タクシー運転手の仕事内容と1日|結論
この記事の結論
タクシー運転手の1日は、出社して点呼(アルコール検知器による酒気帯びの確認、健康状態の確認)と車両の日常点検を受け、出庫して営業し、帰庫して点検・洗車・日報と売上の精算をして終わるのが基本の流れです。点呼と業務記録は旅客自動車運送事業運輸規則で義務づけられています。
営業の方法は、道を走ってお客様を見つける「流し」、駅や専用乗り場での待機、無線配車、スマートフォンのアプリ配車の組み合わせです。
勤務形態は大きく2つで、隔日勤務は1回で2日分を働き(大手の例で拘束17時間前後・休憩3時間)、翌日は明け番で休み。日勤(昼日勤・夜日勤)は1回7〜8時間の勤務を月20〜24回ほど行います。
タクシー運転手の仕事は「運転」だけではありません。安全のための点呼と点検、売上を作るための営業、お客様への接客、運賃の収受と精算、法令で決められた記録まで、1回の勤務の中に多くの業務が含まれます。
この記事では、日本交通・大和自動車交通・国際自動車(kmタクシー)の公式採用ページに載っている1日の例を中心に、国土交通省の旅客自動車運送事業運輸規則、厚生労働省の改善基準告示、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の資料で裏づけながら、仕事の中身と1日の流れを整理します。時刻は会社が示している例で、営業所や時期によって変わります。
仕事内容の全体像|出庫前から帰庫後まで
1回の勤務で行う業務を、順番と根拠とあわせて一覧にしました。
| 順番 | 業務 | 内容 | 根拠・公式ページの記載 |
|---|---|---|---|
| 1 | 乗務前の点呼 | 酒気帯びの有無(アルコール検知器を使用)、疾病・疲労・睡眠不足の有無、日常点検の実施を報告・確認し、運行の指示を受ける | 旅客自動車運送事業運輸規則第24条 |
| 2 | 車両の日常点検 | オイル量など出庫前の点検。カーナビのチェック | 日本交通「オイルの量を確かめるなど、ごく簡単なもの」 |
| 3 | おつりの準備 | 両替機で乗務前に準備。キャッシュレス決済が増え両替の回数は減少 | 大和自動車交通 採用FAQ |
| 4 | 営業 | 流し、駅・専用乗り場での待機、無線配車、アプリ配車 | 日本交通・大和自動車交通 採用ページ |
| 5 | 接客と運賃の収受 | 行き先の確認、ルートの相談、現金・カード・電子マネー・チケット等での精算 | 各社の接客マニュアルで研修 |
| 6 | 休憩・仮眠 | 隔日勤務では1回3時間ほど | 日本交通・大和自動車交通・国際自動車 |
| 7 | 業務の記録 | 旅客が乗車した区間、業務の開始・終了時の走行距離などを記録 | 運輸規則第25条第3項 |
| 8 | 帰庫後の処理と点呼 | 点検、洗車、乗務日誌、クレジットカード・タクシーチケットの処理、乗務後の点呼で酒気帯びの確認 | 日本交通「一日の流れ」、運輸規則第24条第2項 |
運輸規則第24条は、点呼で酒気帯びの有無を確認する際に「運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない」と定め、点呼の記録は1年間保存されます。日本交通の採用ページは「アルコール反応が少しでも出た場合はその日一日仕事をすることはできません」と説明しています。
隔日勤務の1日|日本交通の例
都市部のタクシー会社で多いのが隔日勤務です。日本交通は採用ページで「タクシードライバーの多くは隔日勤務という勤務体系を選びます」とし、1日の勤務時間は15.5〜18時間、その間に3時間ほどの休憩・仮眠が入ると説明しています。同社が「一日のスケジュール例」として示している流れは次のとおりです。
| 時刻 | 業務 | 公式ページの説明 |
|---|---|---|
| 14:00 | 出社、車両点検 | まずアルコール検査、その後に車両点検、カーナビのチェック、点呼 |
| 15:00 | 出庫 | 点呼が終わると出庫。専用乗り場や無線配車が強い味方 |
| 20:00 | 休憩・仮眠 | 夜に備えて休む。1日に3時間の休憩を義務づけ |
| 21:00 | 営業再開 | 会食を終えたお客様などを輸送 |
| 0:00 | 法人チケットによる輸送 | 法人チケットで1回の運行が数万円の売上になる場合もある |
| 10:00 | 点検、洗車、仕事終了 | 営業所に戻り点検・洗車、乗務日誌、クレジットカードやタクシーチケットの処理 |
同じページの「乗務員の一週間」の例では、月曜・水曜・金曜が出番(勤務日)、火曜・木曜・土曜が明番(勤務日の明けの休日)、日曜が公休となっています。同社は「勤務日の翌日は必ずお休み」「法定外の残業は禁止」としています。
大和自動車交通の募集要項では、隔日勤務は月12〜13回乗務、基本7:45〜翌1:00(休憩3時間)で、出勤時間の違いで5種類の勤務体系があるとしています。国際自動車の採用サイトは隔日勤務を1勤務15.5時間(例 8:00〜2:30、休憩3時間)と案内しています。開始時刻は会社や勤務体系で大きく異なります。
タクシー運転手の求人をチェック
求人一覧を見る日勤(昼日勤・夜日勤)の1日|1回7〜8時間
日勤は1日単位で働く勤務形態で、厚生労働省の改善基準告示では昼日勤も夜日勤もこの区分に入ります。大手の公式採用ページの例は次のとおりです。
| 会社・勤務 | 時間の例 | 月の乗務回数など |
|---|---|---|
| 大和自動車交通 昼間勤務・夜間勤務 | 1乗務7.125時間(例 6:45〜15:52、休憩2時間を含む) | 月24回乗務 |
| 大和自動車交通吉祥寺 夜日勤務 | 1日8時間勤務(例 21:00〜翌7:00、休憩2時間) | 月20回乗務(土日休み) |
| 国際自動車 日勤 | 1勤務7.75時間(例 7:00〜15:45、休憩1時間) | 月の労働時間170.5時間(年2回は186時間) |
日勤の場合も、出社して点呼・点検を受け、出庫して営業し、帰庫して点検・精算・乗務後の点呼を受けるという流れは隔日勤務と同じです。改善基準告示では、日勤の1日の拘束時間は13時間以内(延長する場合も上限15時間)、勤務と勤務の間の休息期間は継続11時間以上を基本に9時間を下回らないこととされています。勤務形態ごとの違いはタクシーの夜勤と日勤の違いで詳しく比べています。
お客様の見つけ方|流し・乗り場・無線・アプリ
タクシーの売上は、お客様を乗せている時間をどれだけ増やせるかで決まります。お客様の見つけ方は4つに分けられます。
- 流し:道路を走りながら手を挙げたお客様を乗せる方法。地域や時間帯によってお客様の多い場所が変わります。日本交通は営業所ごとに時間帯別のお客様が多い道やエリアを集計し、社内の勉強会で共有していると説明しています。
- 乗り場での待機:駅やホテル、病院などのタクシー乗り場で順番を待つ方法。日本交通は自社の専用乗り場を強みとして挙げています。
- 無線配車:配車センターからの指示でお客様のもとへ向かう方法。日本交通はグループで月間平均60万回以上の無線配車実績があり、GPSカーナビ対応のデジタル無線でお客様に一番近い車両が配車されるとしています。
- アプリ配車:全タク連の「TAXI TODAY in Japan 2026」は、スマートフォンのアプリによる配車サービスが広がり、令和元年10月からは配車アプリを活用した事前確定運賃のサービスが始まったと紹介しています。大和自動車交通は、AIを活用した需要予測システムを全車に搭載し、無線配車・アプリ配車でも注文が入ると説明しています。
全タク連は令和7年のタクシー運転者の賃金が前年比8.7%増えた背景の一つに「アプリ利用率の増加等を背景とした売上の増加」を挙げています。配車の仕組みが充実している会社ほど、経験の浅い時期でも空車の時間を減らしやすいといえます。売上と年収の関係はタクシー運転手の年収を上げる方法で解説しています。
1か月の働き方|乗務回数と休日
1か月単位で見ると、勤務形態による違いがはっきりします。改善基準告示の上限と、会社の公表例を並べます。
| 項目 | 隔日勤務 | 日勤 |
|---|---|---|
| 1か月の拘束時間の上限 | 262時間(労使協定で270時間まで、年6か月まで) | 288時間 |
| 乗務回数の例 | 月12〜13回(大和自動車交通) | 月20〜24回(大和自動車交通・同吉祥寺) |
| 休日の例 | 月6〜7日。明け休を合わせ月18〜19日分が自分の時間(大和自動車交通) | 会社の勤務割による |
| 休日の長さ(改善基準告示) | 休息期間22時間+24時間=46時間 | 休息期間9時間+24時間=33時間 |
シフト制のため、日本交通は「一か月前に申告すれば考慮することができます」とし、運動会や法事の休み、連休の設定も可能と説明しています。大和自動車交通も「シフトを調整して勤務日を変えられます」としています。
仕事に必要な資格と研修
タクシー運転手として営業するには普通第二種運転免許が必要です。大手の多くは入社後に会社負担で取得させており、日本交通は「入社される方の約8割は入社後に二種免許を取得」、大和自動車交通は「9割は一種免許で入社」と記載しています。費用と取り方は二種免許の費用と取り方をご覧ください。
制度面では2024年に変更がありました。国土交通省の交通政策審議会の中間とりまとめ(令和6年5月)によると、東京・神奈川・大阪などの大都市部でタクシー運転者の登録に必要だった地理試験は令和6年2月の省令改正で廃止され、雇入れ時の初任研修の期間要件(10日間)も令和6年3月に撤廃されました。東京では現在、東京タクシーセンターが法令・安全・接遇に関する試験を実施しています。
会社の研修は、日本交通の場合、契約の公認教習所での学科・技能教習14日間、総合研修センターでの新人乗務員講習・営業所内教習など10日間、営業所配属後のベテラン乗務員(班長)による同乗指導という流れが示されています。接客は日本交通の「スタンダードマニュアル77」、大和自動車交通の「おもてなしハンドブック」のように、会社独自のマニュアルで学びます。
仕事の大変なところ|公式ページが挙げる点
会社の採用ページ自身が、仕事の大変な点にも触れています。
- 勤務の長さ:大和自動車交通は「1乗務あたり17時間15分(休憩3時間を含む)と長時間勤務」とし、そのぶん月18日以上の休日(明け休と休日)があると説明しています。
- 1年目の接客と地理:同社は「乗務を始めたばかりの頃は、接客と地理に苦労したという声を聞きます」とし、フォローアップ研修や地理勉強会を用意していると書いています。全車にカーナビを搭載していると日本交通・大和自動車交通・国際自動車がいずれも案内しています。
- 夜間の防犯:全タク連は、タクシーを対象とした強盗事件は夜間帯を中心に発生しているとし、防犯仕切板・防犯カメラ・緊急通報システムなどの対策を進めているとしています。
- 収入の変動:賃金は歩合給中心で、売上によって月ごとの収入が変わります。全タク連の資料(2026年10月の訂正版)では、所定内給与額(月額)が下位10%で174,700円、上位10%で466,000円と、同じタクシー運転者の中でも差が大きくなっています。
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出典・一次情報
本記事の記述は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。
- e-Gov法令検索「旅客自動車運送事業運輸規則」(第24条・第25条) laws.e-gov.go.jp
- 厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示」リーフレット(2024年12月) mhlw.go.jp(PDF)/同ポータルサイト 解説資料 driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp(PDF)
- 全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2026」 driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp(PDF)/「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」 taxi-japan.or.jp(PDF)
- 国土交通省 交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会「中間とりまとめ」(令和6年5月15日) mlit.go.jp(PDF)
- 公益財団法人東京タクシーセンター「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」 tokyo-tc.or.jp
- タクシー会社の公式採用ページ:日本交通 一日の流れ・Q&A・給料制度・研修制度/大和自動車交通 採用よくあるご質問・未経験者中途採用 募集要項/国際自動車 kmタクシー採用サイト




