深視力検査と二種免許|結論
この記事の結論
二種免許を取るにも更新するにも、三桿法の検査器で2.5メートルの距離から3回測り、平均誤差2センチメートル以下という深視力の基準を満たす必要があります。
根拠は道路交通法施行規則第23条で、深視力が求められるのは大型免許・中型免許・準中型免許・けん引免許・第二種免許(と大型・中型・準中型の仮免許)です。普通免許(第一種)には深視力の基準がありません。
同規則第29条第8項により、免許の更新時の適性検査にも第23条の基準(色彩識別を除く)がそのまま当てはまるため、深視力は取得時だけでなく更新のたびに確かめられます。鳥取県警察は「合格基準に達しない場合は、免許の更新をすることができません」と案内しています。
タクシーの運転者は二種免許を受けていることが法令上の要件なので、深視力は乗務を続けるうえでも関わる基準です。
タクシーの仕事を調べると、二種免許の「深視力検査」がたびたび話題になります。普通免許の取得や更新では受けたことがない人がほとんどのため、何を測るのか、基準に届かなかったらどうなるのかが気になるところです。
この記事では、道路交通法施行規則・道路交通法施行令の条文(e-Gov法令検索)と、警視庁・大阪府警察・愛知県警察・鳥取県警察の公式案内、指定自動車教習所の公表している入所条件だけを使って、深視力検査の基準・方法・受けるタイミングを整理します。検査の「コツ」や体験談のような、確かめられない情報は載せていません。二種免許の受験資格全体は二種免許の受験資格で解説しています。
深視力が必要な免許|施行規則第23条の原文で確認
運転免許の適性試験の科目と合格基準は、道路交通法施行規則第23条の表で決まっています。深視力の欄の原文は次のとおりです。
大型免許、中型免許、準中型免許、大型仮免許、中型仮免許、準中型仮免許、牽引免許及び第二種免許に係る適性試験にあつては、三桿法の奥行知覚検査器により二・五メートルの距離で三回検査し、その平均誤差が二センチメートル以下であること。
第二種免許には大型二種・中型二種・普通二種・大型特殊二種・けん引二種のすべてが含まれるため、タクシーで使う普通二種も対象です。同じ条文の視力の欄も、深視力と同じ免許の組み合わせに「両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上」を求めています。免許の種類ごとに整理すると次のとおりです。
| 免許の種類 | 視力の基準(矯正を含む) | 深視力 |
|---|---|---|
| 第二種免許(大型二種・中型二種・普通二種など) | 両眼0.8以上、かつ一眼それぞれ0.5以上 | 必要(2.5m・3回・平均誤差2cm以下) |
| 大型免許・中型免許・準中型免許・けん引免許(各仮免許を含む) | 両眼0.8以上、かつ一眼それぞれ0.5以上 | 必要 |
| 普通免許・大型特殊免許・二輪免許など | 両眼0.7以上、かつ一眼それぞれ0.3以上(一眼が0.3未満の場合は他眼の視野150度以上・視力0.7以上) | 不要 |
| 原付免許・小型特殊免許 | 両眼0.5以上(一眼が見えない場合は他眼の視野150度以上・視力0.5以上) | 不要 |
警視庁の「適性試験の合格基準」では、中型第一種免許(8トン限定)と準中型第一種免許(5トン限定)は普通免許と同じ欄に入っており、深視力の欄には「中型第一種免許(限定なし)、準中型第一種免許(限定なし)」と書かれています。古い普通免許から切り替わった限定付きの中型・準中型免許しか持っていない人は、これまで深視力検査を受けたことがない可能性がある、ということです。
検査の方法|三桿法の奥行知覚検査器で3回
「三桿法(さんかんほう)」は、3本の棒を使って奥行きの見え方を測る方法です。大阪府警察の「免許の種類と視力等の基準」では、次のように説明されています。
- 3本の棒のうち、両側の2本は動かず、真ん中の1本が両側の棒の位置を中心に前後に動く。
- 真ん中の棒が両側の棒の間を通った(3本が並んだ)と感じたときに、検査器のボタンをすばやく押して棒を止める。
- これを3回行い、3回の平均誤差が2センチ以内であれば合格。
距離は2.5メートルで、施行規則の原文どおり「三回検査し、その平均誤差」で判定します。1回ごとの誤差ではなく3回の平均で決まる点が、条文から読み取れるポイントです。
| 項目 | 基準(施行規則第23条) |
|---|---|
| 検査器 | 三桿法の奥行知覚検査器 |
| 距離 | 2.5メートル |
| 回数 | 3回 |
| 合格基準 | 平均誤差が2センチメートル以下 |
練習法や「見え方のコツ」を紹介する情報もありますが、公的機関が示しているのは上の方法と基準だけです。本記事ではそれ以上の情報は扱いません。
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求人一覧を見る深視力を測る場面|教習所の入所時・試験場・更新時
二種免許を目指す人が深視力を測られる場面は、大きく分けて3つあります。
| 場面 | 根拠・公表元 | 内容 |
|---|---|---|
| 指定自動車教習所の入所時 | 教習所の公表する入所条件 | 新小岩自動車学校は普通二種の条件に「深視力2cm以内(眼鏡・コンタクト可)」、調布自動車学校は「3回の平均誤差が2cm以下」を掲げている |
| 運転免許試験場の適性試験 | 道路交通法施行規則第23条 | 二種免許の試験の一部として視力・深視力・聴力などを検査 |
| 免許の更新時の適性検査 | 同規則第29条第8項 | 第23条第1項の基準(色彩識別を除く)を準用。二種免許を持つ限り更新のたびに深視力を検査 |
教習所に通う場合も、入所の段階で基準が求められる
教習所の普通二種コースは、入所条件として二種免許の適性基準を満たしていることを求めています。上の2校のほか、両校とも視力「片目0.5以上・両目0.8以上」、色彩識別、年齢・免許経歴の条件を並べて示しています。会社の養成制度で教習所に通う場合も、入社前後の早い段階でこの基準を確かめることになります。養成制度の仕組みは二種免許の養成制度、教習の期間は二種免許の教習所の期間で解説しています。
更新時にも深視力を測る|施行規則第29条第8項
道路交通法第101条第5項は、免許証の更新を申請した人に公安委員会が「自動車等の運転について必要な適性検査」を行うと定めています。その基準について施行規則第29条第8項は「第二十三条第一項の規定(色彩識別能力に係る部分を除く。)は、法第百一条第五項に規定する適性検査について準用する」としています。つまり、更新時の適性検査でも、二種免許を持っている人には深視力の基準がそのまま当てはまります。更新期間の前に更新する「特例更新」の適性検査も同様です(第29条の2第6項)。
警視庁も「運転免許更新時には適性試験を行いますが、それぞれの免許種別により合格基準が異なります」と案内しており、深視力の合格基準の対象として第二種免許を挙げています。
適性試験の結果は1年間
道路交通法第90条第1項は、免許を与える対象を「適性試験を受けた日から起算して、第一種免許又は第二種免許にあつては一年を(略)経過していない者」に限っています。試験場で適性試験に合格したあと、学科試験・技能試験に時間がかかって1年を過ぎると、適性試験から受け直しになる仕組みです。
眼鏡・コンタクトレンズは使える
施行規則第23条の視力は「万国式試視力表により検査した視力で、矯正視力を含む」とされ、眼鏡やコンタクトレンズで矯正した視力で判定されます。深視力についても、新小岩自動車学校は「眼鏡・コンタクト可」、調布自動車学校は視力について「眼鏡又はコンタクトレンズの使用可」と入所条件に書いています。愛知県警察は適性試験の案内で「『めがね』や『コンタクトレンズ』等を使用している方は、必ず持参してください」と呼びかけています。
なお、道路交通法第91条は、公安委員会が免許を受ける人の「身体の状態」に応じて運転について必要な条件を付すことができると定めており、施行規則第29条第6項にはその例として「眼鏡等、補聴器又は特定後写鏡等を使用すべきこととする」条件が出てきます。免許証に眼鏡等の条件が付いている場合は、乗務中も条件どおりに使用してください。
基準に届かないとき|更新できない場合と「申請による取消し」
鳥取県警察の「視力が低下された方の更新手続」は、二種免許を含む適性検査の基準を示したうえで「合格基準に達しない場合は、免許の更新をすることができません」と案内しています。二種免許を持つ人が更新時に深視力の基準を満たせない場合、二種免許をそのまま更新することはできない、ということです。
このときに関係する制度が、道路交通法第104条の4の「申請による取消し」です。免許を受けた人は住所地の公安委員会に免許の取消しを申請でき、あわせて「他の種類の免許(政令で定める種類のものに限る。)を受けたい旨の申出」をすることができます。申し出た免許は、取り消した免許を受けた日に受けたものとみなされます(同条第4項)。申出できる免許の種類は道路交通法施行令第39条の2の3の表で決まっています。
| 取り消す免許 | 受けたい旨を申し出ることができる免許(施行令第39条の2の3) |
|---|---|
| 普通第二種免許 | 普通免許、小型特殊免許、原付免許 |
| 中型第二種免許 | 中型免許、準中型免許、普通免許、小型特殊免許、原付免許、普通第二種免許 |
| 大型第二種免許 | 大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許、小型特殊免許、原付免許、中型第二種免許、普通第二種免許 |
表のうち、二種免許・大型免許・中型免許(限定なし)・準中型免許(限定なし)はどれも深視力の基準がある免許です。深視力が理由で更新できない場合に現実的な受け皿になるのは、深視力の基準がない普通免許などです。実際の手続き・必要書類・手数料は住所地の都道府県警察(運転免許センター・試験場)で確認してください。本記事で確認した範囲では、更新時に深視力だけが基準に届かなかった場合の手続きを具体的に説明した警察の公表ページは見つかりませんでした。
タクシーの仕事との関係|二種免許がなければ乗務できない
タクシーなど旅客自動車運送事業の運転者の要件は、道路運送法第25条にもとづく「旅客自動車運送事業用自動車の運転者の要件に関する政令」で定められています。その第3号は「運転する事業用自動車の種類に係る道路交通法に規定する第二種運転免許を受けており、かつ、その効力が停止されていないこと」です。
深視力は二種免許を取るときと更新のたびに確かめられるため、タクシー運転者として働き続けるうえでも関わる基準です。年齢を重ねてからの働き方は60代のタクシー運転手、事業者が受けさせる適性診断(高齢運転者向けの適齢診断など)はタクシーの適性診断で解説しています。
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出典・一次情報
本記事の基準と制度は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月14日閲覧)。
- 道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)第23条・第29条・第29条の2 e-Gov法令検索
- 道路交通法(昭和35年法律第105号)第90条・第91条・第101条・第104条の4 e-Gov法令検索/道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)第39条の2の3 e-Gov法令検索
- 旅客自動車運送事業用自動車の運転者の要件に関する政令(昭和31年政令第256号) e-Gov法令検索
- 警視庁「適性試験の合格基準」(2025年10月30日更新) keishicho.metro.tokyo.lg.jp
- 大阪府警察「免許の種類と視力等の基準」 police.pref.osaka.lg.jp
- 愛知県警察「適性試験(視力等)の合格基準」 pref.aichi.jp
- 鳥取県警察「視力が低下された方の更新手続」 pref.tottori.lg.jp
- 指定自動車教習所の入所条件:新小岩自動車学校 普通二種教習料金/調布自動車学校 二種免許
手続きの確認について
適性試験・更新時の適性検査の実施方法や、基準に届かなかった場合の手続きは都道府県警察ごとに案内が異なることがあります。受験・更新の前に、住所地の運転免許試験場・運転免許センターの最新の案内を確認してください。



