ハイヤーとタクシーの違い|結論

この記事の結論

ハイヤーもタクシーも法律上は同じ「一般乗用旅客自動車運送事業」で、運転には普通二種免許が必要です。違いは、ハイヤーが「運送の引受けが営業所のみで行われる」予約制の車で、地方運輸局からハイヤー運賃の認可を受けている点です(厚生労働省パンフレットの定義)。
運賃は、ハイヤーが時間制中心(東京の特別区・武三地区の大型車で初乗1時間又は15kmが上限7,390円)、タクシーが距離制中心(同地区で2026年4月20日から初乗1.0km 500円)です。
働き方も違い、厚生労働省の改善基準告示ではタクシーの拘束時間・休息期間の上限はハイヤー運転者には適用されず、時間外労働を年960時間以内とする規定がかかります。大手のハイヤー部門は日勤で月21〜23日勤務、タクシーは隔日勤務で月11〜13乗務が募集要項の典型です。

求人サイトでは「ハイヤー・タクシー」とひとまとめにされることが多いのですが、仕事の中身は別物です。タクシーは街や乗り場、配車アプリでお客様を見つけて走った分が売上になり、ハイヤーは契約企業や予約客の予定に合わせて動きます。

この記事では、厚生労働省・国土交通省関東運輸局・東京タクシーセンターの公表資料と、大手4社(日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車交通)の公式採用ページで確認できる事実だけを使って、制度・運賃・勤務・年収の違いを比較します。

制度上の違い|同じ事業で「引受けの方法」と「運賃」が違う

厚生労働省の「タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善基準のポイント」は、ハイヤーを「一般乗用旅客自動車運送事業の用に供せられる自動車であって、当該自動車による運送の引受けが営業所のみにおいて行われるもの」と定義し、具体的には「各地方運輸局長からハイヤー運賃の認可を受けた自動車」と説明しています。街で手を挙げて乗る、乗り場で待つ、といったタクシーの乗り方はハイヤーではできません。

項目ハイヤータクシー
事業の区分一般乗用旅客自動車運送事業一般乗用旅客自動車運送事業
必要な免許普通二種免許普通二種免許
運送の引受け営業所のみ(予約・契約)流し、乗り場、無線・配車アプリ
運賃ハイヤー運賃(時間制運賃が中心)タクシー運賃(距離制運賃が中心)
利用者(日本交通の説明)企業の役員やVIP、事前契約が必要幅広いお客様、契約不要
車両(日本交通の説明)レクサスなど高級車耐久性重視の車両
改善基準告示拘束時間・休息期間の上限は適用されない日勤288時間・隔日勤務262時間などの上限

二種免許が必要な根拠は道路交通法第86条で、旅客自動車を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転する人に第二種免許を求めています。ハイヤーもタクシーも同じ扱いです。大手の採用ではどちらも一種免許で応募して入社後に二種免許を取る前提で、取得費用は会社負担です。詳しくは二種免許の費用と取り方をご覧ください。

運賃の違い|ハイヤーは時間制、タクシーは距離制

関東運輸局長の公示「一般乗用旅客自動車運送事業(ハイヤー)の自動認可運賃等について」(平成26年2月28日、令和6年12月24日一部改正まで)は、特別区・武三地区のハイヤー(大型車)について時間制運賃・長期間契約運賃・距離制運賃を定めています。東京23区・武蔵野市・三鷹市のタクシー運賃は、東京ハイヤー・タクシー協会の案内(東京タクシーセンター掲載)によると2026年4月20日から改定されています。

区分運賃の単位上限運賃下限運賃
ハイヤー 時間制運賃 初乗1時間又は15km7,390円6,740円
ハイヤー 時間制運賃 加算30分又は7.5km3,360円3,070円
ハイヤー 長期間契約運賃B 初乗8時間又は120km35,860円32,730円
ハイヤー 距離制運賃 初乗7.5km5,150円4,700円
タクシー(普通車)初乗1.0km500円公定幅運賃の上限を選んだ場合の例
タクシー(普通車)加算232mごと(時速10km以下は1分25秒ごと)100円同上

時間制運賃は、関東運輸局の運賃制度の公示で「旅客の指定した場所に到着した時から旅客の運送を終了するまでの実拘束時間に応じた運賃」と定義されています。役員を朝迎えに行き、会議の間待機し、夕方に送る、という使い方を前提にした仕組みで、走った距離ではなく拘束した時間で料金が決まります。長期間契約運賃は、企業が専属で契約する使い方に対応した運賃です。

日本交通はハイヤー採用ページで、同じ「銀座〜羽田」の料金をハイヤー約21,000円、タクシー約6,000円と比較しています。ハイヤーの売上は1件あたりが大きく、件数で稼ぐタクシーとは収入の組み立てが根本的に違います。

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働き方の違い|勤務形態・労働時間のルール

厚生労働省の改善基準告示(2024年4月1日適用)は、タクシーとハイヤーで別のルールを定めています。

項目タクシー(日勤)タクシー(隔日勤務)ハイヤー
1か月の拘束時間288時間以内262時間以内(労使協定で270時間まで延長可・年6か月まで)上限の規定なし
1回の拘束時間1日13時間以内(上限15時間、14時間超は週3回までが目安)2暦日22時間以内、かつ2回平均21時間以内上限の規定なし
休息期間継続11時間以上を基本、9時間を下回らない継続24時間以上を基本、22時間を下回らない勤務終了後に一定の休息期間
時間外労働年960時間以内(自動車運転業務の上限規制)年960時間以内(自動車運転業務の上限規制)36協定で1か月45時間・1年360時間が限度、特別な事情でも1年960時間以内

厚生労働省のパンフレットは、ハイヤー運転者に拘束時間・休息期間の規定を適用しない理由を「その勤務の実態を踏まえ」と説明し、関係通達は「ハイヤー運転者は、タクシー運転者に比べて、一層柔軟に顧客の需要に対応する必要がある場合があり、休息期間の下限時間を定めることが困難」としています。そのうえで使用者は、各勤務の実態に即した適切な休息期間を与える必要があるとされています。

大手4社の募集要項で見る勤務の違い

会社タクシー乗務員ハイヤー乗務員
日本交通月間11〜13回乗務、1乗務15.5〜18時間(別途休憩3時間)8時30分〜17時15分、月21〜23日乗務(早出・残業あり)
国際自動車日勤(月22日乗務・実働7時間45分)か隔日勤(月11回乗務・実働15時間30分)を選択日勤の例7:15〜17:15、宿泊勤務の例8:15〜22:15(翌日明け休み)、月8〜10日休み
大和自動車交通月12〜13回乗務、基本7:45〜翌1:00(休憩3時間)8時〜18時(休憩120分、残業月平均26時間)、月21〜23日勤務
帝都自動車交通月間勤務日12〜13日、基本勤務7:45〜26:15月間勤務日15〜16日、基本勤務8:30〜24:30

タクシーは1回の乗務が長く出勤日数が少ない隔日勤務が中心、ハイヤーは平日の日中を中心に出勤日数が多い働き方です。日本交通はハイヤーについて「拘束時間は長いですが、実際の走行時間は3〜4割程度」「実質的な一日の運転時間は平均4〜5時間」と説明しています。タクシーの勤務形態は隔日勤務の求人と日勤のみの求人で比べられます。

年収の考え方|統計ではハイヤーはタクシーに含まれる

厚生労働省の賃金構造基本統計調査の「役職及び職種解説」では、職種「タクシー運転者」にハイヤー運転者・介護タクシー運転者・乗合タクシー運転者が含まれます。全国ハイヤー・タクシー連合会が集計した令和7年のタクシー運転者の年収(全国平均450万8,200円)は、ハイヤー運転者を含んだ数字ということです。ハイヤーだけの平均は公的統計では切り出せないため、各社の公式募集要項を並べて比べます。

会社タクシー乗務員(公式募集要項)ハイヤー乗務員(公式募集要項)
日本交通給与218,240円+歩合給、歩合率62%、未経験1年目の平均年収580万円(2023年度実績)、入社3か月40万円・その後9か月35万円保証基準賃金205,000円+勤続給+諸手当、入社1年目の平均年収490万円・2年目530万円・全乗務員600万円、乗務開始後6か月保障(初月40万円・5か月35万円)
国際自動車月給21万8,240円〜+歩合給+諸手当、年収ボリュームゾーン約433万〜約687万円(2025年度実績・隔日勤務)、研修後6か月は月給30万円補償月給22万800円〜、平均年収約545万円(2025年度)、研修後より月収28万5,000円の補償制度
大和自動車交通月収25万円〜、未経験者は乗務開始後12か月間給与保証(特別区・武三交通圏は年収400万円相当)平均26〜35万円(214,100円+諸手当)、年収例1年目450万円・2年目500万円・3年目530万円、未経験者は6か月間30万円保証
帝都自動車交通月給20万9,500円+歩合給+諸手当、未経験者は配属後5か月間・月額38万円の給与保障、賞与年3回月給22万5,500円+諸手当、配属後5か月間・月給40万円の給与保障、賞与年2回

読み取れるのは給与の組み立ての違いです。タクシーは歩合給が中心で、売上次第で上下に大きく振れます。賃金構造基本統計調査の第17表(令和7年)で、タクシー運転者の所定内給与額(月額・残業代などを除く)は、低い方から10%の位置が17万4,700円、90%の位置が46万6,000円と幅があります。ハイヤーは基本給・勤続給・評価給などの固定部分が大きく、国際自動車は評価給の対象に「きちんと休憩を取る」「無事故・無違反」といった取り組みを挙げています。統計の詳しい読み方はタクシー運転手の年収(都道府県別)で解説しています。

どちらが向いているか|仕事の性質から考える

公式ページに書かれている仕事の性質から、向き不向きを整理します。

こんな人合いやすい方根拠となる公式情報
自分の工夫で売上を伸ばしたいタクシー歩合給中心(日本交通は歩合率62%、日の丸交通はオール歩合給・歩合率61.81%を公表)
休みの日数を多く取りたいタクシー(隔日勤務)月11〜13乗務。帝都自動車交通は「通勤日数は約半分」と説明
平日日中中心で土日に休みたいハイヤー国際自動車は「専属ドライバーになると土日休み」、日本交通は「土休日の休みが多い」
接客・ビジネスマナーを活かしたいハイヤー日本交通は希望人材に「ホテルでの経験、接客、営業など人と接する仕事経験者」
お客様を探して走るのが苦手ハイヤー日本交通は「タクシーと違い自らお客様を探す必要はございません」
外国語を活かしたいどちらも可帝都自動車交通のハイヤーは英語・中国語・韓国語の会話を歓迎、国際自動車のタクシーにはバイリンガルタクシーのコース

会社によってはタクシーからハイヤーへの異動ルートもあります。国際自動車は「タクシードライバーからkmのハイヤー部門へ異動も可能」と採用サイトに記載しています。まずタクシーで二種免許と地理を身につけ、ハイヤーを目指すという順番も選べます。役員運転手の仕事内容は役員運転手の仕事内容で詳しく解説しています。

ハイヤーの求人はハイヤー・役員運転手求人と業態「ハイヤー」の求人、タクシーの求人はタクシードライバー求人と法人タクシーの求人にまとめています。二種免許がない人は二種免許の養成制度ありの求人、収入の立ち上がりが不安な人は給与保証ありの求人から探すと条件を比べやすくなります。

求人票では、(1)ハイヤー運賃の車か、運行管理請負(企業の白ナンバー車)か、(2)専属かスポット中心か、(3)給与のうち固定部分と歩合・評価給の割合、(4)保障期間の長さと条件、(5)残業の実績、を確認してください。各社の公式情報は採用企業別ページで確認でき、応募の準備は無料登録から進められます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の公表資料と公式ページに基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。

運賃・募集条件の変更について

運賃は地域・車種・事業者によって異なり、改定されることがあります。募集条件は閲覧日時点の公式募集要項の記載です。最新の情報は各運輸局・各社の公表資料で確認してください。