女性タクシー運転手の現状|結論

この記事の結論

女性のタクシー乗務員は2026年3月末で全国14,388人、全乗務員に占める割合は5.9%で、人数・割合とも過去最多・過去最高です(全国ハイヤー・タクシー連合会)。前年度から1,310人(10.0%)増え、2年続けて10%を超える増加でした。
人数が多いのは東京2,191人、北海道1,061人、神奈川967人、大阪926人、福岡869人。割合が高いのは富山11.9%、群馬11.8%、岐阜11.6%で、東京は3.7%です。年代別では50代が34.1%で最も多くなっています。
働き方のルール(改善基準告示)は男女共通ですが、妊産婦は請求すれば深夜業をしなくてよく(労働基準法第66条)、小学校入学前の子を育てる人は深夜(午後10時から午前5時)の労働の制限を請求できます(育児・介護休業法第19条)。

タクシー乗務員は長く男性中心の職業でしたが、女性の人数はこの数年で大きく増えています。全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の「令和7年度の女性乗務員数の状況について」は、乗務員総数がおおむね横ばいの中で女性が前年度比10.0%増えたと記しています。

この記事では、全タク連と東京タクシーセンターの統計で女性乗務員の人数・地域・年代を確認し、深夜業や育児に関する法律上の制度と、会社の公式採用ページに書かれている設備・制度を整理します。性別の賃金は、全タク連の公表資料に掲載がないため扱っていません。

女性乗務員数の推移|6年で約4,300人増

全タク連の「都道府県別女性乗務員数の推移」から、全国の合計を各年3月末時点で並べました。2018年以降は国の「運転者証交付数」に基づく数字です。

時点女性乗務員数(全国)前年からの増減
2020年3月10,108人-
2021年3月9,723人-385人
2022年3月9,470人-253人
2023年3月9,673人+203人
2024年3月11,213人+1,540人
2025年3月13,078人+1,865人
2026年3月14,388人+1,310人

コロナ禍の2021〜2022年に減ったあと、2023年から増加に転じ、2024年3月からの3年間で毎年1,300人以上増えています。全タク連の資料では、女性乗務員の構成比は2026年3月末で5.9%と過去最高を更新しました。全タク連はドライバー不足の解消に向けた人材確保の基本的な考え方として、タクシーが職業選択の候補になっていない層に「若年者や女性」を挙げ、働きやすさを伝える情報提供に取り組むとしています。

都道府県別|人数は東京、割合は富山・群馬・岐阜

2026年3月末の都道府県別の数字を、人数・割合・増加率の上位で整理しました。割合は、その都道府県の全乗務員数に対する女性乗務員の比率です。

順位人数が多い割合が高い前年からの増加率が高い
1東京 2,191人(3.7%)富山 11.9%(100人)滋賀 24.1%(54人から67人)
2北海道 1,061人(7.7%)群馬 11.8%(173人)京都 20.9%(345人から417人)
3神奈川 967人(6.2%)岐阜 11.6%(183人)福岡 20.5%(721人から869人)
4大阪 926人(4.4%)新潟 9.7%(271人)大阪 18.7%(780人から926人)
5福岡 869人(6.9%)島根 9.7%(102人)石川 17.9%(117人から138人)

全タク連は、女性乗務員数はほとんどの都道府県で増え、18都道府県で10%を超える増加率だったとしています。地域別では関西の6府県のうち5府県で10%を超えて増えました。一方で富山・徳島・香川・佐賀は前年より減っています。人数の多い大都市圏ほど割合は低く、東京は3.7%、大阪は4.4%です。愛知は824人(7.8%)、沖縄は373人(5.7%)でした。各地の求人は地域別の求人から探せます。

タクシー運転手の求人をチェック

求人一覧を見る

年代別|50代が3割強、30代以下は約2割

全タク連の「年齢階層別・都道府県別女性乗務員数」(2026年3月末)から、全国の年代別の人数と構成比です。

年代人数構成比
25歳未満388人2.7%
25〜34歳1,646人11.4%(25〜29歳6.1%、30〜34歳5.4%)
35〜44歳1,951人13.6%(35〜39歳5.7%、40〜44歳7.9%)
45〜54歳4,019人27.9%(45〜49歳10.8%、50〜54歳17.1%)
55〜64歳4,188人29.1%(55〜59歳17.0%、60〜64歳12.1%)
65〜74歳1,714人11.9%(65〜69歳6.7%、70〜74歳5.2%)
75歳以上482人3.4%
合計14,388人100.0%

全タク連のまとめでは、50〜54歳(17.1%)と55〜59歳(17.0%)を合わせた50代が34.1%で最も多く、60代(18.8%)、40代(18.7%)が続きます。35歳未満は2,034人で全体の14.1%です。東京は35歳未満が564人と、東京の女性乗務員2,191人の約4分の1を占め、全国より若い層の割合が高くなっています。

東京の登録データ|法人の登録運転者の約4%が女性

東京23区・武蔵野市・三鷹市でタクシーに乗務するには東京タクシーセンターへの登録が必要で、センターは毎月の機関誌で登録者数を男女別に公表しています。2025年と2026年の8月末時点を比べました(かっこ内は女性)。

項目2025年8月末2026年8月末平均年齢(2026年)
登録運転者数(法人)66,190人(2,537人)67,486人(2,675人)55.5歳
運転者証交付数(法人)54,477人(1,898人)54,587人(1,943人)55.3歳
事業者乗務証交付数(個人)8,658人(80人)8,460人(88人)63.7歳

2026年8月末の法人の登録運転者に占める女性は2,675人で、割合は約4.0%です。1年間で女性の登録運転者は138人増えました。運転者証交付数(実際に乗務している人に近い数字)では1,943人で約3.6%です。個人タクシーの女性事業者は88人にとどまります。

女性が使える制度と会社の設備

タクシー運転者の拘束時間や休息期間を定めた改善基準告示は男女共通です。そのうえで、妊娠・出産・育児の時期には、法律で次の請求ができます。

制度内容根拠
妊産婦の深夜業の制限妊娠中と産後1年を経過しない女性(妊産婦)が請求した場合、会社は深夜業をさせてはならない。時間外労働・休日労働、変形労働時間制による1日・1週の法定時間超えの労働も、請求があればさせてはならない労働基準法第66条
育児中の深夜業の制限小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合、午後10時から午前5時までの間に労働させてはならない(事業の正常な運営を妨げる場合を除く。継続雇用1年未満の人などは対象外)。1回の請求で1か月以上6か月以内の期間育児・介護休業法第19条

深夜の流し営業が中心の隔日勤務は、これらの制度と組み合わせにくい働き方です。妊娠・育児の時期は、日中の日勤への切り替えが可能かを会社に確認しておくと安心です。改善基準告示では、日勤と隔日勤務を頻繁に入れ替えることは認められず、併用する場合は一定期間ごとに交替させる勤務割にするよう定められています。

会社の公式採用ページでは、女性に関係する設備・制度として次のような記載があります。大和自動車交通は、全車両にドライブレコーダーを搭載し緊急通報システムで女性乗務員の安全を確保していること、女性専用の休憩室やシャワールームを用意していることを説明し、募集要項の休暇欄に育児休暇・産前産後休暇を挙げています。日本交通は、子連れの母親や女性の高齢者から「女性乗務員のタクシーに乗りたい」という要望があるとし、女性乗務員が「毎月のように入ってきています」と書いています。

防犯設備の普及状況は、全国ハイヤー・タクシー防犯協力団体連合会の調査(2026年3月末、調査車両145,822台)で、防犯カメラ91.1%、車外防犯灯88.4%、GPS等と連動した緊急通報装置付無線機等75.2%、防犯仕切板72.9%でした。応募先の車両の設備は面接で確認できます。

女性が求人を選ぶときの確認ポイント

  • 勤務形態:隔日勤務・日勤・夜日勤のどれを選べるか、途中で変更できるか。日勤の求人は日勤のみの求人で探せます
  • 施設:女性用の休憩室・仮眠室・更衣室・シャワーの有無
  • 防犯設備:ドライブレコーダー、緊急通報装置、防犯仕切板
  • 休暇制度:産前産後休業・育児休業の取得実績、深夜業の制限の請求への対応
  • 給与:歩合給の計算方法と、短い勤務形態を選んだ場合の給与の目安

女性歓迎の求人は女性活躍の求人にまとめています。未経験から始める流れは未経験からタクシー運転手になるには、転職全体の流れはタクシー運転手への転職ガイド、年収の目安はタクシー運転手の年収(都道府県別)で確認できます。

この記事で扱わなかったこと

確認できなかった事項

(1) 女性タクシー運転者の平均年収:全国ハイヤー・タクシー連合会の「タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」は男女計の数字のみで、性別の年収は掲載されていません。(2) 女性乗務員が多い勤務形態の割合(日勤・隔日勤務など):公表統計が見つかりませんでした。(3) 乗務中のトラブルの男女別の件数:公的な統計がありません。これらは推測で書かず、記載を見送りました。

全タク連の女性乗務員数は、2017年以前は全タク連会員を対象とした調査(2013〜2017年は隔年)、2018年以降は運転者証交付数による集計で、2017年以前と2018年以降では数字の取り方が異なります。この記事では2020年以降の数字だけを使っています。

出典・一次情報

本記事の数字と制度の記述は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。

  • 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「令和7年度の女性乗務員数の状況について」(令和8年3月末現在) taxi-japan.or.jp(PDF):年齢階層別・都道府県別女性乗務員数、都道府県別女性乗務員数の推移
  • 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2026(ドライバー不足の解消に向けて)」 taxi-japan.or.jp(PDF)/「タクシーの防犯設備設置状況(令和8年3月31日現在)」 taxi-japan.or.jp(PDF)
  • 公益財団法人東京タクシーセンター「センターニュース」2026年10月号 tokyo-tc.or.jp(PDF)/2025年10月号 tokyo-tc.or.jp(PDF):登録運転者数・運転者証交付数・事業者乗務証交付数
  • e-Gov法令検索「労働基準法」(第66条) laws.e-gov.go.jp/「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(第19条) laws.e-gov.go.jp
  • 厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善基準のポイント」 mhlw.go.jp(PDF)
  • タクシー会社の公式採用ページ:大和自動車交通 採用よくあるご質問・未経験者中途採用 募集要項/日本交通 よくあるご質問