役員運転手の仕事内容|結論

この記事の結論

役員運転手は、企業の社長・役員の移動を専属で担う運転手です。働き方は「ハイヤー会社の乗務員として契約企業の役員を担当する」「ハイヤー会社などが企業の社用車(白ナンバー)の運行を請け負い、その運転手になる(運行管理請負)」「企業に直接雇われる」の3つに分かれます。
二種免許が必要なのは、旅客自動車運送事業(緑ナンバーのハイヤー)で旅客を運ぶ場合です(道路交通法第86条)。企業の自家用車を運転するだけなら法律上は一種免許で足りますが、ハイヤー会社は二種免許の取得費用を負担して取らせる募集が一般的です。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、役員車運転者を含む「乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)」の年収の目安(月給×12+賞与)は約371万円。ハイヤー会社4社の公式募集要項では、日本交通が入社1年目の平均年収490万円・2年目530万円、国際ハイヤーが平均年収約545万円(2025年度)、大和自動車交通が年収例1年目450万円、帝都自動車交通が配属後5か月間・月給40万円の給与保障を明記しています。

役員運転手は求人票で「専属運転手」「役員車運転手」「ハイヤー乗務員」「運行管理請負乗務員」など、いくつもの呼び方で募集されます。呼び方が違うと、雇い主・乗る車・必要な免許・労働時間のルールまで変わるのがこの職種のややこしいところです。

この記事では、道路交通法(e-Gov法令検索)、厚生労働省の改善基準告示と関係通達、ハイヤー会社の公式採用ページという一次情報だけを使い、仕事の中身と雇われ方の違いを整理します。年収・月給の数字はすべて各社の公式募集要項に書かれているものに限り、確認できない相場や口コミは載せていません。

役員運転手の仕事内容と1日の流れ

仕事の中心は、担当する役員の自宅への迎え、会社・取引先・会食・空港などへの送迎、待機、帰宅までの送りです。ハイヤー会社の公式採用ページには、役員送迎のほかの業務も具体的に書かれています。

  • 日本交通(ハイヤー):仕事内容を「社長役員の専属乗務員、海外の要人送迎、国公賓の送迎、冠婚葬祭、ゴルフ、観光のお供、車両の運行管理」と記載。
  • 国際ハイヤー(国際自動車グループ):「専属送迎サービス(役員車・社用車)」「定期送迎サービス(会社役員の通勤など、決められたルート・時間に送迎)」「スポット利用(来賓、空港、冠婚葬祭、会議・会合、ゴルフ)」「報道機関利用(新聞記者・カメラマンの取材移動)」の4つを挙げ、「役員運転手、専属運転手としてご活躍いただきます」と記載。

日本交通のハイヤー採用ページは「乗務員の一日」として、役員送迎を担当する乗務員の流れを紹介しています。内容を順に並べると次のとおりです。

順番業務公式ページに書かれている内容
1出社・車両点検制服に着替え、担当車両を確認し念入りにチェック
2始業前点呼測定器によるアルコールチェック、運行管理者から点呼と運行内容の指示
3自宅へお迎えお客様を出迎え、目的地まで送る
4打ち合わせ秘書と1日のスケジュールをもとに運行内容を打ち合わせ
5昼休みお客様の予定に合わせて昼食
6午後の乗務打ち合わせ先へ送迎し、待機中に次の経路などを確認
7帰庫・終業点呼運行内容を入力し、運行報告とアルコールチェック
8洗車・退社翌日に備えて車両を隅々まで洗車

タクシーとの大きな違いは、お客様を探して走る時間がなく、予定に合わせて動く時間と待つ時間が長いことです。日本交通はQ&Aで「ハイヤー乗務はタクシーに比べ拘束時間は長いですが、実際の走行時間は3〜4割程度」、別のページで「実質的な一日の運転時間は平均4〜5時間」と説明しています。一方で「全てお客様の都合に合わせて動く為、時間がどうしても不規則になりがち」とも書かれており、早朝の迎えや会食後の送りで終業が遅くなる日がある仕事です。

乗る車と求められる振る舞い

車両は高級車が中心です。日本交通のQ&Aでは「トヨタセンチュリーやレクサスをはじめとした国産高級車」、国際ハイヤーの募集要項では「レクサスLS、レクサスES、センチュリー、クラウン、アルファード、bZ4X」などを挙げています。日本交通はさらに、顧客企業が保有する白ナンバー車の運行を業務委託で受ける場合があり、「ベンツ・BMWなどの外車も含めた運行」「左ハンドルの運転経験のある方は有利」と記載しています。

車内では商談や電話の内容が耳に入るため、守秘と接遇が仕事の一部です。日本交通はハイヤー乗務員を「秘書検定等、専門スキルを備えた運転のプロフェッショナル」と位置づけ、希望人材として「ホテルでの経験、接客、営業など人と接する仕事経験者」を挙げています。

雇われ方は3つ|ハイヤー会社・運行管理請負・企業直雇用の違い

同じ「役員運転手」でも、誰に雇われ、どのナンバーの車を運転するかで前提が変わります。公表資料で確認できる範囲で比較します。

項目ハイヤー会社の乗務員運行管理請負の乗務員企業の直接雇用
雇い主ハイヤー会社ハイヤー会社など請負会社役員が所属する企業
運転する車ハイヤー会社の車(緑ナンバー・事業用)顧客企業の社用車(白ナンバー・自家用)自社の社用車(白ナンバー・自家用)
法律上の免許普通二種免許が必要(道路交通法第86条)一種免許で運転できる一種免許で運転できる
改善基準告示ハイヤー運転者の規定(拘束時間の上限は適用されず、時間外労働は年960時間まで)運転が主たる業務なら「バス運転者等」の規定運転が主たる業務なら「バス運転者等」の規定
公式ページの例日本交通・国際ハイヤー・大和自動車交通・帝都自動車交通のハイヤー乗務員日本交通「運行管理請負乗務員」、国際ハイヤー「ドライバー派遣/役員車運転手(運行管理請負)」各企業の求人による

運行管理請負は、ハイヤー会社が企業の社用車の運転・整備・事故対応までをまとめて引き受けるサービスです。国際ハイヤーは公式サイトで「お客さまの役員車や社用車の運転や整備、万一の事故対応などをトータルで請け負うサービス」と説明し、提供エリアを東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県としています。日本交通の会社概要では、ハイヤー2,350台のうち1,050台が「運行管理請負」です(2026年5月現在)。ハイヤー会社に入社しても、配属によっては白ナンバーの役員車を担当する可能性があるということです。

二種免許が要るのはどんなときか

道路交通法第86条は、旅客自動車を「旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者」に第二種免許を求めています。ハイヤーは一般乗用旅客自動車運送事業なので普通二種免許が必要ですが、企業が自社の役員を自社の車で運ぶのは運送事業ではないため、条文上は一種免許で運転できます。

ただしハイヤー会社の募集は、一種免許で応募して入社後に二種免許を取る前提です。日本交通は「最短6日間で二種免許取得(契約教習所利用)」「2種免許取得費用 会社全額負担」、国際ハイヤーは「指定公認自動車学校で研修を受けることで、技能試験が免除になり、学科試験のみ受験するので約10日間で2種免許が取得可能」「費用は全額会社負担」と明記しています。二種免許の費用や取り方は二種免許の費用と取り方で詳しく解説しています。

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求められる経験・資格|ハイヤー会社4社の応募資格

ハイヤー会社の応募資格は「免許の経歴」と「年齢」が中心で、運転の職歴は問わない会社がほとんどです。各社の公式募集要項(2026年10月13日閲覧)を並べます。

会社募集職種応募資格(公式募集要項の記載)歓迎・求める人物
日本交通ハイヤー乗務員、運行管理請負乗務員学歴不問、年齢21歳以上、運転免許取得3年以上経過ホテルでの経験、接客、営業など人と接する仕事経験者
国際ハイヤー(国際自動車)ハイヤードライバー(役員運転手・専属運転手)学歴・経験不問、未経験者歓迎、普通免許取得1年以上人と接することが好きな方、外国語のスキルがある方
大和自動車交通ハイヤー乗務員/運行管理乗務員第一種免許取得3年以上、あるいは第二種運転免許所持者記載なし
帝都自動車交通ハイヤー乗務員普通自動車免許取得3年以上(AT限定可)、21歳〜50歳位まで、東京都心の地理に精通の方第二種免許所持者、英語・中国語・韓国語の会話が多少でもできる方

未経験者の割合も公表されています。日本交通は「95%以上が未経験スタート」「前職ホテルマン、不動産営業、銀行員と、多種多様な業界から未経験で入社される方がほとんど」、国際ハイヤーは「99%の社員が未経験からのスタート」と記載しています。日本交通のQ&Aでは乗務員の平均年齢を47.5歳としています。

注意点として、日本交通はハイヤー営業所では寮や社宅借上を行っておらず「営業所に通勤できる範囲に自宅を構えている方という条件」を設けていると明記しています。都心の営業所に勤務するため、マイカー通勤も控えるよう案内しています。

労働時間と休日|改善基準告示のルールと各社の勤務

運転手の労働時間には、労働基準法に加えて厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)がかかります。役員運転手の場合、雇われ方でどの規定が当てはまるかが変わります。

  • ハイヤー会社の乗務員:厚生労働省のパンフレットは「ハイヤー運転者には、その勤務の実態を踏まえ、タクシー運転者に適用される拘束時間、休息期間等の規定は適用されません」としたうえで、36協定の時間外労働は1か月45時間・1年360時間が限度、臨時的な特別の事情があっても1年960時間以内、勤務終了後に一定の休息期間を与えること、と定めています。ここでいうハイヤーは「運送の引受けが営業所のみにおいて行われるもの」で、地方運輸局長からハイヤー運賃の認可を受けた車です。
  • 企業の自家用車(白ナンバー)の運転手:改善基準告示の関係通達(令和4年12月23日 基発1223第3号)は、告示が「運送を業とするか否かを問わず」適用され、自家用自動車の運転者にも適用されると明記しています。人を運ぶ自家用車の運転手は「バス運転者等」の規定(告示第5条)に入り、旅館の送迎バスやスクールバスの運転者と同じ扱いです。
項目バス運転者等の規定(自家用の役員車の運転手が該当し得る)ハイヤー運転者の規定
1日の拘束時間13時間以内(上限15時間、14時間超は週3回までが目安)上限の規定なし
1日の休息期間継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない勤務終了後に一定の休息期間
1か月・1年の拘束時間1か月281時間以内・1年3,300時間以内など上限の規定なし(時間外労働は年960時間以内)
運転時間2日平均で1日9時間以内、連続運転4時間以内規定なし

なお同じ通達は、「自動車の運転の業務に主として従事する」かどうかを実態で判断するとし、運転する時間が労働時間の半分を超え、年間でも半分を超える見込みの場合を目安にしています。待機が長い役員運転手が当てはまるかは個別の実態によるため、直接雇用の求人では勤務時間と休日の定めを募集要項で確認してください。

ハイヤー会社4社の勤務時間・休日

会社勤務時間(公式募集要項)勤務日数・休日
日本交通始業8時30分・終業17時15分(仕事の内容により早出、残業あり)月間21〜23日乗務(シフト制)、休日は月7〜10日
国際ハイヤー日勤の例7:15〜17:15、8:15〜18:15、宿泊勤務の例8:15〜22:15、6:00〜20:00(待機時間を含む)シフト制で月8〜10日休み、専属ドライバーは土日休み、宿泊勤務の翌日は明け休み
大和自動車交通8時〜18時(休憩120分、残業月平均26時間)月21〜23日勤務(シフト制)
帝都自動車交通1か月単位変形労働時間制、基本勤務8:30〜24:30月間勤務日15〜16日、公休日月8〜9日

専属の役員送迎は平日中心です。日本交通は「平日の需要が多いため、土休日の休みが多い」、国際ハイヤーは「専属ドライバーになると土日休み」と書いています。タクシーの隔日勤務(月11〜13乗務)とは生活リズムがまったく違う点を押さえておきましょう。

給与・年収|公式募集要項に書かれている数字

厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、役員運転手が入る職種があります。同調査の「役職及び職種解説」では、「乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)」に自家用乗用自動車運転者・送迎運転者・役員車運転者・代行運転者が含まれ、ハイヤー運転者は「タクシー運転者」の側に含まれると定めています。令和7年調査(産業計・企業規模10人以上・男女計)の数字は次のとおりです。

職種(賃金構造基本統計調査)平均年齢勤続年数月の労働時間(所定内+超過)きまって支給する現金給与額年間賞与等年収の目安(月給×12+賞与)
乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)=役員車・自家用車・送迎・代行運転者59.5歳7.8年182時間(162+20)28万1,700円32万9,400円約371万円
タクシー運転者(ハイヤー運転者・介護タクシー運転者を含む)56.8歳8.3年192時間(169+23)35万9,200円19万7,800円約451万円

「乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)」には代行運転者や送迎運転者も含まれるため、役員運転手だけの平均ではありません。それでも、企業の自家用車を運転する職種は月給が低めで賞与の比重が大きいという傾向は読み取れます。年収の目安は、全国ハイヤー・タクシー連合会がタクシー運転者の年収に使っている「月間給与×12+年間賞与」の式で計算しました。

ハイヤー会社が公式募集要項に載せている数字は次のとおりです。

会社基本の給与未経験者の保障公表されている年収賞与
日本交通基準賃金205,000円+勤続給+諸手当乗務開始後6か月、初月40万円・その後5か月35万円入社1年目の平均490万円、2年目530万円、全乗務員600万円年2回
国際ハイヤー月給22万800円〜(研修約1か月は日給1.2万円)研修終了後より月収28万5,000円の補償制度(社内規定あり)平均年収約545万円(2025年度)、モデル年収500万円(経験2年)臨時給年2回
大和自動車交通平均26〜35万円(214,100円+諸手当)、研修中は日給1万円乗務開始後6か月間30万円保証(経験者は4か月間)年収例 1年目450万円、2年目500万円、3年目530万円年2回
帝都自動車交通月給22万5,500円(一部手当含む)+諸手当、研修中は日給11,000円配属後5か月間、月給40万円の給与保障(計200万円)記載なし(退職金の定年時実績を公表)年2回

日本交通の数字は採用情報ページのもので、同社の別ページ(ハイヤー乗務員の魅力)では「2〜5年目までの乗務員の平均年収530万円、全乗務員の平均年収580万円」「2025年5月に給与改定があったため上記より平均が20万円アップする見込み」と記載されています。同じ会社でも掲載ページで数字が違うため、応募時には最新の条件を確認してください。

タクシー運転者の年収は歩合給が中心で幅が大きいのに対し、ハイヤーは基本給と手当の比重が大きい給与体系が募集要項から読み取れます。タクシー運転者の統計はタクシー運転手の年収(都道府県別)にまとめています。

向いている人と応募前の確認ポイント

公式ページの記載から読み取れる、この仕事で求められることは次の4つです。

  1. 時間の正確さと段取り:秘書とスケジュールを打ち合わせ、待機中に次の経路を確認する仕事です。日本交通の乗務員インタビューには「政治関係のお客様を乗せて秒刻みのスケジュールに対応」という見出しもあります。
  2. 接遇と守秘:利用者は企業の役員やVIPで、日本交通は秘書検定などのスキルにも触れています。
  3. 待機を苦にしないこと:拘束時間に対して運転時間は短く、待つ時間の過ごし方が問われます。
  4. 不規則さへの対応:基本は日勤でも、早出・残業・宿泊勤務がある会社があります。

応募前には、(1)ハイヤー(緑ナンバー)か運行管理請負(白ナンバー)か、(2)専属か、日々担当が変わるスポット中心か、(3)給与保障の期間と条件、(4)残業の実績と休日の取り方、(5)寮の有無と通勤条件、を確認すると入社後のずれを防げます。

当サイトでは、ハイヤー会社の乗務員と役員運転手の求人をハイヤー・役員運転手求人にまとめています。業態から探す場合はハイヤーの求人、二種免許を持っていない人は二種免許の養成制度ありの求人、未経験からの人は未経験歓迎の求人と給与保証ありの求人が入口になります。外国語を活かしたい人はインバウンド対応の求人も確認してください。

会社ごとの公式情報は日本交通、国際自動車、大和自動車交通、帝都自動車交通の各ページで確認できます。ハイヤーとタクシーの制度の違いはハイヤーとタクシーの違いで詳しく解説しています。気になる求人が見つかったら無料登録から応募の準備を進められます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の公表資料と公式ページに基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。

募集条件の変更について

給与・保障・勤務時間は各社の閲覧日時点の公式募集要項の記載で、予告なく変わることがあります。応募前に各社の最新の募集要項と説明会で必ず確認してください。