二種免許の養成制度|結論

この記事の結論

養成制度は、普通免許(第一種)で入社した人に、会社の費用で二種免許を取らせてから乗務させる仕組みです。日本交通は入社者の約8割、大和自動車交通は9割が一種免許で入社して研修中に二種免許を取ると公式採用ページで説明しています。
東京の大手5社はいずれも二種免許の取得費用を会社負担としており、研修中は日給1万〜1.2万円が支払われます。取得までの目安は「最短9日」(日本交通・日の丸交通)、「最短10日」(国際自動車)などです。
応募資格は会社で違い、日本交通と日の丸交通は19歳以上・普通免許1年以上、大和自動車交通と帝都自動車交通は21歳以上・3年以上です。
公開ページで返還規定まで書いている会社はなく、日の丸交通が「会社負担(規定あり)」と記載するのみです。費用負担の条件は応募前に書面で確認してください。

タクシー運転者になるには普通二種免許が必要ですが、自分で教習所に通うと20万円台の費用がかかります。そこで多くのタクシー会社は、二種免許を持たない人を採用し、会社の費用で免許を取らせる「養成」を行っています。求人票の「二種免許取得支援」「養成制度あり」「取得費用全額会社負担」といった表記がこれにあたります。

この記事では、日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車交通・日の丸交通の公式採用ページに書かれている内容を同じ項目で比べ、入社から乗務開始までの流れと、費用負担の条件として確認すべき点を整理します。会社の公開情報で確認できない返還条件や口コミは推測で書いていません。

養成制度とは|一種免許で入社して研修中に二種を取る

養成制度では、採用が先、免許取得が後になります。会社に雇用された状態で教習所に通うため、教習期間中も給与(多くは日給)が支払われ、教習料は会社が負担します。大手各社は公式採用ページで次のように説明しています。

  • 日本交通:「当社に入社される方の約8割は入社後に二種免許を取得」「二種免許の取得費用は日本交通が全額負担」。異業界からの転職者が94%。
  • 大和自動車交通:「入社される方の9割は一種免許で入社して、研修期間中に二種免許を取得」「取得費用も全額負担」。
  • 国際自動車:キャリア(中途)採用者の95%はタクシードライバー未経験。10名以上の専任講師が二種免許の取得をサポートし、コーチと研修生が1対1で行う個別研修も実施。
  • 日の丸交通:応募者の約9割が未経験。約2か月の研修で二種免許を取得し、ベテラン教官による路上教習を実施。研修日数に上限を設けないと説明。

こうした採用の広がりは統計にも表れています。警察庁「運転免許統計」によると、普通二種免許の試験合格者は令和3年の10,978人から令和7年の33,740人へと約3.1倍になり、そのうち指定自動車教習所の卒業者が32,348人(95.9%)を占めています。国土交通省の交通政策審議会の中間とりまとめ(2024年5月)も、2022年の受験資格の見直しとあわせて「第二種免許の取得費用に係る支援が開始された」ことを運転者増加の要因に挙げています。

大手5社の養成制度を比較|費用・期間・研修中の給与・応募資格

東京の大手5社が公式採用ページに載せている養成制度の内容を、同じ項目で並べました(2026年10月閲覧)。

会社二種免許の費用取得・研修の目安研修中の給与応募資格(年齢・免許)
日本交通会社全額負担(免許取得費用は無料)短期養成で最短9日間。研修スケジュールは教習所14日間、新人乗務員講習など10日間、班長の同乗指導2日間日給1万円+交通費19歳以上、普通1種免許取得1年以上(AT限定可)
国際自動車会社全額負担最短10日で取得可能。基礎研修期間(二種免許取得など)は約1か月日給1.2万円+交通費(3万円以内実費)普通免許取得1年以上
大和自動車交通会社全額負担(「第二種運転免許取得費用 会社全額サポート」)説明会参加から最短10日後に入社・研修開始。研修は月〜金の9時〜17時日給1万円+交通費21歳以上、普通一種免許取得後3年経過(AT限定可)
帝都自動車交通費用当社負担グループ会社の自動車教習所で取得(実地試験免除)。二種免許取得と地理研修などの基礎研修教習期間中も給与を支給(金額の記載なし)21歳〜64歳位、普通自動車免許取得3年以上(AT限定可)
日の丸交通会社負担(規定あり)公認の教習所で最短9日。研修は約2か月、日数に上限を設けない日給1万円(実働8時間)19歳以上、普通自動車免許取得後1年以上(AT限定可)

応募資格が「19歳以上・1年以上」の会社は、免許経歴が3年未満の人を受験資格特例教習と組み合わせて採用する前提です。日の丸交通は採用Q&Aで「免許保有年数が1〜3年未満の方については、受験資格特例教習を受けることで2種免許の受験資格を取得できます」と説明しています。特例教習の仕組みと費用は19歳から取れる二種免許の特例教習で解説しています。

各社の求人は日本交通、国際自動車、大和自動車交通、帝都自動車交通、日の丸交通の会社別ページで確認できます。

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入社から乗務開始までの流れ

養成制度を使う場合の一般的な流れを、制度の決まりと会社の公表内容で整理します。

段階内容制度・会社の公表値
1. 説明会・面接職歴・運転歴・事故違反歴の確認、深視力の判定など大和自動車交通は面接で志望動機・職歴・運転歴・事故違反歴を聞くと説明。日の丸交通は書類・面接・深視力を総合審査
2. 入社雇用契約。研修開始日の丸交通は入社日から研修開始・社会保険加入
3. 教習所普通二種の教習(普通免許所持の場合)2025年9月1日から最低教習時限は合計29時限、最短教習日数は3日(警察庁)。教習所の料金表では学科17時限・技能12時限と表示
4. 試験場適性試験と学科試験(95問・90%以上)卒業証明書で技能試験は免除
5. 地域の講習・試験運転者登録に必要な講習と、指定地域では法令・安全・接遇の試験東京は東京タクシーセンターの新規講習3日間、試験45問・36問以上で合格
6. 社内研修・同乗指導接客、車両点検、地理、営業の研修日本交通は新人乗務員講習など10日間と班長の同乗指導2日間
7. 配属・乗務開始営業所に配属給与保証の起算点を「配属後」「乗務開始後」とする会社がある

法律上の最短教習日数は3日ですが、会社の公表値は「最短9日」「最短10日」「教習所14日間」などで、予約の取り方や研修の組み方で日数が変わります。入社から配属までは、国際自動車が約1か月、日の丸交通が約2か月としています。地域の試験については地理試験の廃止と今の試験、配属後の給与保証はタクシーの給与保証の仕組みで解説しています。

費用負担の条件と返還規定|公開情報で分かること・分からないこと

5社とも二種免許の取得費用を会社負担としていますが、公式採用ページで「取得後一定期間内に退職した場合に費用を返すかどうか」まで書いている会社はありません。日の丸交通が「2種免許は会社負担(規定あり)」と書いている点からも、負担には社内の規定があることがうかがえます。条件は会社ごとの賃金規定や誓約書で決まるため、応募前に確認が必要です。

なお、労働基準法第16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。養成費用の返還の取り決めがどう扱われるかは個別の契約内容によるため、本記事では判断しません。疑問がある場合は、契約前に会社に説明を求めるか、労働基準監督署などの公的な窓口に相談してください。

面接で確認したい6つの項目

  1. 負担の範囲:教習料だけか、試験場の手数料や地域の講習・試験の手数料も含むか。
  2. 返還の有無:取得後に退職した場合に費用の返還を求められるか。
  3. 返還の期間と金額:何か月以内の退職が対象か、期間に応じて減額されるか、研修中の日給は対象か。
  4. 不合格の場合:教習所の追加教習・再検定の費用や、試験に合格できなかった場合の扱い。
  5. 研修中の待遇:日給の額、交通費、社会保険の加入時期、研修の時間と休日。
  6. 書面:上記が労働条件通知書・雇用契約書・誓約書のどれに書かれているか。

自費で取る場合との比較|教習料20万円台と教育訓練給付

養成制度を使わず自費で二種免許を取ってから応募する方法もあります。指定教習所の公表料金(普通免許所持者が普通二種ATを取る場合の税込総額)は、新小岩自動車学校253,000円、調布自動車学校264,000円、羽生モータースクール266,200円、足利自動車教習所の合宿201,410円(宿泊3食つき)です。詳しくは二種免許の費用と取り方にまとめています。

項目会社の養成制度自費で取得
教習料会社負担(条件は会社の規定による)20万円台(上記4校の例)。教育訓練給付の指定講座なら一部支給
教習中の収入日給1万〜1.2万円(大手5社の公表値)なし
会社の選び方入社する会社を先に決める取得後に会社を比べて選べる
退職時費用負担の規定を確認する必要がある費用面の制約はない
給与保証未経験者向けの保証を受けられる会社が多い経験者扱いになるかは会社による

自費の場合、厚生労働省の教育訓練給付制度で指定講座の受講費の一部が支給されます。一般教育訓練は経費の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)で、資格を取得し、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されると50%(上限25万円)に引き上げられます(令和6年10月以降に開講する講座)。二種免許の教習が指定講座かどうかは教習所ごとに違うため、受講前に確認してください。

養成制度のある求人の探し方

養成制度を前提に応募する場合は、二種免許の費用負担に加えて、研修中の給与、配属後の給与保証、勤務形態をセットで比べると判断しやすくなります。隔日勤務の働き方はタクシーの隔日勤務、地域ごとの年収はタクシー運転手の年収(都道府県別47表)で確認できます。

求人は二種免許養成制度ありの求人、普通二種免許を活かせる求人、未経験歓迎の求人、給与保証ありの求人で絞り込めます。職種全体はタクシードライバー求人、応募は求職者登録から行えます。

出典・一次情報

本記事の内容は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。

制度の変更について

養成制度の内容(費用負担・研修期間・研修中の給与・応募資格)は各社の任意の制度で、変更されることがあります。本記事の内容は閲覧日時点の公式ページの記載です。応募前に最新の募集要項と、費用負担の条件を書面で確認してください。