二種免許の一発試験|結論

この記事の結論

一発試験(直接受験)は、教習所に通わず運転免許試験場で適性・学科・技能の試験を受けて二種免許を取る方法です。学科は95問・50分で90%以上、技能は減点式で80%以上が合格基準です。技能試験は2025年4月の改正で「AT車の項目(路上での乗降の停車・転回・鋭角コースなど)」と「MT車の項目(場内コース)」に分かれ、それぞれ80%以上が必要になりました(AT限定はAT車の項目だけ。MTは経過措置で当分は旧方式も可)。
東京都の費用は試験手数料9,800円と取得時講習の受講料30,300円で、1回で合格すれば合計40,100円。不合格のたびに受験料と試験車使用料(計7,450円)がかかります。
警察庁の統計では、令和7年の普通二種の合格者33,740人のうち95.9%(32,348人)が指定教習所の卒業者で、学科・技能を試験場で受けて合格した人は1,059人、学科免除で技能だけ受けて合格した人は333人でした。直接受験だけの合格率は公表されていません。

二種免許は、指定自動車教習所を卒業して試験場で学科試験だけを受ける方法と、試験場で技能試験まで受ける方法(いわゆる一発試験)のどちらでも取れます。教習所の料金が20万円台なのに対し、一発試験は試験場に払う手数料だけなら数万円で済むため、費用を抑えたい人が検討する方法です。

この記事では、警視庁・神奈川県警察などの公式案内、道路交通法施行規則、警察庁の技能試験実施基準と運転免許統計という一次情報だけを使い、受験資格、試験の流れ、試験内容、費用、そして統計から見える実態を整理します。合格のコツや体験談のような、確認できない情報は載せていません。

受験資格|21歳・経歴3年と、視力・深視力の基準

警視庁の「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)」の案内では、受験資格は次のとおりです。

項目基準
年齢21歳以上(受験資格特例教習を修了した人は19歳以上)
免許経歴大型・中型・準中型・普通・大型特殊免許のいずれかを現に受けており、通算3年以上(免許停止期間を除く)。または他の二種免許を取得していること。特例教習を修了した人は1年以上
住所東京都内(警視庁で受験する場合)
視力両眼で0.8以上、かつ一眼でそれぞれ0.5以上(眼鏡等による矯正可)
深視力三桿法の奥行知覚検査器で3回検査し、平均誤差が2センチメートル以下
聴力両耳の聴力(補聴器で補われた聴力を含む)が10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること

特例教習で19歳・経歴1年から受験した場合、警視庁は受験時に特例教習の「修了証明書」の持参を求めています。特例教習の仕組みは19歳から取れる二種免許の特例教習で解説しています。

普通二種の技能試験に使う普通自動車を運転できる第一種免許(普通免許)を持っていない場合は、路上練習申告書と仮運転免許証が必要になります。普通免許を持っている人が普通二種を受ける場合はこれらは不要です。

試験の流れ|東京都(府中・鮫洲)の例

警視庁の案内による、直接受験の流れと受付時間は次のとおりです。受験日は平日のみ(土日・祝休日・年末年始は休み)で、学科試験は完全予約制です。

  1. 適性試験と学科試験:府中運転免許試験場または鮫洲運転免許試験場で受験。学科試験を受ける人の集合は午前受験が8時、午後受験が11時。
  2. 技能試験の予約:技能試験は予約制で、予約は適性試験の合格後。適性試験の当日は技能試験を受けられません。
  3. 技能試験:技能試験の受付は8時30分から16時30分。
  4. 取得時講習:技能試験の合格後に申し込み、受講。受講しなければ免許証は交付されません。
  5. 免許証の交付。

すでに別の二種免許を持っている人など学科試験が免除される人は、適性試験を8時30分から16時00分までに受け付けます。中型二種の技能試験は鮫洲では受けられませんが、普通二種は府中・鮫洲のどちらでも受験できます。他の道府県では試験場や日程が異なるため、住所地の都道府県警察の案内を確認してください。

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試験内容|学科95問・90%、技能はAT・MTの項目それぞれ80%

試験の中身は全国共通です。適性試験と学科試験は広島県警察の「運転免許試験の種類・学科試験・技能試験」の案内、技能試験は道路交通法施行規則第24条(2025年4月1日施行の改正後)から整理します。

試験内容合格基準
適性試験視力(両眼0.8以上・一眼0.5以上)、深視力(2.5メートルの距離で3回、平均誤差2センチ以下)、色彩識別、聴力各基準を満たすこと
学科試験国家公安委員会が作成する「交通の方法に関する教則」から出題。正誤式の筆記試験で95問(うち5問はイラスト問題)・50分90%以上
技能試験運転装置を操作する能力、交通法規に従って運転する能力、運転姿勢その他安全に運転する能力を減点式で採点。普通二種はAT車を使う項目とMT車を使う項目に分かれるAT車の項目・MT車の項目のそれぞれ80%以上(AT限定はAT車の項目だけ)。第一種は70%以上

技能試験の課題|2025年4月からAT車の項目とMT車の項目に

道路交通法施行規則の改正(令和6年内閣府令第60号、2025年4月1日施行)で、普通免許と普通二種の技能試験は「AT自動車を使用して行う項目」と「AT自動車以外の自動車(MT車)を使用して行う項目」に分かれました。改正後の第24条による項目と走行距離は次のとおりです。

区分項目普通免許(第一種)普通二種
AT車の項目(路上)道路における走行(発進・停止を含む)ありあり
交差点の通行ありあり
横断歩道の通過ありあり
人の乗降のための停車及び発進なしあり
転回なしあり
方向変換又は縦列駐車ありあり
鋭角コースの走行なしあり
走行距離4,500メートル以上6,000メートル以上
MT車の項目(場内コース)幹線コース及び周回コースの走行、交差点の通行ありあり
横断歩道及び踏切の通過ありあり
曲線コース、屈折コース及び坂道コースの走行ありあり
方向変換ありあり
鋭角コースの走行なしあり
走行距離1,200メートル以上1,200メートル以上
合格基準AT・MTの項目それぞれ70%以上AT・MTの項目それぞれ80%以上

AT車の項目を先に行い、AT車の項目で合格基準に届かなければMT車の項目は行いません。AT限定の普通二種を受ける人は、AT車の項目だけで判定されます(同条第3項・第4項・第10項)。改正前の普通二種は、上の表のAT車の項目と同じ7項目(走行距離6,000メートル以上)を1回の試験で行い、80%以上で合格という方式でした。

ただし同府令の附則第2条第2項は、AT限定を除く普通二種の技能試験について「当分の間、なお従前の例によることができる」としています。警察庁の「運転免許技能試験実施基準」(令和8年2月4日付け通達、同年4月1日から運用)も、AT車とMT車に分ける「新試験方法」と改正前の「旧試験方法」の両方を前提に書かれています。MTの普通二種をどちらの方法で行うかは試験場によって異なり、警視庁の直接受験の案内にも記載がないため、受験する都道府県警察に確認してください。都道府県警察のページには、改正前の課題の書き方のままのものもあります。

路上での乗降の停車(指定場所1回・直前合図3回)や転回、鋭角コースの切り返し回数、二種で厳しくなる急発進・急ブレーキの採点基準など、技能試験の中身は二種免許の技能試験の課題と採点基準で詳しく解説しています。鋭角コースや乗降の停車は指定教習所の教習でも二種特有の課題として練習するもので、直接受験の場合は練習の場所と方法を自分で確保する必要があります。

費用|東京都で最低40,100円、再受験のたびに7,450円

警視庁の案内では、直接受験の手数料は9,800円(受験料4,500円、試験車使用料2,950円、免許証交付料2,350円)で、再試験の場合はその都度、受験料と試験車使用料がかかります。合格後には取得時講習の受講料30,300円が別途必要です。

取得時講習の中身は、神奈川県警察の案内で確認できます。二種免許の取得時講習は「旅客車講習」6時間(19,200円)と「応急救護処置講習(二種)」6時間(11,100円)の2つで、合計30,300円は東京都の受講料と一致します。島根県警察の案内では、旅客車講習の内容は危険を予測した運転、夜間の運転、悪条件下での運転などで、応急救護処置講習は第一種より内容が拡大されたもの(静岡県警察)とされています。指定教習所を卒業した人(卒業から1年以内)は取得時講習が免除されます。

ケース(東京都・普通二種)試験場に払う費用計算
直接受験で1回で合格40,100円9,800円+取得時講習30,300円
直接受験で3回目に合格55,000円40,100円+再受験2回分(4,500円+2,950円)×2
直接受験で5回目に合格69,900円40,100円+再受験4回分7,450円×4
指定教習所を卒業して学科試験のみ4,150円(別に教習料)受験料1,800円+免許証交付料2,350円

指定教習所の教習料は、公表料金で税込20万円台(新小岩自動車学校の普通二種AT 253,000円など)です。上の表の直接受験の金額には、技能試験に備えるための練習費用は含まれていません。教習所の料金の例と比較は二種免許の費用と取り方にまとめています。

統計で見る一発試験|合格者の95.9%は教習所の卒業者

警察庁「運転免許統計 令和7年版」には、運転免許試験の合格者を「学科試験及び技能試験を受けて合格した人(学技試験合格者)」「学科試験免除で技能試験を受けて合格した人(技能のみ試験合格者)」「指定自動車教習所の卒業者(指定校卒合格者)」に分けた表があります。普通二種の推移は次のとおりです。

年学技試験合格者技能のみ試験合格者指定校卒合格者合格者計指定校卒の割合
平成28年1,327人309人13,217人14,853人89.0%
令和3年727人224人10,027人10,978人91.3%
令和4年783人225人12,015人13,023人92.3%
令和5年1,094人354人21,776人23,224人93.8%
令和6年1,266人470人32,808人34,544人95.0%
令和7年1,059人333人32,348人33,740人95.9%

令和7年に試験場で技能試験を受けて普通二種に合格した人は、学技試験合格者と技能のみ試験合格者を合わせて1,392人(合格者全体の約4.1%)です。普通二種の合格者は令和3年から令和7年で約3.1倍になりましたが、増えたのはほぼ教習所の卒業者で、試験場で技能試験を受けた合格者(学技試験と技能のみの合計)は令和3年の951人から令和6年の1,736人の範囲にとどまっています。タクシー会社の養成制度の多くが教習所を使うことも、この構成に表れていると考えられます。

直接受験の合格率は公表されていない

同じ統計の「運転免許試験受験者数、合格者数の前年比較」では、令和7年の普通二種の受験者数は55,964人、合格者数は34,019人、合格率は60.8%です。ただしこの受験者数は延べ人員で、教習所の卒業者が試験場で受ける学科試験も含みます。直接受験の人だけの受験者数・合格率は公表されていないため、「一発試験の合格率は何%」という数字は統計からは出せません。

一発試験と教習所・会社の養成制度、どれを選ぶか

3つの取り方を、公表されている条件で比べます。

項目直接受験(一発試験)指定教習所(自費)タクシー会社の養成制度
費用(本人負担)東京都で最低40,100円(再受験ごとに7,450円)。練習費用は別教習料20万円台+試験手数料4,150円会社負担(条件は会社の規定による)
技能試験試験場で受験(AT・MTの項目それぞれ80%以上)卒業検定に合格すれば免除教習所を使う会社が多く、免除
取得時講習別途受講(30,300円)教習に含まれ免除同左
日程平日のみ。技能は予約制で、適性試験の当日は受けられない最短3日(2025年9月以降)会社の公表値で最短9〜10日
収入なしなし研修中も日給1万〜1.2万円(大手の公表値)

すでに大型二種など別の二種免許を持っている人は学科試験が免除され、技能試験だけで普通二種を取れます。一方、タクシー会社に入ることが決まっているなら、会社の養成制度を使えば費用負担なく教習所で取れる場合がほとんどです。養成制度の内容は二種免許の養成制度で、大手各社の比較とともにまとめています。

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出典・一次情報

本記事の制度・数字は、次の公表資料に基づいています(特記のないものは2026年10月13日閲覧)。

  • 警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)」 keishicho.metro.tokyo.lg.jp/「(指定教習所を卒業された方)」 同
  • 広島県警察「運転免許試験の種類・学科試験・技能試験」 pref.hiroshima.lg.jp(適性試験・学科試験)
  • 道路交通法施行規則 第24条(技能試験)、令和6年内閣府令第60号 附則第1条・第2条(2026年10月14日閲覧) e-Gov法令検索
  • 警察庁「運転免許技能試験実施基準について(通達)」令和8年2月4日 丙運発第2号(同年4月1日から運用、2026年10月14日閲覧) npa.go.jp(PDF):第2(新試験方法・旧試験方法の定義)、第11(合格基準)
  • 神奈川県警察「取得時講習」 police.pref.kanagawa.jp/島根県警察「普通第二種免許取得時の講習」 pref.shimane.lg.jp/静岡県警察「取得時講習」 pref.shizuoka.jp
  • 警察庁「運転免許統計 令和7年版」 npa.go.jp(PDF):運転免許試験受験者数・合格者数の前年比較、運転免許試験合格者中の指定自動車教習所卒業者の占める割合の年別推移
  • 警察庁「普通第二種免許に係る教習カリキュラムの見直しについて」 npa.go.jp/「第二種免許等の受験資格の見直しについて」 同
  • 新小岩自動車学校「普通二種教習料金」 shinkoiwa-ds.co.jp

手数料・日程について

試験手数料と講習受講料は都道府県ごとに定められ、改定されることがあります。本記事の金額は東京都(警視庁)の閲覧日時点の案内です。受験前に住所地の都道府県警察の最新の案内を確認してください。