3日(警察庁)試験日程次第
取得時講習教習所の教習に含まれる技能試験合格後に別途受講(警視庁 30,300円)
東京都の試験手数料4,150円9,800円(再受験のたびに受験料・試験車使用料)

指定教習所|2025年9月から学科17時限・技能12時限、最短3日

警察庁は、タクシー業界からの要望を受けて2024年9月に有識者検討会を設置し、実験教習の結果「教習時限数を40時限から29時限に削減しても現行と同程度の教習効果がある」と判断しました。これを受けて関連する内閣府令等が改正され、2025年(令和7年)9月1日から普通二種の最低教習時限は合計40時限から29時限、最短教習日数は6日から3日になっています。改正後の内訳は、本記事で確認した指定教習所の料金表でも「学科17時限・技能12時限」と表示されています(普通免許所持の場合)。

教習所に通う最大の利点は、卒業証明書で技能試験が免除されることと、所内コースで鋭角コース・方向変換・縦列駐車といった二種特有の課題を練習できることです。仕事と並行する場合は、夜間や土日の予約枠があるかを確認してください。

直接受験(一発試験)|学科95問・技能80%以上・取得時講習

広島県警察の試験案内によると、二種免許の学科試験は95問(うち5問はイラスト問題)・50分で、合格基準は90%以上。出題範囲は国家公安委員会が作成する「交通の方法に関する教則」です。技能試験は減点式で、第一種の70%に対し第二種は80%以上の成績が必要で、課題には「鋭角コースの通過」「方向変換または縦列コースの通過」「道路における走行」が含まれます。

技能試験に合格しても、取得時講習(旅客車講習・応急救護処置講習など)を受けなければ免許証は交付されません。警視庁の案内では、直接受験の場合の講習受講料は30,300円です。試験車両の台数に限りがあるため、受験前に技能試験の可否を試験場に確認するよう案内されています。

費用はいくら|指定教習所の公表料金の例と試験手数料

教習所の料金は校ごとに違い、全国一律の相場はありません。ここでは2026年10月時点で公式サイトに料金を公表している公安委員会指定の自動車教習所から、条件を揃えて4校の例を示します。いずれも普通免許(第一種)を所持し、21歳以上・免許経歴3年以上の人が普通二種AT(または大型二種)を取る場合の税込総額です。追加教習・再検定・教科書代などは別途かかります。

教習所(所在地)免許所持免許時限数税込料金備考
新小岩自動車学校(東京都葛飾区)普通二種AT普通一種(取得後3年以上)公表なし253,000円MTは283,250円。通学
調布自動車学校(東京都調布市)普通二種AT普通一種(交付から3年以上)公表なし264,000円表示料金は税込。通学
羽生モータースクール(埼玉県羽生市)AT普通二種普通・AT普通学科17・技能12266,200円2026年8月1日料金表。通学
足利自動車教習所(栃木県足利市)普通二種AT普通AT/MT等学科17・技能12201,410円合宿4泊5日・宿泊3食つき。2026年9月1日から2027年5月31日入校分
羽生モータースクール(埼玉県羽生市)大型二種普通(MT)学科17・技能33531,450円AT普通所持は技能37時限・573,250円
羽生モータースクール(埼玉県羽生市)大型二種大型一種学科17・技能17353,650円中型一種所持は426,950円
足利自動車教習所(栃木県足利市)大型二種中型一種学科17・技能23390,500円合宿13泊14日。大型一種所持は6泊7日・327,030円

普通二種は通学で25万〜27万円台、合宿なら宿泊費込みで20万円台という水準です。大型二種は普通免許からだと技能33時限が必要で50万円台、すでに大型一種を持っていれば技能17時限で35万円前後まで下がります。バス会社の養成制度は、この差額を会社が負担する仕組みです。タクシーの求人はタクシードライバー求人、二種免許の養成制度ありの求人から探せます。

試験場で払う手数料(東京都の例)

警視庁の案内では、指定教習所を卒業した人の二種免許試験の手数料は4,150円(受験料1,800円、免許証交付料2,350円)。直接受験の場合は9,800円(受験料4,500円、試験車使用料2,950円、免許証交付料2,350円)で、不合格のたびに受験料と試験車使用料がかかり、合格後に取得時講習受講料30,300円が別途必要です。手数料は都道府県ごとに定められるため、他県では金額が異なる場合があります。

料金表に含まれない費用

各校の料金表には「追加技能教習」「再検定」「キャンセル料」が別建てで載っています。例えば新小岩自動車学校では追加技能1時限5,500円(税込)・再卒業検定8,250円(税込)、調布自動車学校では再技能検定6,600円・延長技能1時限4,840円、羽生モータースクールでは普通二種の追加教習1時限7,700円(税込)です。最短時限で卒業できない場合の上振れを見込んで、総額の1〜2割の余裕を持っておくと安全です。

費用を抑える3つの方法|会社の養成制度・教育訓練給付・特例教習

二種免許を自費で取る人は少数派です。タクシー会社の養成制度、雇用保険の教育訓練給付、受験資格特例教習の3つを知っておくと、負担を大きく減らせます。

方法1:タクシー会社の養成制度(取得費用を会社が負担)

大手タクシー会社は、一種免許で入社した人に二種免許を取らせる「養成」を前提に採用しています。公式採用ページで確認できる例は次のとおりです。

  • 日本交通:採用Q&Aで「入社される方の約8割は入社後に二種免許を取得」「二種免許の取得費用は日本交通が全額負担」と明記。
  • 大和自動車交通:採用Q&Aで「入社される方の9割は一種免許で入社して、研修期間中に二種免許を取得」「取得費用も全額負担」。未経験者中途採用の募集要項には「第二種運転免許取得費用 会社全額サポート」「未経験者は乗務開始後12カ月間は給与保証」と記載。

養成制度を使う場合は、教習中の給与の有無、取得後一定期間内に退職した場合の費用返還の規定、配属や勤務形態(隔日勤務か日勤か)の条件を募集要項で確認してください。会社ごとの条件は採用企業別ページ、養成制度のある求人は二種免許養成制度ありの求人にまとめています。

方法2:教育訓練給付(雇用保険)

厚生労働省の教育訓練給付制度では、指定講座を修了すると教育訓練経費の一部が支給されます。給付率は講座の区分で決まり、一般教育訓練は経費の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)で、資格取得後1年以内に雇用保険の被保険者として就職すると50%(上限25万円)に引き上げられます(令和6年10月以降に開講する講座)。二種免許の教習が指定講座になっているかは教習所ごとに違うため、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」か教習所の案内で確認し、受講前にハローワークで手続きを進めます。

受給には雇用保険の加入期間などの要件があり、在職中でも使えます。自費で取ってから転職する人は、申請期限(修了日の翌日から1か月以内)を逃さないよう注意してください。

方法3:受験資格特例教習(19歳・経歴1年から)

21歳・3年を待たずに取りたい人は、受験資格特例教習(年齢課程7時限以上、経験年数課程29時限以上)を修了することで早く受験できます。特例教習の料金は二種の教習料金とは別に設定され、実施校も限られます。早く乗務を始めれば、その分の収入が得られる点を含めて判断してください。タクシー運転者の年収は都道府県別の年収記事で整理しています。

取得後に関係する制度|地理試験の廃止・初任研修・ライドシェア・改善基準告示

二種免許を取ってタクシー・バスで働くときに関係する制度は、2024年に大きく変わりました。交通政策審議会自動車部会の中間とりまとめ(2024年5月15日)と各機関の公表資料から、確認できる変更点をまとめます。

  • 地理試験の廃止(2024年2月):東京・神奈川・大阪などの大都市部でタクシー運転者の登録に必要だった地理試験は、合格率が5割程度と難しく、カーナビの普及に合わないとして、タクシー業務適正化特別措置法に基づく省令が2024年2月に改正され廃止されました。東京タクシーセンターの案内では、2024年2月29日付国土交通省令第15号により東京地域の地理科目が廃止され、現在は「法令・安全・接遇」の試験(45問・36問以上で合格・合格証の有効期限2年)になっています。
  • 初任研修の期間要件の撤廃(2024年3月):雇入れ時の初任研修に課されていた10日間という期間要件が撤廃され、必要な科目を実施すればよいことになりました。
  • 日本版ライドシェア(自家用車活用事業)の開始(2024年4月):国土交通省の報道発表(2024年6月28日)で「本年4月にスタート」と記載。タクシー事業者の管理のもとで一般ドライバーが有償運送を行う制度で、第一種免許で参加できます。
  • 改善基準告示の改正適用(2024年4月1日):厚生労働省のタクシー・ハイヤー運転者向けリーフレットによると、日勤は1か月の拘束時間288時間以内・1日13時間以内(上限15時間)、隔日勤務は1か月262時間以内・2暦日22時間以内かつ2回平均21時間以内、休息期間は日勤で継続11時間以上を基本に9時間を下回らない、隔日勤務で継続24時間以上を基本に22時間を下回らない、と定められました。累進歩合制度は廃止とされています。

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取得までの流れ|申し込みから乗務開始まで

養成制度を使う場合と自費で取る場合で順番が変わります。一般的な流れを整理します。

  1. 受験資格と適性の確認:年齢・免許経歴・視力(両眼0.8・片眼0.5)・深視力(平均誤差2cm以内)を確認する。
  2. 入口を決める:会社の養成制度で取るなら先に採用選考、自費なら教習所の料金と教育訓練給付の指定講座かどうかを確認する。
  3. 教習所で29時限(普通二種・普通免許所持):学科17時限・技能12時限。最短3日、仕事と並行なら数週間。
  4. 卒業検定と学科試験:卒業証明書で技能試験が免除され、試験場で学科試験(95問・90%以上)と適性試験を受ける。
  5. 免許交付と社内研修:タクシー会社では法令・安全・接遇の研修と、東京など特定指定地域ではタクシーセンターの試験を経て乗務開始。

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出典・一次情報

本記事の数字と制度の記述は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月12日閲覧)。

料金・制度の変更について

教習所の料金は改定されることがあり、入校時期や所持免許で金額が変わります。手数料は都道府県ごとに定められています。申し込み前に必ず各校・各試験場の最新の案内で確認してください。本記事の料金はすべて閲覧日時点の公表値です。