大阪のタクシー運転手の年収|結論
この記事の結論
大阪府のタクシー運転者の年間推計額は479万400円で、府内の運転の仕事では営業用大型トラックに次ぐ水準です(令和7年賃金構造基本統計調査から本記事が計算)。同じ統計の府内のバス運転者は426万300円、営業用中小型トラックは454万6,400円、営業用大型トラックは541万8,400円です。
全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると47都道府県の2位で、大阪府の全産業労働者との差は71万4,000円と小さいのが特徴です。
年収は令和5年486万9,500円、令和6年457万3,700円、令和7年479万400円と推移しており、推計労働者数が3年で約2.7倍に変わるなど標本の入れ替わりが大きいため、単年の増減より水準で見るのが適切です。
大阪地区では2025年11月5日に増収率10.88%の運賃改定が実施され、近畿運輸局は運転者の労働条件の改善を前提に査定したと説明しています。
大阪でタクシーの仕事を考えるとき、「大阪のタクシーの年収は東京と比べてどうか」「同じ府内の他の運転の仕事と比べてどうか」「運賃改定で収入はどう変わるのか」が気になるところです。
この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和5〜7年)、近畿運輸局の運賃改定の公表資料、国土交通省の準特定地域の速報値、大阪で採用している会社の公式募集要項という一次情報だけで、大阪のタクシー運転者の収入を整理します。主要都市の車両数や試験制度の違いは都市別のタクシーの働き方で扱っています。
府内の運転の仕事と比べる|タクシーは大型トラックに次ぐ2番目
令和7年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(都道府県別第3表)の大阪府の欄から、自動車運転の職種を並べました。年間推計額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」、1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間の12倍で割った本記事の計算値です。
| 職種(大阪府) | 平均年齢 | 勤続年数 | 月間実労働時間 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 年間推計額 | 1時間あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タクシー運転者 | 55.1歳 | 5.4年 | 198時間 | 380,400円 | 225,600円 | 4,790,400円 | 約2,016円 |
| バス運転者 | 58.5歳 | 8.4年 | 190時間 | 317,500円 | 450,300円 | 4,260,300円 | 約1,869円 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 51.4歳 | 11.2年 | 212時間 | 419,300円 | 386,800円 | 5,418,400円 | 約2,130円 |
| 営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) | 51.6歳 | 11.1年 | 194時間 | 348,500円 | 364,400円 | 4,546,400円 | 約1,953円 |
大阪府では、タクシーの年間推計額はバスより53万100円、中小型トラックより24万4,000円高く、大型トラックより62万8,000円低い結果です。1時間あたりでは大型トラックとの差は約114円まで縮まります。全国でもタクシー・バス・中小型トラックがほぼ横並びで大型トラックが最も高いという構図があり(タクシー・バス・トラックの年収比較)、大阪はタクシーがバスや中小型トラックより一段上に出ている点が違います。
全タク連の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると、大阪府のタクシー運転者は47都道府県で東京に次ぐ2位です。大阪府の全産業労働者の年間推計額550万4,400円との差は71万4,000円で、全国平均の差94万7,400円より小さくなっています。
給与の中身|所定内32.9万円、超過分5.2万円、賞与22.6万円
大阪府のタクシー運転者の所定内給与額は32万8,600円、時間外・深夜手当などの超過労働給与額(きまって支給する額との差)は5万1,800円、年間賞与は22万5,600円で年収の約4.7%です。東京都(賞与9万7,100円、年収の約1.7%)よりは賞与の比重が大きく、全国平均(約4.4%)と同程度です。歩合給の計算の仕組みはタクシーの歩合給の計算と足切りで解説しています。
3年間の推移|457万〜487万円の範囲、労働者数の推計は大きく変動
令和5年・6年・7年の同じ表から、大阪府のタクシー運転者の数字を並べます。推計労働者数は表の「労働者数(十人単位)」を10倍した値です。
| 調査年 | 年間推計額 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 平均年齢 | 勤続年数 | 月間実労働時間 | 推計労働者数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年 | 4,869,500円 | 375,700円 | 361,100円 | 58.7歳 | 6.6年 | 176時間 | 約7,550人 |
| 令和6年 | 4,573,700円 | 347,500円 | 403,700円 | 60.0歳 | 8.8年 | 173時間 | 約1万2,630人 |
| 令和7年 | 4,790,400円 | 380,400円 | 225,600円 | 55.1歳 | 5.4年 | 198時間 | 約2万190人 |
年収は3年とも457万〜487万円の範囲に収まっていますが、推計労働者数が約7,550人から約2万190人へと大きく変わっており、平均年齢や月間労働時間も年ごとに動いています。この統計は毎年6月分の給与を企業規模10人以上の事業所から標本で調べたもので、調査対象に入る事業所が入れ替わると数字が動きます。令和7年の月間実労働時間198時間は令和6年より25時間長く、きまって支給する額が増えた背景には労働時間の違いも含まれていると読むのが慎重です。
なお、全タク連の資料の第4表にある「対前年増減」の列は、年収の増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減です(大阪は格差が令和6年の99万円から71万4,000円に縮小し、-27万6,000円)。
2025年11月の運賃改定|初乗り1.2km 600円、増収率10.88%
近畿運輸局は2025年10月6日、大阪地区(大阪府下)のタクシー運賃の改定を公示し、11月5日に実施されました。大阪市域交通圏・北摂交通圏の普通車の上限運賃は次のとおりです。
| 項目(普通車・上限運賃) | 改定前 | 改定後(2025年11月5日〜) |
|---|---|---|
| 初乗り | 1.3km 600円 | 1.2km 600円 |
| 加算運賃 | 260mごとに100円 | 231mごとに100円 |
| 時間距離併用制 | 1分35秒ごとに100円 | 1分25秒ごとに100円 |
| 初乗距離を短縮する場合の初乗り | 1.040km 500円 | 0.969km 500円 |
| 増収率 | 10.88% | |
近畿運輸局は「査定の考え方」として、改定要請の主要な理由のひとつが運転者の労働条件の改善であることを踏まえ、「実績における運送収入に対する運転者人件費の割合を維持した上で、健全な経営が成立する水準の運賃を設定する」という考え方で査定したと説明しています。あわせて大阪タクシー協会に対し、労働条件の改善措置を講ずることと、運転者の労働条件の改善状況や講じた措置を自主的に公表することを指導するとしています。
公表された収支表(原価計算の対象事業者分)では、令和5年度実績で運送原価に占める人件費の割合が67.80%でした。運賃の上昇分がどのように乗務員に配分されるかは各社の賃金規定で決まり、統計上の効果は改定後の調査で確認する必要があります。運賃と収入の関係はタクシーの運賃改定と収入で整理しています。
1日1車あたりの営業収入|大阪市域交通圏は3万8,775円
国土交通省が2024年7月に公表した準特定地域の速報値では、大阪市域交通圏の日車営収(1日1車あたりの営業収入)は令和5年度3万8,775円で、平成13年度の3万1,712円を上回っています。北摂交通圏は令和5年度3万4,264円で、平成13年度の4万2,503円を下回っています。同じ資料の特別区・武三交通圏(東京)は6万1,443円で、大阪市域交通圏との差は大きく開いています。この数字は2025年11月の運賃改定より前のものです。
大阪で採用している会社の公表条件
大阪府内に営業所があり、公式の募集要項に給与の数字を載せている会社の例です(2026年10月閲覧)。会社の比較や順位付けではなく、統計の平均と会社の公表値の違いを知るための参考として並べます。
| 項目 | 日本交通(大阪) | 阪急タクシー |
|---|---|---|
| 給与の形 | 入社後1年間は給与保障(大阪地区:月給30万円〜+歩合給、規定あり)。保障終了後は141,039円+割増保障9,345円+歩合給+諸手当 | 19万〜35万円以上可(基本給+諸手当+歩合給)。入社12か月間は保障給1日10,000円 |
| 公表している収入 | 直近1年目の新人の平均月収367,200円・平均年収488万円、全ドライバーの平均月収370,155円・平均年収500万円 | モデル年収:40歳代 約620万円(平均月収47.0万円+賞与2回57.8万円)、40歳代 約560万円、50歳代 約500万円 |
| 賞与・退職金 | 賞与年2回 | 賞与年2回、退職金制度あり |
| 勤務 | 隔日勤務 8:00〜翌2:00(休憩3時間・月12回程度)、日勤 8:00〜18:30 | 隔日勤務 拘束18時間(実働16時間・休憩2時間、1週間3勤1休)、日勤 拘束9時間 |
| 大阪府内の勤務地 | 大阪地区の各営業所(ほかに尼崎) | 高槻・吹田・大阪(淀川区)・池田の各営業所(ほかに京都府・兵庫県) |
日本交通(大阪)は大阪市西区に本社を置く会社で、東京の日本交通とは別の会社です。両社とも賞与を年2回支給すると公表しており、阪急タクシーのモデル年収では賞与が55万〜58万円と、統計上の大阪府の平均賞与(22万5,600円)より多くなっています。公表されている年収は会社が示す例や平均であり、勤務形態・出勤日数・営業所によって変わります。
大阪府内の求人は大阪府のタクシー求人、会社別には日本交通(大阪)・阪急タクシーのページから確認できます。給与保証の読み方はタクシーの給与保証の仕組み、賞与・退職金の確認方法はタクシーの賞与と退職金を参考にしてください。
大阪でタクシーの求人を比べるときの確認項目
- 営業区域:大阪市域交通圏と北摂交通圏など、交通圏によって1日1車あたりの営業収入が違います。
- 運賃改定後の賃金規定:2025年11月の改定の後、歩合率や保障額が変わったかどうか。
- 保障の期間と額:月給制の保障か日額の保障か、保障が終わった後の固定部分がいくらか。
- 賞与の算定方法:賞与が固定額か、売上に連動するか。
- 勤務形態と休憩:隔日勤務の拘束時間と休憩時間。ルールはタクシーの隔日勤務とはを参照してください。
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出典・一次情報
本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・1時間あたり・差額・割合は、公表値から本記事が計算したものです。
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の【最新版】) taxi-japan.or.jp(PDF)
- 近畿運輸局「大阪地区のタクシー運賃改定について」(2025年10月6日、別添1 新運賃・別添2 収支実績及び推定収支) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月31日、準特定地域における令和5年度速報値) mlit.go.jp
- 日本交通株式会社(大阪)採用サイト 募集要項 osaka-taxi.nikko-recruit.jp
- 阪急タクシー株式会社 タクシードライバー募集要項 hankyu-taxi.co.jp
数字の範囲について
賃金構造基本統計調査の大阪府の数字は府全体の値で、市単位の年収は公表されていません。対象は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者で、個人タクシーは含みません。額は税・社会保険料を引く前の額面です。会社の公表条件は閲覧日時点のもので、営業所や勤務形態によって異なる場合があります。



