ハイヤーの年収|結論

この記事の結論

ハイヤーの年収は、会社の公式募集要項に載っている平均年収の実績で見ると約490万〜650万円です。
公的統計にはハイヤー運転者だけの年収はありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、ハイヤー運転者は職種「1612 タクシー運転者」に含まれ、その年収(月間給与×12+年間賞与)は全国450万8,200円、東京570万3,500円です(令和7年、全国ハイヤー・タクシー連合会の集計)。
公式募集要項では、日本交通が入社1年目の平均490万円・全乗務員の平均600万円、国際自動車(国際ハイヤー)が平均約545万円(2025年度)、帝都自動車交通が1年目の平均650万円(2025年実績)、京王自動車が平均想定556万円、大阪エムケイのグランドパイロット(ハイヤー)が平均631万円(2023年度実績)と公表しています。
タクシーが歩合給中心なのに対し、ハイヤーは固定給に手当・賞与を足す組み立てが中心で、入社後3〜12か月の給与保障を設ける会社が多くなっています。

「ハイヤー 年収」で調べると、平均値の出どころが書かれていない数字が多く見つかります。この記事では、ハイヤー運転手の年収・給与だけに絞り、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の原文(職種の定義と統計表)、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の集計、ハイヤー会社の公式募集要項という一次情報で整理します。口コミや求人サイトの数字は使っていません。

ハイヤーとタクシーの制度・運賃・働き方の違いはハイヤーとタクシーの違い、会社ごとの概要はハイヤー会社一覧、仕事の大変さはハイヤー運転手はきつい?で解説しています。

統計でのハイヤー運転者|職種番号1612「タクシー運転者」に含まれる

賃金構造基本統計調査は、厚生労働省が毎年6月分の賃金などを調べる統計です。厚生労働省のワーキンググループ報告書の概要によると、令和2年調査から職種は「日本標準職業分類と整合し、全労働者を網羅する職種区分」に変更されました。令和7年調査の「役職及び職種解説」(e-Stat掲載、2026年6月26日公開)では、ハイヤー運転者の扱いが次のように書かれています。

1612 タクシー運転者
○(含まれる職種の例)介護タクシー運転者、タクシー運転者、タクシー乗務員、乗合タクシー運転者、ハイヤー運転者
×(含まれない職種の例)代行運転者(運転代行業)(1613)
仕事の概要 営業用乗用自動車を運転する仕事に従事するものをいう。

つまり、統計の「タクシー運転者」の年収には、ハイヤー会社で緑ナンバーのハイヤーに乗務する人が含まれます。区分を見直す前の令和元年調査の職種解説でも、「タクシー運転者」には「大型タクシー運転者、小型タクシー運転者、ハイヤー運転者」が含まれていました。ハイヤーだけを切り出した年収は、令和2年の前も後も公表されていません。

職種番号・名称含まれる職種の例(原文)仕事の概要(原文)
1612 タクシー運転者介護タクシー運転者、タクシー運転者、タクシー乗務員、乗合タクシー運転者、ハイヤー運転者営業用乗用自動車を運転する仕事に従事するもの
1613 乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)自家用乗用自動車運転者、送迎運転者、役員車運転者、代行運転者(運転代行業)自家用の乗用自動車を運転して役員・従業員若しくは来客を送迎する仕事、又は他人の求めに応じて、自家用乗用自動車の運転を代行する仕事に従事するもの

分かれ目は「営業用(緑ナンバー)か、自家用か」です。企業に直接雇われて社用車を運転する役員車運転者は1613に入ります。1613の令和7年の年収の目安は約371万円で、詳しくは役員運転手の仕事内容にまとめています。

仕事の内容で分類する決まり

同調査の用語の解説では、職種は「事業所で使われている職種の名称が、ここで用いている名称と異なっていても、内容が同一である場合」はその職種として扱うとされています。また、一人の仕事が二つ以上の職種にまたがる場合は「仕事の内容と責任の程度からみて重要な職種へ分類する」としています。会社での呼び名が「ハイヤー乗務員」「VIPドライバー」でも、営業用乗用自動車を運転する仕事であれば1612として集計される、という読み方になります。

統計の年収|全国450万8,200円・東京570万3,500円(ハイヤー運転者を含む)

全タク連は、令和7年賃金構造基本統計調査からタクシー運転者の賃金を集計し、2026年10月6日付で訂正版(【最新版】)を公表しています。年収は「月間給与(6月分のきまって支給する現金給与額)×12+年間賞与」で計算した「年間推計額」です。

区分タクシー運転者(ハイヤー運転者を含む)全産業の労働者月間労働時間(タクシー運転者)
全国450万8,200円545万5,600円192時間
東京570万3,500円677万9,800円198時間
大阪479万400円550万4,400円198時間

全国の内訳は、月間給与35万9,200円(うち所定内給与30万6,400円)、年間賞与19万7,800円、平均年齢56.8歳、平均勤続年数8.3年です。賞与が少なく月給の比重が大きいのは、歩合給が中心のタクシーの賃金の特徴がそのまま出ているためです。全タク連は、歩合給制度では「売上水準に応じて賃金が変動する」ため、平均賃金だけで他産業と単純比較することには留意が必要だとしています。

ハイヤーは東京の都心に集中しています(後述)。統計の中のハイヤー運転者の多くは東京の数字に入っていると考えられますが、それでも東京の570万3,500円はタクシー運転者と合わせた平均です。都道府県別の数字はタクシー運転手の年収(都道府県別)、東京の詳細は東京のタクシー運転手の年収で解説しています。

企業規模別に見ると、1,000人以上の会社は年収の目安が約506万円

ハイヤーを運行する会社には、タクシー大手のハイヤー部門など規模の大きい会社が含まれます。参考として、e-Statの令和7年賃金構造基本統計調査(職種)第1表から、タクシー運転者(男女計)の数字を企業規模別に並べ、全タク連と同じ式(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)で年収の目安を計算しました。

企業規模きまって支給する現金給与額(月)年間賞与その他特別給与額年収の目安(編集部計算)月間労働時間(所定内+超過)
企業規模計(10人以上)35万9,200円19万7,800円約450万8,000円192時間(169+23)
1,000人以上41万5,800円6万9,100円約505万9,000円235時間(193+42)
100〜999人39万円21万3,600円約489万4,000円192時間(168+24)
10〜99人29万5,400円18万4,000円約372万9,000円187時間(169+18)

1,000人以上の企業は年収の目安が高い一方、超過実労働時間が月42時間と長く、月給の高さには残業代などが含まれます。この表もハイヤー運転者だけの数字ではないため、ハイヤーの年収を知るには、次の章の会社の公表値と合わせて見る必要があります。

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ハイヤー会社8社の公式給与例|月給・給与保障・平均年収

ハイヤー乗務員の給与を公式採用ページで公表している会社を、順位を付けずに並べます。数字は各社の表記どおりで、いずれも2026年10月14日に閲覧した内容です。

会社(勤務地)月給・固定給給与保障公表されている年収・月収賞与・昇給
日本交通(ハイヤー中央・赤坂・銀座営業所)基準賃金20万5,000円+勤続給+諸手当乗務開始後6か月間(初月40万円、その後5か月35万円)入社1年目の平均年収490万円、2年目の平均530万円、全乗務員の平均600万円賞与年2回
国際自動車(国際ハイヤー丸の内・品川・日本橋支店、国際自動車大阪)月給22万800円〜研修終了後より月収28万5,000円の補償制度(業務協力給、社内規定あり)平均年収約545万円(2025年度)。モデル年収500万円(経験2年、月給×12か月+臨時給年2回)昇給年1回、臨時給年2回
帝都自動車交通(新橋・神田・日本橋・渋谷・銀座・竹橋営業所)月給22万5,500円(一部手当を含む)+諸手当配属後5か月間、月給40万円(計200万円)1年目の平均年収650万円(2025年実績)賞与年2回(7月・12月)、昇給年1回(4月)
大和自動車交通(銀座・日比谷営業所)平均26万〜35万円(21万4,100円+諸手当)乗務開始後6か月間30万円(未経験者)、経験者は4か月間年収例 1年目450万円、2年目500万円、3年目530万円昇給年1回、賞与年2回
京王自動車(ハイヤー営業所、渋谷区笹塚)入社2年目以降22万3,000円以上(時間外手当・深夜手当等は別途)乗務開始より12か月間30万円月収例30万〜35万円、平均想定年収556万円(賞与含む)賞与年3回(業績により)
国際興業(ハイヤー田町営業所、港区三田)月給23万3,900円〜(基本給22万5,300円+世帯手当8,600円)公表なし月収モデル約43万円(月給+無事故手当+残業代+各種手当)賞与平均約72.5万円/年(令和8年度予定)、昇給年1回、賞与年2回
マーベラスハイヤージャパン(江戸川区、成田・羽田空港の送迎)月給25万円以上公表なし入社1年目の月収例30万円以上(月給25万円+各種手当+賞与)賞与(業績により支給)
大阪エムケイ(グランドパイロット職。豊中市・大阪市西成区・泉佐野市)ハイヤー昼勤 固定給32万円、ハイヤー夜勤 固定給37万円(いずれも+業績給)入社後3か月間、月給40万円平均年収実績631万円(2023年度実績)賞与年2回

羽田交通(日本交通グループ)は公式採用サイトの募集要項がタクシー乗務員のもので、ハイヤー乗務員の給与は公表されていません。同社の条件は羽田交通の会社ページで確認できます。

「平均」「モデル」「想定」「例」は意味が違う

表の年収は、会社によって表し方が異なります。実績の平均(日本交通の「入社1年目の平均給与」、国際自動車の「平均年収(2025年度)」、帝都自動車交通の「1年目の平均年収(2025年実績)」、大阪エムケイの「平均年収実績(2023年度実績)」)と、計算上の例(国際自動車の「モデル年収」、京王自動車の「平均想定年収」、大和自動車交通の「年収例」)は、同じ物差しではありません。比べるときは、年度と「実績か想定か」をそろえて読んでください。

帝都自動車交通は、実際のドライバーの3年間の年収推移例として、前職が事務の50歳の人が1年目553万円・2年目631万円・3年目748万円、前職が印刷業の54歳の人が500万円・580万円・721万円と公表しています。京王自動車は採用ページのよくある質問で、トップの年収について「ご担当いただくお取引様にもよりますが、年収800万円以上稼いでいる方おります」と答えています。

ハイヤーの給与の組み立て|固定給+手当+賞与が中心

8社の募集要項に共通するのは、売上に応じた歩合給ではなく、基本給(固定給)に手当と賞与を足す形で給与を組み立てている点です。帝都自動車交通は採用ページのタクシーとハイヤーの比較で、収入構造を「タクシーが基本給+歩合変動(5ヶ月間38万円保障)、ハイヤーはお客様ごとの固定給(5ヶ月間40万円保障)」と説明しています。

給与の要素公式募集要項の記載例
基本給・固定給日本交通「基準賃金205,000円+勤続給」、国際興業「基本給22万5,300円」、大阪エムケイ「固定給32万円(昼勤)/37万円(夜勤)」
評価・無事故の手当国際自動車の評価給制度(「きちんと休憩を取る」「無事故・無違反」「禁煙に励む」といった取り組みにも手当を支給)、国際興業の無事故手当1万3,000円(月11出番以上)
時間外・深夜の手当京王自動車「時間外手当・深夜手当等、別途支給あり」、国際興業「時間外手当(完全支給)」「休憩時間の賃金支給(所定より長い休憩分も対象)」
業績給大阪エムケイ「固定給+業績給+賞与(年2回)」
賞与年2回が中心。京王自動車は年3回(業績により)、国際興業は平均約72.5万円/年(令和8年度予定)
退職金帝都自動車交通は定年時の実績として勤続10年100万円、20年500万円、30年1,000万円を公表

大阪エムケイは同じグランドパイロット職の中で、中型車に乗務する場合の固定給を昼勤27万円・夜勤32万円、ハイヤーに乗務する場合を昼勤32万円・夜勤37万円としており、ハイヤーの固定給を5万円高く設定しています。タクシーの歩合給の計算方法はタクシーの歩合給の計算、賞与と退職金の考え方はタクシー運転手の賞与・退職金で解説しています。

給与保障は3か月〜12か月

未経験者向けの給与保障の期間は、大阪エムケイが入社後3か月(月給40万円)、帝都自動車交通が配属後5か月(月給40万円)、日本交通と大和自動車交通が乗務開始後6か月、京王自動車が乗務開始より12か月(30万円)です。保障の起点が「入社後」「配属後」「乗務開始後」と会社ごとに違い、二種免許を取る研修期間は日給制(帝都自動車交通は日給1万1,000円、京王自動車は日給1万円、国際自動車は日給1.2万円)の会社が多い点に注意してください。保障の仕組みはタクシーの給与保障の仕組み、保障のある求人は給与保障ありの求人から探せます。

年収を左右するもの|担当先・勤務形態・時間外労働

固定給中心でも、年収は人によって差が出ます。公式情報から読み取れる要因は次の3つです。

  1. 担当する得意先:京王自動車は勤務時間について「得意先により異なる」とし、トップの年収も担当する取引先によると説明しています。
  2. 勤務形態:京王自動車は日勤(月20〜23乗務、8時〜17時)と隔日勤務(月13〜14乗務、9時〜翌1時30分など)、大阪エムケイは昼勤と夜勤で固定給が5万円違います。国際自動車は日勤のほか、朝から夜までの宿泊勤務(翌日は明け休み)を挙げています。
  3. 時間外労働:役員の予定に合わせて動くため、日本交通は「仕事の内容により早出、残業あり」、大和自動車交通は「残業月平均26時間」と記載しています。残業代は年収に直接響きます。

改善基準告示でのハイヤーの時間外労働

厚生労働省のパンフレット「タクシー・ハイヤー運転者の労働時間等の改善基準のポイント」は、「ハイヤー運転者には、その勤務の実態を踏まえ、タクシー運転者に適用される拘束時間、休息期間等の規定は適用されません」としています。そのかわり、36協定の時間外労働は限度時間(1か月45時間、1年360時間)を超えない時間に限り、臨時的な特別の事情がある場合でも1年960時間を超えない範囲とすること、勤務終了後に必要な睡眠時間を確保できる休息期間を与えることが求められています。タクシーの勤務ルールは改善基準告示と2024年問題で解説しています。

ハイヤーの仕事は東京の都心に集中

関東運輸局の「一般乗用旅客自動車運送事業の事業者数」(令和6年3月31日現在)では、関東運輸局管内のハイヤー車両6,357台のうち、東京都が5,377台(ハイヤー専業145社)で、すべて特別区・武三交通圏(23区・武蔵野市・三鷹市)にあります。求人も東京都心の営業所が中心で、年収の公表値も多くが東京の会社のものです。会社の内訳はハイヤー会社一覧を参照してください。

ハイヤー求人の給与欄で確かめること

ハイヤーの年収を求人票から見積もるときは、次の点を確認すると会社どうしを比べやすくなります。

  1. 年収の数字の種類:実績の平均か、モデル・想定・例か。何年度の数字か。
  2. 固定給に含まれるもの:基本給だけか、勤続給・世帯手当・評価給を含むか。
  3. 時間外手当・深夜手当の扱い:別途支給か、固定残業代として含まれるか。
  4. 賞与の回数と算定:年2回か3回か、業績連動か。
  5. 給与保障の起点と期間:入社後・配属後・乗務開始後のどこから何か月か、保障の条件(社内規定)。
  6. 勤務形態ごとの差:日勤・夜勤・隔日勤務・宿泊勤務で固定給や手当が変わるか。

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出典・一次情報

本記事の数字と制度は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月14日閲覧)。

数字の見方について

統計の年収はハイヤー運転者とタクシー運転者を合わせた平均で、企業規模別の年収の目安は編集部がe-Statの表から計算したものです。各社の給与・保障・年収は閲覧日時点の公表内容で、営業所や勤務形態によって異なる場合があります。応募前に最新の募集要項と面接で確認してください。