タクシー運転手への転職|結論
この記事の結論
タクシー運転手には、普通第一種免許があれば二種免許なしで応募できる会社が多くあります。二種免許の受験資格は原則「21歳以上・普通免許等3年以上」ですが、受験資格特例教習を修了すれば「19歳以上・1年以上」で受験できます(警察庁)。
入社後は、教習所での二種免許取得、会社の研修(初任運転者への指導と適性診断は国土交通省の告示で義務)、東京・神奈川・大阪などでは運転者登録を経て乗務を始めます。日本交通は未経験者の研修スケジュールとして、教習所14日間・二種免許取得1日・講習など10日間・同乗指導2日間を公表しています。
法人タクシーの運転者数は2004年度の381,943人から2022年度の214,972人まで減り、2024年度は224,428人に増えました(国土交通省調べ)。年収の全国平均は450万8,200円、東京は570万3,500円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。
タクシー運転手への転職は、業界未経験から始める人が多い転職先です。日本交通は採用サイトで「異業界からの転職者が94%」、大和自動車交通は「入社される方の9割は一種免許で入社して、研修期間中に二種免許を取得」と明記しています。
この記事では、転職を考え始めた段階で知っておきたい「応募条件」「デビューまでの流れ」「求人票の読み方」「会社の選び方」を、警察庁・国土交通省・厚生労働省・東京タクシーセンター・全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)と、各社の公式採用ページの記載だけで整理します。
タクシー業界の採用状況|運転者数は2022年度を底に増加
全タク連が公表している「運転者数の推移(法人タクシーに限る)」(国土交通省調べ)を見ると、運転者数は長く減少が続き、コロナ禍の2020年度から2022年度に大きく落ち込んだあと、2023年度から増加に転じています。
| 年度 | 法人タクシーの運転者数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2004年度(平成16年度) | 381,943人 | 集計期間中の最多 |
| 2009年度(平成21年度) | 371,245人 | |
| 2014年度(平成26年度) | 308,706人 | |
| 2019年度(令和元年度) | 261,671人 | |
| 2020年度(令和2年度) | 240,494人 | |
| 2022年度(令和4年度) | 214,972人 | 集計期間中の最少 |
| 2023年度(令和5年度) | 217,161人 | |
| 2024年度(令和6年度) | 224,428人 |
国土交通省の交通政策審議会自動車部会の中間とりまとめ(2024年5月)は、この増加の背景として、2020年以降全国90か所以上で行われた運賃改定による処遇改善、2022年の二種免許の受験資格の見直し、二種免許の取得費用に係る支援を挙げ、「運転者数は令和5年3月末から令和6年4月末までの約1年間で約3,400人増加した」としています。あわせて、大都市部の地理試験の廃止(2024年2月)と、初任研修の期間要件(10日間)の撤廃(2024年3月)も行われました。
働いている人の姿は、全タク連の集計(令和7年賃金構造基本統計調査)で平均年齢56.8歳、平均勤続年数8.3年です。東京タクシーセンターの登録データ(2026年8月末、東京23区・武蔵野市・三鷹市)では、法人の登録運転者67,486人の平均年齢は55.5歳でした。年齢層が高い職種なので、40代・50代からの転職も珍しくありません。
応募条件と必要な資格|年齢・免許・登録
タクシー乗務に必要なものは「普通第二種免許」と、地域によっては「運転者登録」です。応募の段階で必要な条件は会社ごとに異なりますが、公式採用ページでは次のように書かれています。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 二種免許の受験資格(原則) | 21歳以上で、普通免許等を受けていた期間が通算3年以上 | 警察庁 |
| 二種免許の受験資格(特例) | 受験資格特例教習を修了すれば、19歳以上・普通免許等1年以上で受験可(2022年5月13日施行) | 警察庁 |
| 応募条件の例(大和自動車交通) | 普通自動車第一種免許を取得後3年を経過した21歳以上(AT限定可) | 同社「採用よくあるご質問」 |
| 応募条件の例(日本交通) | 19歳以上、普通1種免許取得1年以上(AT限定でも可) | 同社募集要項 |
| 運転者登録(東京) | 東京23区・武蔵野市・三鷹市の法人タクシー運転者は東京タクシーセンターに登録し、運転者証を車内に表示しなければ営業できない。登録手数料3,740円 | 東京タクシーセンター |
| 登録に必要な試験(東京) | 「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」(法令・安全・接遇)。45問出題・36問以上で合格、合格証の有効期限は2年、試験手数料3,400円 | 東京タクシーセンター |
| 適性診断 | 新たに雇い入れた運転者は、選任前に初任診断を受診(雇入れ前3年間に受診歴がある者を除く) | 国土交通省告示 |
東京の試験は、2024年2月29日付の国土交通省令で地理科目が廃止され、法令・安全・接遇の試験になりました。国土交通省の中間とりまとめによると、東京・神奈川・大阪などの大都市部ではタクシー業務適正化特別措置法に基づくドライバー登録が必要で、地理試験は「合格率が5割程度」と難しかったため、カーナビの搭載を前提に廃止されています。二種免許の費用・試験・教習時限は二種免許の費用と取り方で詳しく解説しています。
タクシー運転手の求人をチェック
求人一覧を見る入社からデビューまでの流れ|教習・研修・登録
二種免許を持っていない人が法人タクシーに入社した場合の一般的な流れを、日本交通の公表している研修スケジュールと、法令で定められた手続きを組み合わせて整理しました。期間は会社ごとに異なります。
| 段階 | 内容 | 公表されている例 |
|---|---|---|
| 1. 応募・説明会・面接 | 志望動機、職歴、運転歴、事故違反歴などを確認。持ち物は運転免許証・履歴書・職務経歴書 | 大和自動車交通は「説明会参加から最短で10日後に入社・研修をスタートすることも可能」 |
| 2. 二種免許の取得 | 会社と契約する教習所で学科・技能教習、試験場で学科試験 | 日本交通は教習所で14日間、二種免許取得に1日 |
| 3. 社内研修・法定の指導 | 初任運転者への特別な指導(法令、車両の構造と日常点検、安全確保、危険予測など)と初任診断 | 日本交通は新人乗務員講習・営業所内教習・事故対策機構で10日間 |
| 4. 運転者登録(東京などの指定地域) | 試験合格、新規講習、登録申請、運転者証の交付 | 東京タクシーセンターの手続き |
| 5. 営業所配属・同乗指導 | ベテラン乗務員が同乗して運転・接客・営業エリアを指導 | 日本交通は班長による同乗指導2日間 |
国土交通省の「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」では、タクシーなど貸切バス以外の初任運転者に対し、事業用自動車の安全な運転に関する基本的事項、車両の構造上の特性と日常点検の方法、運行と旅客の安全確保、危険の予測と回避などを合計6時間以上指導することを求めています。研修期間中の給与は、大和自動車交通・日本交通とも公式ページで日給1万円(交通費別途支給)と記載しています。大和自動車交通は研修期間を「月〜金 9:00〜17:00(休憩1時間)、原則土日祝休み」としています。
経験者は手続きが短くなります。日本交通は経験者の研修を「約1日」、よくある質問では「入社後、10日間で研修が終わる」と記載し、大和自動車交通は「最短10日間の研修」でデビューできるとしています。面接時には「運転者記録証明書」「運転者業務経歴証明書」の持参を求めています。
求人票の見方|給与・勤務・保証の読み取り方
タクシーの求人票は、固定給と歩合給、勤務形態、給与保証などの書き方が会社ごとに違い、同じ「月収○万円以上」でも中身が異なります。主な項目と確認のしかたをまとめました。
| 求人票の項目 | 確認すること | 公式募集要項の記載例 |
|---|---|---|
| 給与 | 固定給の額と歩合率、歩合の計算基準(営業収入のどの部分か) | 日本交通「給与218,240円+歩合給」「歩合率62%」 |
| 給与保証 | 期間、金額、対象の営業区域や勤務形態、定員などの条件 | 大和自動車交通「未経験者は乗務開始後12カ月間は給与保証」(交通圏・勤務形態により年収400万円相当から300万円相当、定員に達し次第終了) |
| 勤務時間 | 1乗務の始業・終業と休憩、月の乗務回数、勤務形態の種類 | 大和自動車交通「月12〜13回乗務、基本7:45〜翌1:00(休憩3時間)」 |
| 賞与 | 回数と支給月、算定方法 | 大和自動車交通「賞与年3回(4、8、12月)」(子会社により異なる) |
| 免許取得費用 | 会社負担の範囲と、退職時の扱いなどの条件 | 日本交通・大和自動車交通とも二種免許取得費用を会社が全額負担と記載 |
| 給与からの控除 | 機器使用料、カード決済手数料などの控除の有無 | 大和自動車交通はよくある質問で、これらの給与控除は「一切ございません」と記載 |
| 定年・再雇用 | 定年年齢と、その後の雇用形態・上限年齢 | 大和自動車交通「定年は60歳、健康状態などに問題がなければ最長75歳まで」 |
2024年4月からは労働基準法施行規則の改正により、すべての労働契約の締結時に「就業場所・業務の変更の範囲」を明示することが会社に義務づけられました(厚生労働省)。営業所の異動や、タクシーからハイヤー・運行管理などへの配置転換の可能性は、労働条件通知書で確認できます。労働基準法第15条は、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定めています。応募前に確認しておきたい失敗例はタクシードライバー転職の失敗パターンにまとめています。
会社の選び方|地域・勤務形態・研修・定年
会社を比べるときは、統計で地域の水準をつかみ、募集要項で個社の条件を確かめる順番が効率的です。全タク連「第4表」から、主な都市圏を含む都道府県の年収(年間推計額)と月間労働時間を抜き出しました。
| 都道府県 | タクシー運転者 年間推計額 | 月間労働時間 | 全産業労働者 年間推計額 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 5,703,500円 | 198時間 | 6,779,800円 |
| 大阪 | 4,790,400円 | 198時間 | 5,504,400円 |
| 神奈川 | 4,489,400円 | 201時間 | 5,921,100円 |
| 京都 | 4,456,600円 | 208時間 | 5,336,600円 |
| 愛知 | 4,225,200円 | 177時間 | 5,703,700円 |
| 北海道 | 4,203,200円 | 223時間 | 4,665,600円 |
| 福岡 | 3,834,800円 | 199時間 | 5,003,300円 |
| 全国 | 4,508,200円 | 192時間 | 5,455,600円 |
全タク連は、小規模な都道府県では調査対象事業所が少なく実情が正確に反映されない可能性があること、東京と地方の比較では住居費の差を考慮する必要があることを注記しています。47都道府県の一覧はタクシー運転手の年収(都道府県別)で確認できます。
統計で地域を絞ったら、次の4点で会社を比べます。(1)勤務形態:隔日勤務・日勤・夜日勤のどれがあるか。改善基準告示では隔日勤務の1か月の拘束時間は262時間、日勤は288時間が上限です(2024年4月の改正内容はタクシーの2024年問題で解説)。(2)研修と養成制度:二種免許の費用負担、研修期間中の給与、デビュー後の同乗指導。(3)給与保証:期間と条件。(4)定年と再雇用:日本交通は募集要項で「65才選択定年制」「定年後も定時制雇用として68才まで雇用可」と記載しています。会社別の求人は採用企業別の求人、地域別は地域別の求人から探せます。
年代別の転職のポイント
タクシー運転者の年収は、年齢による上がり下がりが小さいのが特徴です。全タク連の第2表(年齢階級別給与比較)をもとに、年代ごとの位置づけを整理します。
- 20代:20〜24歳の年間推計額は4,833,600円で、全産業の3,613,700円を1,219,900円上回ります。19歳から応募できる会社もあり、二種免許は受験資格特例教習で19歳から受験できます。
- 30代・40代:30〜34歳5,179,200円、40〜44歳4,985,500円。35歳以降は年功で上がる全産業が上回ります(35〜39歳で648,400円差)。歩合給なので売上を伸ばす働き方が年収を決めます。
- 50代:50〜54歳4,943,100円、55〜59歳4,813,500円。全産業との差は最大で1,600,000円(55〜59歳)ですが、前職の賃金水準によって見え方が変わります。
- 60代以上:60〜64歳4,401,300円、65〜69歳3,790,500円。65歳以上では製造業・卸小売業より高くなります。詳しくは60代のタクシー運転手で解説しています。
業界未経験の人は、養成制度と研修の中身、1年目の収入の考え方を未経験からタクシー運転手になるにはで確認してください。女性の転職を考えている人は女性タクシー運転手の統計と働き方も参考になります。求人は未経験歓迎の求人、二種免許養成制度ありの求人から探し、会員登録すると応募の管理ができます。
出典・一次情報
本記事の数字と制度の記述は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「運転者数の推移(法人タクシーに限る)」(国土交通省調べ) taxi-japan.or.jp(PDF)/「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」【最新版】 taxi-japan.or.jp(PDF):第1表、第2表、第4表
- 国土交通省 交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会「中間とりまとめ」(令和6年5月15日) mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(平成13年国土交通省告示第1676号) mlit.go.jp(PDF)
- 警察庁「第二種免許等の受験資格の見直しについて」 npa.go.jp
- 公益財団法人東京タクシーセンター「登録手続きについて」 tokyo-tc.or.jp/「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」 tokyo-tc.or.jp/センターニュース2026年10月号(登録運転者数) tokyo-tc.or.jp(PDF)
- 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 mhlw.go.jp/e-Gov法令検索「労働基準法」(第15条) laws.e-gov.go.jp
- タクシー会社の公式採用ページ:日本交通 募集要項・研修制度・よくあるご質問/大和自動車交通 未経験者中途採用 募集要項・採用よくあるご質問
募集条件の変更について
各社の募集条件(給与保証、研修期間中の給与、応募資格など)は改定されることがあります。本記事の記載は閲覧日時点の公式ページの内容です。応募前に必ず最新の募集要項と労働条件通知書で確認してください。




