運行管理者(旅客)の資格|結論

この記事の結論

運行管理者は、タクシー・バスなどの営業所ごとに選任が義務づけられた国家資格者です。タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業)では、事業用自動車5両以上の営業所に「車両数を40で割った数(端数切り捨て)に1を足した数」以上の選任が必要です(旅客自動車運送事業運輸規則第47条の9)。
資格者証を得る方法は、運行管理者試験(旅客)に合格するか、5年以上の実務経験と所定の講習5回以上の受講(貸切バスを除く)の2つです(国土交通省)。
試験の受験資格は「運行管理の実務経験1年以上」または「基礎講習(16時間)の修了」。試験はCBT方式の30問・90分で、総得点60%(18問)以上かつ分野ごとの最低正解数を満たせば合格です。受験手数料は6,000円(非課税)とシステム利用料660円。
令和8年度第1回の旅客試験は受験者7,128人・合格者3,047人で、合格率42.7%でした(運行管理者試験センター)。

タクシー会社の求人では「運行管理者」「運行管理補助者」「配車・内勤」といった名前で、乗務員以外の仕事が募集されます。乗務員として働きながら資格を取り、内勤や管理職に移る人もいます。

この記事では、公益財団法人運行管理者試験センター、国土交通省、e-Gov法令検索の旅客自動車運送事業運輸規則と、タクシー会社の公式採用ページという一次情報だけを使って、資格の取り方・試験・仕事内容・キャリアを整理します。

運行管理者とは|営業所ごとに選任が義務の国家資格

国土交通省の「運行管理者について」は、「自動車運送事業者は、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければなりません」と説明しています。複数の運行管理者を選任する営業所では、業務を統括する「統括運行管理者」の選任も必要です。旅客自動車運送事業者の運行管理者には平成14年2月から(貸切は平成12年2月から)試験制度が導入されました。

選任すべき人数は、旅客自動車運送事業運輸規則第47条の9で事業の種類ごとに決まっています。タクシーの営業所に当てはめると次のようになります。

営業所の事業用自動車の数(タクシー)計算(40で割って端数切り捨て+1)必要な運行管理者の数
4両以下選任が必要な営業所に当たらない(5両以上が対象)規則上の義務なし
5〜39両0+11人以上
40〜79両1+12人以上
80〜119両2+13人以上
200両5+16人以上

乗合バスも同じ「40で割って1を足す」計算で、貸切バスは19両以下で2人、20〜99両は20で割って1を足す、100両以上は別の計算と、より多くの選任が求められます。タクシー会社が日本版ライドシェア(自家用車活用事業)を行う場合も、国土交通省の通達(令和6年3月29日)で「事業用自動車及び稼働させることが可能な自家用車の合計が5両以上の営業所においては、当該合計車両数の40両ごとに1名以上の有資格の運行管理者」の選任が許可の基準になっています。

資格者証の種類|旅客と貨物は別

運行管理者の資格者証は旅客と貨物で分かれ、試験も「旅客」と「貨物」が別です。運輸規則の選任の表では、タクシーの営業所は「旅客自動車運送事業運行管理者資格者証又は一般乗用旅客自動車運送事業運行管理者資格者証」を持つ人の中から選ぶと定められています。運行管理者試験センターは、講習で受験資格を得る場合「講習の種類と試験の種類が同じでなければなりません」としているため、タクシーで働くなら旅客の基礎講習と旅客の試験を選びます。

仕事内容|点呼・乗務割・指導監督が中心

運行管理者の業務は旅客自動車運送事業運輸規則第48条に列挙されています。タクシー営業所に関係する主な業務を整理します。

業務運輸規則第48条の内容(要約)現場での中身
乗務割の作成定められた勤務時間・乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従い乗務させる改善基準告示の拘束時間・休息期間を守ったシフトを組む
点呼運転者に点呼を行い、報告を求め、確認し、指示を与え、記録・保存する。アルコール検知器を常時有効に保持する出庫前・帰庫後の対面点呼、酒気帯びと体調の確認
健康状態の把握乗務員の健康状態の把握に努め、安全に運行できないおそれのある人を乗務させない疲労・病気・睡眠不足の確認
休憩・睡眠施設の管理休憩・睡眠・仮眠に必要な施設を適切に管理する仮眠室などの管理
記録の管理運転者に乗務等の記録をさせ保存する。運行記録計を管理し記録を保存する日報・運行記録の確認
指導監督運転者への指導・監督、事故防止の教育新人研修、事故後の再教育

点呼の場面は、ハイヤー会社の公式ページにも登場します。日本交通は乗務員の1日の流れとして「専用の測定器によるアルコールチェック」「運行管理者からの点呼と本日の運行内容の指示」を紹介しています。乗務員を送り出し、無事に帰ってきたことを確かめる最後の砦が運行管理者の仕事です。

運行管理補助者という入り口

国土交通省は、事業者が「運行管理者の業務を補助させるため、国土交通大臣が認定した講習を受講した者のうちから、補助者を選任することができます」と説明しています。基礎講習を修了すれば補助者として点呼などの業務の一部を担えるため、資格者証を取る前に営業所の運行管理業務に関わる道があります。補助者を選任する場合は、職務と選任方法を運行管理規程に明記する必要があります。

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資格の取り方は2つ|試験合格か、実務経験5年+講習5回か

国土交通省の資料では、旅客(乗合・乗用)の運行管理者の資格要件を次の2つとしています。

ルート要件向いている人
試験ルート運行管理者試験に合格(受験資格として1年以上の実務経験、または基礎講習の受講が必要)早く資格を取りたい人、乗務員から内勤に移りたい人
実務経験ルート5年以上の実務経験、かつ所定の講習5回以上の受講(貸切バスは対象外)すでに営業所で運行管理の補助業務に長く携わっている人

ここでいう実務経験は、運転の経験ではなく運行管理に関する実務です。運行管理者試験センターは受験資格の実務経験を「自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く)の用に供する事業用自動車」などの運行管理に関して、試験日の前日までに1年以上の実務経験を有する方としており、申請時には実務経験承認者のメールによる承認が必要です。乗務員の経験だけでは実務経験にならないため、乗務員から目指す人は基礎講習ルートが現実的です。

運行管理者講習の種類

国土交通大臣が認定する講習には3種類あり、全国の自動車学校などが認定機関になっています。

講習対象者講習時間内容
基礎講習運行管理者及び補助者になろうとする者16時間運行管理に必要な法令・業務の基礎知識
一般講習運行管理者5時間運行管理に必要な法令・業務の知識
特別講習事故を惹起した運行管理者13時間事故の再発防止のための知識

選任された運行管理者には、事業者が講習を2年に1回受講させる義務があります。基礎講習は旅客と貨物で別なので、受ける試験と同じ種類を選んでください。

運行管理者試験(旅客)の内容|CBT方式・30問・合格基準

運行管理者試験センターの新規受験概要によると、試験はCBT方式(テストセンターのパソコンで解答)で、試験時間は90分です。旅客試験の出題分野と問題数は次のとおりです。

出題分野(旅客試験)出題数合格に必要な正解数
(1) 道路運送法関係8問1問以上
(2) 道路運送車両法関係4問1問以上
(3) 道路交通法関係5問1問以上
(4) 労働基準法関係6問1問以上
(5) その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力7問2問以上
合計30問総得点が満点の60%(18問)以上

合格基準は貨物・旅客で同じで、「総得点が満点の60%(30問中18問)以上」と「分野ごとの最低正解数」の両方を満たす必要があります。法令が改正された場合、原則として施行後6か月間は改正前と改正後で解答が異なる問題は出題しないとされています。労働基準法関係の6問には、タクシーの拘束時間を定めた改善基準告示も関わります。

日程と費用(令和8年度第1回の例)

運行管理者試験センターが公表している令和8年度第1回試験の日程と費用は次のとおりです。試験は年度に複数回実施され、回ごとに日程が公表されます。

項目令和8年度第1回
新規受験の申請期間2026年6月15日〜7月15日
CBT試験の実施期間2026年8月8日〜9月6日
結果発表2026年9月24日
受験手数料6,000円(非課税)
システム利用料(新規)660円(税込)
試験結果レポート(希望者のみ)140円(税込)

申請は受験申請サイトで行い、本人確認書類と顔写真をアップロードします。書類審査には1週間〜10日ほどかかり、審査完了後に試験会場と日時を予約して受験手数料等を支払います。試験地は全国の都道府県に設けられています。

合格率と合格後の手続き

運行管理者試験センターの試験実施状況によると、令和8年度第1回の結果は次のとおりです。

試験の種類受験者数合格者数合格率
旅客7,128人3,047人42.7%
貨物29,323人12,061人41.1%

受験者の半数以上が不合格になる試験なので、基礎講習のテキストに加えて、センターが公開している過去の試験問題(令和5年・令和6年の旅客試験の問題と正答)で分野ごとの出題形式に慣れておくのが確実です。

合格しただけでは運行管理者になれません。センターの案内では、結果発表日から3か月以内に、運輸支局等へ資格者証の交付申請を行う必要があり、3か月以内に申請しないと合格は無効になります。資格者証を受けたうえで、事業者に運行管理者として選任されて初めて業務に就けます。

乗務員からのキャリア|タクシー会社の公式情報

タクシー・ハイヤー会社の公式採用ページには、乗務員から内勤・管理職に進む道が書かれています。

  • 国際自動車:タクシードライバーの「選べる6つのキャリアコース」の一つに「管理職へステップアップする」を挙げ、班長(ドライバーの教育や労務管理)、課長(150名から200名の社員をとりまとめる責任者)、所長、事業会社の社長という職位を紹介しています。
  • 日の丸交通:採用Q&Aで「50歳までの方であれば、内勤の社内公募に応募することができ、ドライバー以外のポジションに転職するチャンスがあります」と記載しています。
  • 国際ハイヤー:企業向けの「配車スタッフの配置」サービスで、「運行管理者(国家資格)を有する社員がお客さま専属として労務管理を含む車両の一括管理」を行うと説明しています。

運行管理者は乗務員の点呼や乗務割を担う立場なので、乗務の経験がそのまま現場理解に生きます。乗務を続けながら旅客の基礎講習を受けて受験資格を得て、試験に合格したら社内公募や配置転換で内勤に移る、という順番が公式情報から読み取れる道筋です。乗務員として働く間の年収はタクシー運転手の年収(都道府県別)で確認できます。

当サイトでは、運行管理者・配車などの内勤の求人を運行管理・配車求人に、資格を活かせる求人を運行管理者資格を活かせる求人にまとめています。乗務員から始めて資格取得を目指す人は、タクシードライバー求人や未経験歓迎の求人から、資格取得支援や社内公募の有無を募集要項で確認してください。

タクシー会社がライドシェアを運営する場合も運行管理者の選任が必要です。制度はライドシェアドライバーの求人と仕組みで解説しています。気になる求人が見つかったら無料登録から応募の準備を進められます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の公表資料と公式ページに基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。

試験日程・手数料の変更について

試験日程・手数料・出題分野は回ごとに公表されます。受験前に運行管理者試験センターの最新の受験案内を必ず確認してください。