都市別のタクシーの働き方|結論
この記事の結論
タクシー運転者の年収(年間推計額)は東京570万3,500円、大阪479万400円、愛知422万5,200円、福岡383万4,800円(令和7年賃金構造基本統計調査を全国ハイヤー・タクシー連合会が集計、都道府県単位)。東京は47都道府県で1位、大阪2位、愛知7位、福岡19位です。
月間労働時間は東京・大阪198時間、福岡199時間、愛知177時間で、年収を労働時間で割った目安は東京約2,400円、大阪約2,016円、愛知約1,989円、福岡約1,606円です。
法人タクシーの車両数は東京30,264台、大阪14,340台、愛知6,905台、福岡8,365台(2025年3月末、国土交通省調べ)。東京だけで全国の約18%を占めます。
4都市はいずれもタクシー運転者の試験がある「指定地域」で、地理試験は2024年2月に廃止され、今は法令・安全・接遇の試験です。日本版ライドシェアも4都市を含む12都市とその周辺で雨天時の拡充対象になっています(2024年7月)。
「タクシー 求人 東京」「タクシー 求人 大阪」のように、タクシーの仕事は都市名で探されることが多い職種です。同じタクシー運転者でも、都市によって年収・労働時間・市場の大きさ・必要な試験が違います。
この記事では、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)が厚生労働省の統計を集計した資料、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の都道府県別の表(e-Stat)、全タク連「TAXI TODAY in Japan 2026」に掲載された国土交通省の車両数、国土交通省の報道発表と通達、東京タクシーセンターの案内という一次情報だけを使い、東京・大阪・名古屋・福岡を中心に都市ごとの違いを整理します。統計は都道府県単位で、市単位の年収は公表されていない点に注意してください。
都市別の年収と労働時間|全タク連第4表から
全タク連「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」の第4表から、主要都市を含む都道府県を抜き出しました。年間推計額は「6月分のきまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で、税込みの額面です。1時間あたりの目安は、年間推計額を月間労働時間の12倍で割った本記事の計算値です。年間推計額の対前年増減は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別第3表(令和6年・令和7年、職種「タクシー運転者」)から同じ式で両年の年間推計額を求めた本記事の計算値です(令和7年の計算値は第4表と一致)。第4表にも「対前年増減」の列がありますが、これは年収ではなく全産業との格差の増減(令和7年の格差-令和6年の格差)を示す列なので、ここでは使っていません。
| 都道府県(主な都市) | 年間推計額 | 全国順位 | 全産業との格差 | 月間労働時間 | 1時間あたりの目安 | 年間推計額の対前年増減 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京(特別区・武蔵野・三鷹) | 5,703,500円 | 1位 | 1,076,300円 | 198時間 | 約2,400円 | +681,000円 |
| 大阪(大阪市) | 4,790,400円 | 2位 | 714,000円 | 198時間 | 約2,016円 | +216,700円 |
| 神奈川(横浜市・川崎市) | 4,489,400円 | 4位 | 1,431,700円 | 201時間 | 約1,861円 | +280,100円 |
| 千葉(千葉市) | 4,488,000円 | 5位 | 861,300円 | 168時間 | 約2,226円 | +1,147,600円 |
| 京都(京都市) | 4,456,600円 | 6位 | 880,000円 | 208時間 | 約1,785円 | +588,700円 |
| 愛知(名古屋市) | 4,225,200円 | 7位 | 1,478,500円 | 177時間 | 約1,989円 | -525,900円 |
| 北海道(札幌市) | 4,203,200円 | 8位 | 462,400円 | 223時間 | 約1,571円 | +928,600円 |
| 埼玉(さいたま市) | 4,130,400円 | 10位 | 1,005,300円 | 177時間 | 約1,945円 | -680,900円 |
| 兵庫(神戸市) | 4,038,900円 | 12位 | 1,416,300円 | 179時間 | 約1,880円 | +547,700円 |
| 広島(広島市) | 3,994,100円 | 13位 | 1,139,200円 | 189時間 | 約1,761円 | +498,100円 |
| 福岡(福岡市・北九州市) | 3,834,800円 | 19位 | 1,168,500円 | 199時間 | 約1,606円 | +150,800円 |
| 宮城(仙台市) | 3,346,900円 | 27位 | 1,646,300円 | 187時間 | 約1,491円 | +339,500円 |
| 全国 | 4,508,200円 | - | 947,400円 | 192時間 | 約1,957円 | +359,700円 |
格差は「その都道府県の全産業労働者の年間推計額-タクシー運転者の年間推計額」です。読み取れることは3つあります。第一に、東京は年収も1時間あたりの目安も最も高く、全国平均を約120万円上回ります。第二に、大阪は全産業との格差が71万4,000円と小さく、地元で他の仕事に就いた場合との差が主要都市の中で北海道に次いで小さい水準です。第三に、愛知は月間労働時間が177時間と短めで、年収は7位でも時間あたりでは大阪に近い水準です。
全タク連は注記で、小規模な都道府県は調査対象事業所が少なく実情が正確に反映されていない可能性があること(注1)、東京と地方を比べる際は住居費の大きな差を考慮すべきこと(注2)を挙げています。表の主要都市でも、千葉は1年で1,147,600円増え、愛知は525,900円、埼玉は680,900円減っています。年ごとの動きが大きいため、単年の順位だけで判断しないでください。47都道府県すべての数字はタクシー運転手の年収(都道府県別47表)に載せています。
市場の大きさ|法人タクシーの事業者数と車両数
全タク連「TAXI TODAY in Japan 2026」に掲載された国土交通省調べ(2025年3月末現在)の都道府県別データです。法人タクシーの事業者数と車両数は一般タクシーのみ(ハイヤー・福祉限定車両を除く)です。
| 都道府県 | 法人タクシー事業者数 | 法人タクシー車両数 | 個人タクシー車両数 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 376社 | 30,264台 | 9,116台 |
| 大阪 | 232社 | 14,340台 | 2,217台 |
| 神奈川 | 173社 | 9,404台 | 1,949台 |
| 北海道 | 332社 | 8,870台 | 1,401台 |
| 福岡 | 236社 | 8,365台 | 1,573台 |
| 愛知 | 115社 | 6,905台 | 409台 |
| 兵庫 | 177社 | 6,240台 | 866台 |
| 京都 | 71社 | 5,638台 | 1,688台 |
| 広島 | 207社 | 4,761台 | 809台 |
| 宮城 | 158社 | 3,284台 | 481台 |
| 全国 | 5,398社 | 167,404台 | 25,009台 |
東京の法人タクシー車両数は全国の約18%、大阪は約9%を占めます(本記事の計算)。愛知は事業者数115社に対して車両数6,905台で、1社あたりの車両数が多い構成です。福岡は車両数で愛知を上回ります。京都と東京は個人タクシーの比率が高いのが特徴で、東京の個人タクシーは9,116台あります。個人タクシーの開業を将来の選択肢にする場合、市場の大きさも判断材料になります。
タクシー運転手の求人をチェック
求人一覧を見る制度の違い|運転者登録・試験・地理試験の廃止
国土交通省の報道発表(2015年9月30日)によると、2015年10月から法人タクシー運転者の登録制度は全国に拡大され、どの地域でも講習を修了して登録を受けないと乗務できません。そのうえで13の指定地域(札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡)では、講習に加えて「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」の合格が必要です。
| 地域 | 運転者登録 | 登録時の試験 | 地理試験(廃止前) |
|---|---|---|---|
| 東京(特別区・武蔵野市・三鷹市) | 必要(東京タクシーセンター) | あり。45問・36問以上で合格(正答率80%)、手数料3,400円 | 2015年以前から実施。2024年2月29日廃止 |
| 横浜・大阪 | 必要 | あり(法令・安全・接遇) | 2015年以前から実施。2024年2月29日廃止 |
| 名古屋・福岡ほか指定地域 | 必要 | あり(法令・安全・接遇) | 2015年10月から実施。2024年2月29日廃止 |
| 指定地域以外 | 必要(講習の修了) | なし | なし |
国土交通省の通達(2024年2月29日改正)では、現在の試験は法令・安全・接遇の45問(60分)で、合格基準は特定指定地域が正答率80%以上、それ以外の指定地域が70%以上です。東京特定指定地域の基準は東京タクシーセンターが公表している80%(45問中36問)です。他の都市がどちらの区分にあたるかは、管轄の地方運輸局や登録実施機関の案内で確認してください。地理試験の廃止の経緯は地理試験の廃止と今の試験で詳しく解説しています。
大都市の会社は「車庫待ち等」の特例を原則使えない
労働時間のルール(改善基準告示)は全国共通で、隔日勤務は1か月262時間・2暦日22時間(2回平均21時間)以内、日勤は1か月288時間・1日13時間以内です。ただし、車庫で待機して需要に応じる「車庫待ち等」の運転者には別の上限があり、その要件の一つが「事業場が人口30万人以上の都市に所在していないこと」です(2024年4月の改正適用時にすでに車庫待ち等として扱われている事業場は当分の間対象)。東京・大阪・名古屋・福岡のような大都市の流し営業中心の会社は、原則として標準の上限で勤務が組まれます。隔日勤務の詳しいルールはタクシーの隔日勤務を参照してください。
日本版ライドシェア|主要12都市から全国149地域へ
自家用車活用事業(日本版ライドシェア)は、タクシー事業者の管理のもとで、地域の自家用車と一般ドライバーが有償で旅客を運ぶ制度で、2024年4月に始まりました。全タク連「TAXI TODAY in Japan 2026」には、2024年4月8日の「東京特別区・武三交通圏 日本版ライドシェア出発式」の写真が掲載されています。
国土交通省の報道発表(2024年6月28日)では、当時全15地域で運行が始まり32地域で検討中とされ、7月1日から雨天時(1時間5ミリ以上の降水が予報される時間帯)にも使えるよう拡充されました。その対象地域は東京都特別区、横浜市・川崎市、名古屋市、京都市、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市とその周辺の12都市です。TAXI TODAYによると、導入実績は149地域・1,009事業者・10,964台(2026年4月5日)に広がっています。
ライドシェアのドライバーは第一種免許で参加でき、タクシー会社が研修と運行管理を行います。運行できる曜日・時間帯や台数は地域ごとに設定され、見直されることがあるため、最新の条件は各地方運輸局の公表資料で確認してください。求人はライドシェアドライバー求人とライドシェアの求人から探せます。
主要4都市の特徴と求人の探し方
ここまでの数字を、主要4都市ごとにまとめます。
東京|年収570万円・車両3万台・全国最大の市場
年間推計額5,703,500円で全国1位、月間労働時間198時間。法人タクシーは376社・30,264台、個人タクシーは9,116台です。東京特別区・武蔵野市・三鷹市(東京特定指定地域)で乗務するには東京タクシーセンターでの登録と試験(45問・36問以上)が必要です。TAXI TODAYによると、特別区・武三地区の普通車の上限運賃は初乗り1.0キロ500円、加算232メートル100円(2026年4月20日現在)です。大手各社の給与保証や養成制度はタクシーの給与保証の仕組みと二種免許の養成制度で比較しています。求人は東京都のタクシー求人、会社別は日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車交通・日の丸交通から。
大阪|年収479万円で全国2位、全産業との差が小さい
年間推計額4,790,400円で全国2位、月間労働時間198時間。全産業との格差は714,000円で、東京(1,076,300円)より小さく、大阪で働く他の職種との差が比較的少ない地域です。法人タクシーは232社・14,340台、個人タクシーは2,217台。大阪は2015年以前から地理試験があった地域の一つで、2024年2月に廃止されています。求人は大阪府のタクシー求人、会社別は日本交通(大阪)・阪急タクシーのページから。
名古屋(愛知)|労働時間177時間、年収は前年から52万円減
年間推計額4,225,200円で全国7位、月間労働時間は177時間と主要都市の中では短めです。年間推計額は令和6年の4,751,100円から525,900円減っており(e-Statの都道府県別第3表から本記事が計算)、表の主要都市で前年より減ったのは愛知と埼玉だけです。全産業との格差は令和6年の733,200円から1,478,500円に広がりました(第4表)。法人タクシーは115社・6,905台で、個人タクシーは409台と少なめです。名古屋は13指定地域の一つで、運転者登録時に試験があります。求人は愛知県のタクシー求人、会社別は名鉄交通のページから。
福岡|車両数は愛知を上回り、労働時間は199時間
年間推計額3,834,800円で全国19位、月間労働時間199時間。法人タクシーは236社・8,365台、個人タクシーは1,573台で、車両数は愛知より多くなっています。福岡県内では福岡市と北九州市が13指定地域に含まれます。全産業との格差は1,168,500円です。求人は福岡県のタクシー求人、会社別は福岡西鉄タクシーのページから。
都市を選ぶときの確認項目
- 年収は時間あたりで見る:年間推計額を月間労働時間とあわせて読む。東京と愛知のように、年収の差ほど時間あたりの差が大きくない組み合わせもある。
- 住居費を含めて考える:全タク連も東京と地方の比較では住居費の差を考慮するよう注記している。寮・社宅のある会社もある。
- 試験と登録の手続き:指定地域では登録時に法令・安全・接遇の試験がある。他の指定地域の合格証があれば試験の免除を受けられる。
- 働き方の選択肢:隔日勤務・日勤・夜勤の有無、ライドシェアや観光・介護タクシーなど関連職種の求人。
- 会社の制度:給与保証・養成制度・歩合率は会社ごとに違うため、都市の平均より会社の募集要項を優先して確認する。
地域ごとの求人は地域別の求人ページから都道府県・市を選んで探せます。職種別にはタクシードライバー求人、観光タクシードライバー求人、介護タクシー・福祉輸送ドライバー求人があり、インバウンド対応を活かしたい人はインバウンド対応の求人も参考になります。
出典・一次情報
本記事の数字・制度は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月13日閲覧)。
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の訂正版【最新版】) taxi-japan.or.jp(PDF):第4表(都道府県別)
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2026」(事業者数と車両数、タクシーの運賃・料金、交通空白の解消に向けて) driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp(PDF)
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」一般労働者 都道府県別第3表「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 令和7年 e-stat.go.jp/令和6年 e-stat.go.jp:年間推計額の対前年増減の計算に使用(2026年10月14日閲覧)
- 国土交通省 報道発表「タクシー運転者登録制度を全国に拡大します」(平成27年9月30日) mlit.go.jp/「日本版ライドシェアで雨天時のタクシー不足の解消を目指します」(令和6年6月28日) mlit.go.jp
- 国土交通省 物流・自動車局旅客課長通達(国自旅第346号、令和6年2月29日。東北運輸局山形運輸支局の周知文書に別添) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 公益財団法人東京タクシーセンター「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」 tokyo-tc.or.jp/「登録手続きについて」 同
- 厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善基準のポイント」パンフレット mhlw.go.jp(PDF)
統計の単位について
年収・労働時間は都道府県単位の統計で、市単位の数字ではありません。1時間あたりの目安、全国に占める割合、年間推計額の対前年増減は、公表値をもとにした本記事の計算です。小規模な地域は調査対象が少なく、年ごとの変動が大きい点に注意してください。



