タクシー業界の市場規模の推移|結論
この記事の結論
タクシーの運送収入は令和6年度に1兆3,259億円で、ピークだった平成13年度の1兆9,338億円から約31%減っています(国土交通省)。
輸送人員は平成18年度の19億4,110万人をピークに、令和6年度は9億3,961万人(約52%減)です。コロナ禍の令和2年度に7億5,182万人まで落ち込んだ後は回復していますが、令和元年度(12億1,888万人)の水準には戻っていません。
一方で、1日1両あたりの営業収入(日車営収)は令和6年度に38,003円と、令和元年度より約21%高くなっています。全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)のサンプル調査では、2025年10月以降、営業収入が2019年の同じ月を上回る月が出ています。
地域別では、東京の特別区・武三交通圏の法人タクシーだけで令和6年度の運送収入が4,031億円あり、乗客は減っても1両あたりの年間運送収入は約1,480万円とコロナ前を上回っています。
「タクシー業界は縮小している」と言われますが、数字で見ると、乗る人の数は長く減り続けている一方、1台が1日に稼ぐ金額は過去より高い水準にあります。
この記事では、国土交通省・関東運輸局と全タク連の公表資料だけを使い、市場規模(運送収入)と輸送人員の長期推移、1台あたりの収入、地域別の規模、収入の構造を整理します。運転者数の推移はタクシー不足の現状で詳しく扱っています。
市場規模の長期推移|運送収入は約31%減、輸送人員は約52%減
国土交通省 物流・自動車局旅客課の資料「タクシーを巡る諸情勢について」(令和7年9月12日)は、タクシー事業の長期の動きを次のようにまとめています。
| 指標 | ピーク | 令和6年度 | ピークからの変化 |
|---|---|---|---|
| 運送収入 | 1兆9,338億円(平成13年度) | 1兆3,259億円 | 約31%減 |
| 輸送人員 | 19億4,110万人(平成18年度) | 9億3,961万人 | 約52%減 |
| 延べ実働車両数(1日ごとの稼働車両数の1年分の合計) | 6,502万両(平成15年度) | 3,489万両 | 約48%減 |
| 日車営収(1日1両あたりの営業収入) | 平成13年度30,951円、平成21年度に26,006円まで減少 | 38,003円 | 令和元年度より約21%増 |
市場の大きさを示す運送収入は約3割減にとどまっているのに対し、乗る人の数は半分になっています。乗客1人あたりの運送収入が上がったことと、走る車の数が減った分だけ1台の稼ぎが増えたことが、この差に表れています。同資料は、日車営収が平成21年度を底に回復し、改正タクシー特措法が施行された平成26年度は28,950円、令和6年度は38,003円になったと説明しています。
この数字は法人タクシーの集計
国土交通省「タクシー事業の現状について」(平成28年)の法人タクシーの推移グラフの値(平成18年度の輸送人員194,110万人、平成13年度の日車営収30,951円など)が上の表と一致するため、上の表は法人タクシーの集計と読めます。同資料の平成28年3月31日現在の全国値(ハイヤー・福祉限定事業者を除く)では、営業収入は法人1兆5,019億円・個人1,326億円で、個人タクシーは全体の約8%でした。
全タク連の「TAXI TODAY in Japan 2026」は、別の統計(ハイヤー・タクシー年鑑2026、自動車輸送統計年報)をもとに令和6年度の営業収入を1兆3,300億円、輸送人員を10億5,100万人としています。
コロナ前後の推移|令和2年度に急減、運送収入は回復、乗客は8割程度
同じ国土交通省資料のグラフから、輸送人員と実車率(総走行距離のうちお客様を乗せて走った距離の割合)を年度別に並べます。輸送人員は毎年度タクシー事業者から報告される輸送実績の集計です。
| 年度 | 輸送人員 | 実車率 |
|---|---|---|
| 平成28年度 | 13億8,161万人 | 42.8% |
| 平成29年度 | 13億7,321万人 | 43.5% |
| 平成30年度 | 13億104万人 | 44.0% |
| 令和元年度 | 12億1,888万人 | 43.8% |
| 令和2年度 | 7億5,182万人 | 38.3% |
| 令和3年度 | 7億9,088万人 | 40.2% |
| 令和4年度 | 9億2,812万人 | 43.9% |
| 令和5年度 | 9億3,540万人 | 44.5% |
| 令和6年度 | 9億3,961万人 | 44.1% |
令和6年度の輸送人員は令和2年度の約1.25倍まで戻りましたが、令和元年度の約77%です。一方で実車率は令和4年度以降、コロナ前と同じかそれ以上の水準にあります。同資料は「シフトの見直しや効率的な配車により実車率が高水準に改善され、需要の回復に的確に対応している」と説明しています。運転者数(運転者証の交付数)は平成28年度306,847人、令和4年度231,938人、令和6年度241,810人で、減った担い手で需要をこなしている形です。運転者数の推移と人手不足対策はタクシー不足の現状にまとめています。
営業収入は2019年同月を上回る月が出てきた(全タク連のサンプル調査)
全タク連は、緊急に実施したサンプル調査として、営業収入の全国平均を2019年の同じ月と比べた数字を毎月公表しています。2020年4月は37.9%、5月は37.2%まで落ち込みました。その後、2023年12月は89.3%、2024年10月は98.6%、2025年10月に102.8%と初めて100%を超え、2026年は5月104.4%、7月105.6%、8月101.9%でした。運賃改定の時期は地域ごとに違い、同じ資料の都道府県別の表では、2026年でも2019年を下回る地域があります。
関東1都7県の法人タクシー|運送収入はコロナ前超え、乗客は約8割
関東運輸局管内(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬・山梨)の法人タクシーの輸送収入は、平成19年度の9,003億円が表中の最大で、令和元年度6,404億円、令和2年度3,817億円まで減った後、令和6年度6,605億円と令和元年度を約3%上回りました。輸送人員は令和元年度の4億7,800万人に対し、令和6年度は3億8,500万人(約81%)です。
タクシー運転手の求人をチェック
求人一覧を見る1台あたり・1人あたりの営業収入|縮む市場の中で上がる単価
市場全体が縮んでも、働く人にとって直接関係するのは1台あたりの売上です。公表値と、それを割り算した編集部の試算を並べます。
| 指標 | 以前 | 令和6年度 | 出典・計算 |
|---|---|---|---|
| 日車営収(全国) | 平成13年度30,951円、平成21年度26,006円 | 38,003円 | 国土交通省資料の公表値 |
| 法人タクシー1両あたりの年間運送収入(全国) | 約790万円(平成28年3月31日現在の公表値をもとに試算) | 約792万円 | 運送収入÷法人車両数(令和6年度は1兆3,259億円÷167,426台) |
| 日車営収(東京 特別区・武三交通圏の法人) | 令和元年度51,181円、令和2年度37,864円 | 61,476円 | 関東運輸局の公表値 |
| 1両あたりの年間運送収入(同) | 令和元年度約1,394万円 | 約1,480万円 | 運送収入÷車両数(編集部試算) |
| 乗客1人あたりの運送収入(同) | 平成19年度約1,252円、令和元年度約1,451円 | 約1,883円 | 運送収入÷輸送人員(編集部試算) |
全国の法人タクシーは、車両数が平成27年度末の190,127台から令和6年度の167,426台に減る中で、1両あたりの年間運送収入はほぼ同じ水準を保っています。東京の特別区・武三交通圏では、乗客1人あたりの運送収入がコロナ前より約3割高くなっています。運賃の改定(令和2年度以降に改定した運賃ブロックは99、令和7年9月11日時点)が大きな要因で、運賃の決まり方はタクシー運賃の仕組みで解説しています。
歩合給が中心の運転者にとって、日車営収の上昇は賃金に直結しやすい変化です。地域別の年収はタクシー運転手の年収(都道府県別)で確認できます。
事業者数・車両数の長期推移|法人はピークから約25%減、個人は約半分に
全タク連が公表している「全国の事業者数及び車両数の推移」(国土交通省調べ、年度末現在、法人は一般タクシーのみ)から主な年度を抜き出します。
| 年度末 | 法人タクシー事業者数 | 法人タクシー車両数 | 個人タクシー車両数 |
|---|---|---|---|
| 平成元年度 | 5,677 | 203,227台 | 47,221台 |
| 平成13年度 | 6,833 | 208,053台 | 46,117台 |
| 平成19年度 | 6,987 | 222,522台 | 44,769台 |
| 平成27年度 | 6,300 | 190,127台 | 35,883台 |
| 令和元年度 | 5,980 | 181,900台 | 31,150台 |
| 令和2年度 | 5,828 | 177,367台 | 29,649台 |
| 令和4年度 | 5,580 | 173,041台 | 26,979台 |
| 令和6年度 | 5,398 | 167,404台 | 25,009台 |
平成14年2月の参入・増車の規制緩和の後、法人タクシーの車両数は平成19年度の222,522台まで増え(平成13年度比で14,469台、7.0%増)、その後は令和6年度の167,404台まで55,118台(24.8%)減りました。「TAXI TODAY in Japan 2026」は、規制緩和以降に多くの地域で供給過剰が進み、運転者の労働条件の悪化などの問題が起きたため、特措法に基づいて供給過剰の是正に取り組んできたと説明しています。個人タクシーは平成元年度の47,221台から令和6年度の25,009台へ、ほぼ半分になりました。個人タクシーの開業条件は個人タクシーのなり方と条件で解説しています。
国土交通省資料の令和6年度の値(法人5,818事業者・167,426台、個人25,166台)は、集計方法の違いから全タク連の表と少し異なります。
地域別の市場規模|東京の特別区・武三交通圏だけで全国の約3割
関東運輸局の「一般乗用旅客自動車運送事業の都県別、年度別実績推移(法人)」から、令和6年度の地域別の数字を並べます。1両あたりの年間運送収入は編集部の試算です。
| 地域(法人タクシー) | 車両数 | 運送収入 | 日車営収 | 実働率 | 実車率 | 1両あたり年間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 特別区・武三交通圏 | 27,231両 | 4,031億円 | 61,476円 | 68.6% | 47.5% | 約1,480万円 |
| 東京都 多摩地区 | 2,987両 | 328億円 | 47,769円 | 63.4% | 43.3% | 約1,098万円 |
| 神奈川県 京浜交通圏 | 6,562両 | 697億円 | 46,488円 | 64.1% | 42.1% | 約1,062万円 |
| 神奈川県 その他の交通圏 | 2,842両 | 301億円 | 44,399円 | 70.9% | 44.6% | 約1,059万円 |
| 千葉県 | 5,572両 | 469億円 | 40,341円 | 60.6% | 42.3% | 約842万円 |
| 埼玉県 | 5,334両 | 445億円 | 42,445円 | 55.5% | 43.0% | 約834万円 |
| 茨城県 | 2,403両 | 122億円 | 28,281円 | 50.7% | 43.9% | 約509万円 |
| 栃木県 | 1,631両 | 85億円 | 30,343円 | 49.9% | 47.9% | 約522万円 |
| 群馬県 | 1,370両 | 72億円 | 28,328円 | 51.9% | 49.9% | 約524万円 |
| 山梨県 | 828両 | 52億円 | 30,287円 | 59.5% | 46.2% | 約629万円 |
特別区・武三交通圏の運送収入4,031億円は、国土交通省資料の全国の運送収入1兆3,259億円の約30%にあたります(編集部試算)。日車営収も実車率も地域で大きく違い、同じ1両でも年間の売上は東京23区と北関東で3倍近い差があります。実働率(保有車両のうち実際に稼働した割合)は特別区・武三交通圏でも平成10年度の86.7%から令和6年度は68.6%に下がっており、保有する車両のうち動いていない車の割合が増えていることがわかります。
関東以外では、国土交通省資料の地方の例で、令和6年度の運送収入は仙台市が130億2,958万円(輸送人員1,137万人)、静岡市周辺の静清交通圏が52億4,234万円(同441万人)、徳島交通圏が22億7,952万円(同174万人)です。都市ごとの働き方の違いは都市別のタクシーの働き方にまとめています。
東京 特別区・武三交通圏の法人タクシーの推移
| 年度 | 車両数 | 運送収入 | 輸送人員 | 日車営収 |
|---|---|---|---|---|
| 平成10年度 | 27,734両 | 4,494億円 | 3億5,967万人 | 53,085円 |
| 平成19年度 | 33,866両 | 4,771億円 | 3億8,105万人 | 50,414円 |
| 令和元年度 | 27,464両 | 3,827億円 | 2億6,371万人 | 51,181円 |
| 令和2年度 | 27,437両 | 2,176億円 | 1億5,351万人 | 37,864円 |
| 令和4年度 | 26,983両 | 3,421億円 | 2億1,294万人 | 55,486円 |
| 令和5年度 | 26,825両 | 3,833億円 | 2億1,198万人 | 61,415円 |
| 令和6年度 | 27,231両 | 4,031億円 | 2億1,412万人 | 61,476円 |
令和6年度の運送収入は令和元年度より約5%多く、輸送人員は約81%です。輸送人員は令和4年度以降ほぼ横ばいで、収入の伸びは乗客1人あたりの運送収入の上昇によるものと読めます。
収入構造|人件費率64.2%、10両以下の事業者が7割
「TAXI TODAY in Japan 2026」は、タクシー事業を「典型的な労働集約産業」とし、売上高に対する人件費の比率が64.2%(令和5年度、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」をもとに掲載)と他産業より高いことを示しています。売上の多くが乗務員の賃金に回る構造のため、日車営収の上昇は賃金に反映されやすい一方、需要が落ちると経営に直接響きます。
事業規模(令和6年度末、ハイヤーと福祉輸送限定事業を含む18,140社)は次のとおりで、ほとんどが中小零細企業です。
| 保有車両数 | 事業者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 10両まで | 12,970社 | 71.5% |
| 11〜30両 | 2,739社 | 15.1% |
| 31〜50両 | 1,034社 | 5.7% |
| 51〜100両 | 907社 | 5.0% |
| 101両以上 | 490社 | 2.7% |
収入の入口も変わり、国土交通省資料(全タク連調べ)では令和6年の配車アプリの配車可能車両数は98,642両、キャッシュレス決済の普及率は車両数ベースで92.4%です。流し・付け待ち・配車の違いは流し・付け待ち・配車の違いで解説しています。
求職者にとっての意味
市場全体は縮んだものの、1両あたりの売上は高い水準にあり、地域差が大きいというのが公表データの示すところです。地域の日車営収と、会社の歩合率・給与保証をあわせて見るのが確実です。会社選びの観点はタクシー会社の選び方、求人はタクシードライバー求人や東京都の求人、神奈川県の求人、未経験から始めるなら未経験歓迎の求人から探せます。
出典・一次情報
本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月14日閲覧)。「編集部試算」と書いた値は、公表値を割り算したものです。
- 国土交通省 物流・自動車局旅客課「タクシーを巡る諸情勢について」(令和7年9月12日、全国ハイヤー・タクシー連合会 労務委員会説明資料) taxi-japan.or.jp(PDF)
- 国土交通省「タクシー事業の現状について」(平成28年3月31日現在の全国値と法人タクシーの推移) mlit.go.jp(PDF)
- 関東運輸局 統計情報「令和6年度実績」 wwwtb.mlit.go.jp:「ハイヤー・タクシー関係年度別輸送実績推移」 PDF/「一般乗用旅客自動車運送事業の都県別、年度別実績推移(法人)」 PDF/「一般乗用旅客自動車運送事業の事業者数」 PDF
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2026」(事業者数と車両数・経営の現状) taxi-japan.or.jp(PDF)
- 同「全国の事業者数及び車両数の推移」(国土交通省調べ) taxi-japan.or.jp(PDF)/統計調査ページ taxi-japan.or.jp
- 同「営業収入の対2019年同月比(2020年1月〜2026年8月)」(2026年9月16日掲載) taxi-japan.or.jp(PDF)
- 同「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(2026年10月6日訂正版) taxi-japan.or.jp(PDF)
数字の読み方
国土交通省と関東運輸局の値は事業者から報告された輸送実績の集計、全タク連の対2019年同月比はサンプル調査です。年度別の輸送人員と実車率は国土交通省資料のグラフの数値を年度に対応させて読み取りました。



