タクシーは1日いくら稼げるか|結論

この記事の結論

タクシー1台が1日に稼ぐ売上の平均は、東京(特別区・武三地区)で61,476円、大阪府地区で39,206円、名古屋地区で38,148円です(法人タクシーの日車営業収入、令和6年度、全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2026」)。
国土交通省が公表した令和5年度の準特定地域の数字では、札幌交通圏38,136円、福岡交通圏39,664円、地方都市では2万円前後の地域もあり、地域差が大きいのが特徴です。
運転手が受け取るのは売上の一部です。歩合率60%前後で単純に換算すると、売上6万円の乗務なら約3.6万円になります(手当・控除を考えない計算例)。会社の公表例では、日の丸交通の配属直後の平均月42万円を月11乗務で割ると1乗務あたり約3.8万円です。

「タクシーは1日でいくら稼げるのか」には、2つの意味があります。1つは1日の売上(営業収入)、もう1つは運転手が1日分として受け取る給料です。統計で公表されているのは主に前者で、後者は会社の賃金制度によって変わります。

この記事では、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)と国土交通省が公表している「日車営業収入」の統計を中心に、売上の地域差と推移、売上から給料への換算の考え方を整理します。

日車営業収入とは|「1日1車当たりの平均営業収入」

タクシー業界で1日の売上を表す指標が日車営業収入(日車営収)です。全タク連の「TAXI TODAY in Japan 2026」は「1日1車当たりの平均営業収入」と定義しています。あわせて使われる実車率は「総走行距離に占める営業収入の対象となる走行距離の比率」、つまり走った距離のうちお客さまを乗せていた割合です。

注意したいのは、日車営業収入が車両1台あたりの数字だという点です。乗務員1人の1回の乗務の売上と同じ定義ではないため、自分の1日の売上の目安として使うときは「地域の平均的な水準」と考えるのが適切です。国土交通省は、特定地域・準特定地域の指定基準の一つとして「事業用自動車一台当たりの収入の状況」を使っており、日車営収はタクシーの需給を測る公的な指標にもなっています。

東京・名古屋・大阪の日車営業収入の推移(法人)

「TAXI TODAY in Japan 2026」(資料:ハイヤー・タクシー年鑑2026)のグラフに記載された数値です。

年度東京都(特別区・武三地区)愛知県(名古屋地区)大阪府(大阪府地区)
平成30年度51,466円33,167円31,965円
令和元年度51,181円33,333円31,596円
令和2年度37,865円23,899円24,992円
令和3年度42,316円26,906円27,037円
令和4年度55,486円34,700円33,985円
令和5年度61,415円38,305円37,787円
令和6年度61,476円38,148円39,206円

新型コロナウイルスの影響を受けた令和2年度に大きく落ち込んだあと、3地域とも令和4年度にはコロナ前を上回り、令和6年度は東京で令和元年度より約1万円高い水準です。全タク連は令和7年賃金構造基本統計調査の解説で、賃金増加の背景に「令和4年以降の運賃の引上げやアプリ利用率の増加等を背景とした売上の増加」を挙げています。

同じ資料の令和6年度の実車率は、東京47.5%、大阪45.0%、名古屋42.5%です。走行距離の半分弱がお客さまを乗せている時間で、残りは空車で次のお客さまを探している時間ということになります。

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全国の地域差|準特定地域の日車営収(令和5年度速報値)

国土交通省は2024年7月31日、タクシー事業の準特定地域について、日車営収や日車実車キロなどの令和5年度の実績(速報値)を公表しました。主な地域を抜き出すと次のとおりです(平成13年度の値も同資料に掲載されています)。

交通圏日車営収(令和5年度)日車営収(平成13年度)日車実車キロ(令和5年度)
特別区・武三交通圏(東京)61,443円51,326円116.6km
京浜交通圏(神奈川)45,041円44,008円83.8km
福岡交通圏39,664円35,144円91.5km
大阪市域交通圏38,775円31,712円83.1km
札幌交通圏38,136円37,866円87.2km
広島交通圏35,390円33,287円76.5km
神戸市域交通圏35,034円28,765円74.2km
京都市域交通圏34,332円26,853円76.5km
沖縄本島33,457円24,098円110.0km
仙台市26,710円35,887円60.2km
宮崎交通圏22,474円18,710円56.5km
徳島交通圏19,140円19,432円55.2km

東京と地方都市では1日の売上に3倍前後の開きがあります。同じ東京でも、全タク連資料の令和5年度(61,415円)と国土交通省の速報値(61,443円)は資料ごとに数字がわずかに違うため、引用するときは出典と年度をそろえてください。都市ごとの働き方の違いは都市別のタクシーの働き方にまとめています。

1日の売上から給料はいくらか|換算の考え方と計算例

歩合給中心の会社では、給料はおおむね「売上×歩合率」に、固定給や深夜・時間外の割増賃金などを組み合わせて決まります。歩合率を公表している会社は、日本交通62%、日の丸交通61.81%(2025年11月度)、三和交通50〜60%などです。売上だけを掛け合わせた単純な計算例は次のとおりです。

1乗務の売上歩合率50%歩合率60%歩合率62%
4万円2.0万円2.4万円約2.5万円
6万円3.0万円3.6万円約3.7万円
8万円4.0万円4.8万円約5.0万円
10万円5.0万円6.0万円6.2万円

この表は手当・控除・消費税の扱いを考えない計算例です。会社の公表値から逆に見ると、日の丸交通は「配属直後の方でも平均月42万円」としており、同社の隔日勤務の標準である月11乗務で割ると1乗務あたり約3.8万円になります。また三和交通は、年収1000万円以上のトップドライバーのある1日の乗務データとして「お客様数24組・走行距離340km・乗務時間19時間・売上約10万円」を公表しています。

統計では、令和7年賃金構造基本統計調査(全タク連集計)のタクシー運転者の月間給与は平均359,200円です。乗務回数の統計はないため1乗務あたりには直せませんが、月の平均から考えると1日の給料は「数万円」の水準にあることがわかります。

隔日勤務の「1日」は2日分

隔日勤務の1回の乗務は2暦日にまたがり、厚生労働省は「2労働日の勤務を一勤務にまとめて行うもの」と説明しています。三和交通の例の乗務時間19時間も隔日勤務です。隔日勤務の1乗務の売上と、日勤(1日8時間前後)の1日の売上は同じ物差しで比べられない点に注意してください。勤務形態の違いはタクシーの隔日勤務で解説しています。

1日の売上を左右する要素

  • 地域:上の表のとおり、東京と地方では日車営収に大きな差があります。
  • 実車率と乗車回数:空車で走る時間が短いほど売上は伸びます。神奈中タクシーは無線配車が月22万回以上、1乗務平均15回の乗車回数と公表しています。
  • 配車アプリ・無線:三和交通は1日に乗車する客の約70%を無線・アプリ配車で獲得(2023年実績)、日の丸交通は複数の配車アプリと自社無線を使えると説明しています。
  • 時間帯:深夜は割増運賃がかかるため、深夜に走る勤務形態ほど売上が上がりやすい構造です。全タク連も「売上が高い隔日勤務や深夜勤務」と表現しています。

1日の流れはタクシー運転手の仕事内容と1日、月収に直した場合の目安はタクシーの月収50万を参照してください。求人はタクシードライバー求人、地域別はエリア別の求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の数字は次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。

数字の扱いについて

日車営業収入は車両1台・1日あたりの平均で、乗務員個人の売上ではありません。給料の換算表は歩合率だけを掛けた計算例で、実際の給与計算とは異なります。