福岡のタクシー運転手の年収|結論

この記事の結論

福岡県のタクシー運転者の年間推計額は383万4,800円で、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)が集計した47都道府県の中で19番目の水準です(令和7年賃金構造基本統計調査から本記事が計算)。
同じ福岡県のバス運転者(479万6,200円)、営業用大型トラック(473万5,400円)、営業用中小型トラック(464万800円)より80万〜96万円低く、1時間あたりでも約1,606円と県内の運転の仕事で最も低い水準です。
一方で年収は令和5年359万600円、令和6年368万4,000円、令和7年383万4,800円と2年続けて増えています。
福岡市域ブロックでは2026年7月1日に増収率10.62%の運賃改定が実施され、普通車の初乗りは1.6km 830円から1.1km 600円に変わりました。改定後の推定収支では運転者人件費が約4.8億円多く見込まれています。

福岡でタクシーの仕事を考える人にとって、「福岡のタクシーの年収はどのくらいか」「バスやトラックと比べてどうか」「運賃改定で収入は変わるのか」は判断に欠かせない情報です。

この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和5〜7年)、九州運輸局の運賃改定の公表資料、国土交通省の準特定地域の速報値、福岡で採用している会社の公式採用サイトという一次情報だけで整理します。統計は福岡県単位で、福岡市や北九州市単位の年収は公表されていません。主要都市の車両数や制度の違いは都市別のタクシーの働き方で扱っています。

県内の運転の仕事と比べる|バス・トラックとの差は80万〜96万円

令和7年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(都道府県別第3表)の福岡県の欄から、自動車運転の職種を並べました。年間推計額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」、1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間の12倍で割った本記事の計算値です。

職種(福岡県)平均年齢勤続年数月間実労働時間きまって支給する現金給与額(月)年間賞与年間推計額1時間あたり
タクシー運転者58.0歳8.9年199時間288,600円371,600円3,834,800円約1,606円
バス運転者51.6歳13.5年229時間340,100円715,000円4,796,200円約1,745円
営業用大型貨物自動車運転者49.2歳11.8年200時間347,400円566,600円4,735,400円約1,973円
営業用貨物自動車運転者(大型車を除く)47.9歳10.4年195時間347,800円467,200円4,640,800円約1,983円

福岡県では、タクシーの年間推計額は中小型トラックより80万6,000円、大型トラックより90万600円、バスより96万1,400円低い結果です。全国ではタクシー・バス・中小型トラックがほぼ横並びなので(タクシー・バス・トラックの年収比較)、福岡はタクシーと他の運転の仕事の差が大きい県です。タクシー運転者の平均年齢58.0歳は、県内のトラック運転者(47.9〜49.2歳)より9歳ほど高くなっています。

全タク連の集計では、福岡県の全産業労働者の年間推計額は500万3,300円で、タクシー運転者との差は116万8,500円です。

給与の中身|所定内22.7万円、超過分6.1万円、賞与は年収の約9.7%

福岡県のタクシー運転者の所定内給与額は22万7,200円、時間外・深夜手当などの超過労働給与額(きまって支給する額との差)は6万1,400円、年間賞与は37万1,600円です。賞与が年収に占める割合は約9.7%で、全国のタクシー運転者(約4.4%)の2倍を超えます。月間の超過実労働時間も36時間と全国(23時間)より長く、超過分の手当が月の給与の約2割を占める構成です。歩合給の計算の仕組みはタクシーの歩合給の計算と足切りで解説しています。

3年間の推移|359万円から383万円へ2年連続の増加

令和5年・6年・7年の同じ表から、福岡県のタクシー運転者の数字を並べます。推計労働者数は表の「労働者数(十人単位)」を10倍した値です。

調査年年間推計額きまって支給する現金給与額(月)年間賞与平均年齢勤続年数月間実労働時間推計労働者数
令和5年3,590,600円294,800円53,000円61.2歳11.0年184時間約1万3,190人
令和6年3,684,000円270,600円436,800円67.7歳17.7年181時間約6,480人
令和7年3,834,800円288,600円371,600円58.0歳8.9年199時間約7,490人

年間推計額は令和5年から7年で24万4,200円増えています。ただし中身を見ると、令和5年は賞与が5万3,000円と少なく月々の給与が多い、令和6年は平均年齢67.7歳・勤続17.7年と高い、というように年ごとに調査対象の構成が大きく異なります。推計労働者数も約1万3,190人から約6,480人、約7,490人と動いており、増加の幅をそのまま賃上げと読むのではなく、おおむね360万〜385万円の水準にあると捉えるのが慎重です。

全タク連の資料の第4表にある「対前年増減」の列は、年収の増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減です(福岡は格差が令和6年の124万7,200円から116万8,500円に縮小し、-7万8,700円)。

2026年7月の運賃改定|初乗り1.1km 600円、増収率10.62%

九州運輸局は2026年6月1日、福岡市域ブロックのタクシー運賃の改定を公示し、7月1日に実施されました。福岡市域ブロックは福岡市、春日市、大野城市、筑紫野市、太宰府市、古賀市、糸島市、那珂川市、糟屋郡で、81社からの申請・要請を審査した結果です。

項目(普通車・上限運賃)改定前改定後(2026年7月1日〜)
初乗り1.6km 830円1.1km 600円
加算運賃268mごとに80円287mごとに100円
増収率10.62%

初乗りの距離を1.6kmから1.1kmに縮め、初乗り運賃を830円から600円に下げる一方、加算を1回100円にする内容です。短い距離は利用しやすく、長い距離ほど運賃が上がる形になります。

公示に添付された収支表(原価計算の対象13社・754両)では、令和6年度実績の運送収入64億9,673万1,000円に対し、運転者人件費は43億7,398万6,000円でした。令和8年度の推定では、運転者人件費が運賃改定前の査定55億649万3,000円から改定後59億9,126万8,000円へと約4.8億円多く見込まれています。運賃改定による増収の一部が運転者の人件費に充てられる前提で査定されていることが分かります。実際の配分は各社の賃金規定で決まり、統計上の効果は改定後の調査で確認する必要があります。詳しくはタクシーの運賃改定と収入で整理しています。

1日1車あたりの営業収入|福岡交通圏は3万9,664円

国土交通省が2024年7月に公表した準特定地域の速報値では、福岡交通圏の日車営収(1日1車あたりの営業収入)は令和5年度3万9,664円で、平成13年度の3万5,144円を上回っています。同じ資料の大阪市域交通圏(3万8,775円)とほぼ同じ水準で、特別区・武三交通圏(東京、6万1,443円)とは約2万2,000円の差があります。いずれも2026年7月の運賃改定より前の数字です。

福岡で採用している会社の公表条件|福岡西鉄タクシーの例

福岡西鉄タクシー(本社:福岡市南区)は、採用サイトで次の条件を公表しています(2026年10月閲覧)。

項目公表されている内容
給与の保証配属後6か月間は月額25万円を保証(パートタイムを除く・当社規定あり)
公表している月収「よくある質問」:隔日勤務の正社員の平均月収は28万円程度。「福岡西鉄タクシーの魅力」のページ:平均月収30万円
勤務隔日勤務(月間12乗務)、夜勤務、昼日勤(パートは4〜8時間から選択)
二種免許取得費用は会社負担(一定以上の継続勤務がない場合は返金)。取得期間中は日額8,000円の日当
アプリ配車「GO Reserve」専用乗務員「GO Crew」を募集

平均月収はページによって28万円・30万円と表記が異なるため、応募時にどの勤務形態・期間の平均かを確認してください。統計上の福岡県のタクシー運転者のきまって支給する現金給与額(28万8,600円)は、この公表値の範囲に近い水準です。同社は「よくある質問」で、給与は「個人の仕事の取組みが直接給与に反映されやすい仕組み」と説明しています。

福岡県の求人は福岡県のタクシー求人、同社の求人は福岡西鉄タクシーのページで確認できます。アプリ配車の仕組みはタクシーの配車アプリの仕組みで解説しています。

福岡でタクシーの求人を比べるときの確認項目

  1. 営業区域と運賃:福岡市域ブロックは2026年7月に運賃が変わりました。応募先の営業所がどの運賃ブロックに入るかを確認します。
  2. 運賃改定後の賃金規定:改定に合わせて歩合率や手当が変わったか。
  3. 賞与と超過手当:福岡県のタクシー運転者は統計上、賞与と時間外・深夜手当の比重が全国より大きい県です。月給だけでなく年間の受取額で比べます。
  4. 保証の期間と額:読み方はタクシーの給与保証の仕組みを参照してください。
  5. 年齢に応じた働き方:福岡県のタクシー運転者の平均年齢は58.0歳です。60代からの働き方は60代からのタクシードライバーにまとめています。

未経験から始める場合は未経験からタクシードライバーになるには、二種免許の取得支援がある求人は二種免許養成制度ありの求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・1時間あたり・差額・割合は、公表値から本記事が計算したものです。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)
  • 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の【最新版】) taxi-japan.or.jp(PDF)
  • 九州運輸局「福岡市域ブロックにおけるタクシーの運賃改定」(2026年6月1日、別添1 新運賃・別添2 収支実績および推定収支) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
  • 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月31日、準特定地域における令和5年度速報値) mlit.go.jp
  • 福岡西鉄タクシー株式会社 採用サイト トップ・福岡西鉄タクシーの魅力・よくある質問

数字の範囲について

賃金構造基本統計調査の福岡県の数字は県全体の値で、福岡市・北九州市など市単位の年収は公表されていません。対象は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者で、個人タクシーは含みません。額は税・社会保険料を引く前の額面です。福岡県のタクシー運転者は標本が比較的少なく、年ごとの変動が大きい点に注意してください。