二種免許の技能試験|結論

この記事の結論

普通二種の技能試験は、路上を6,000メートル以上走り、旅客の乗降を想定した路端停車4回と転回1回、場内の鋭角コースと方向変換または縦列駐車を行う試験で、100点からの減点式で80点以上が合格です。
警察庁の「運転免許技能試験実施基準」(2026年4月1日適用)では、路端停車は目標物を左側後部ドアの中心に合わせる「指定場所」1回と、合図の直後に止まる「直前合図」3回で、鋭角コースは切り返し3回以下で通過します。
採点基準では、二種は急発進・急ブレーキの加速度の基準が0.3G(一種は0.4G)、急ハンドルは0.2G(一種は0.3G)と、乗客を乗せる前提で一種より厳しく設定されています。
信号無視、脱輪大、試験官がブレーキを踏んだ場合などは、その時点で試験中止です。指定教習所の卒業検定も技能試験の例に準じて行われ、卒業証明書があれば試験場の技能試験は免除されます。

二種免許の技能試験は、教習所を使わずに試験場で受ける「一発試験」の人が受けるほか、指定教習所の卒業検定も同じ基準に準じて行われます。何をどう採点されるのかは、警察庁が都道府県警察に示している「運転免許技能試験実施基準」と「運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準」(いずれも2026年2月4日付け通達、同年4月1日から運用)に書かれています。

この記事では、道路交通法施行規則第24条と警察庁の2つの通達という一次情報だけを使い、普通二種(タクシー・ハイヤー)の技能試験の課題と採点の仕組みを整理します。手数料や受験の流れは二種免許の一発試験にまとめているので、ここでは試験の中身に絞ります。

技能試験の課題|施行規則で決まっている項目

道路交通法施行規則第24条は、普通二種の技能試験を「AT自動車を使用して行う項目」と「AT自動車以外の自動車(MT車)を使用して行う項目」に分けて定めています(2025年4月1日施行の改正後)。

使用する車項目走行距離
AT車1 道路における走行(発進・停止を含む)
2 交差点の通行
3 横断歩道の通過
4 人の乗降のための停車及び発進
5 転回
6 方向変換又は縦列駐車
7 鋭角コースの走行
6,000メートル以上
MT車1 幹線コース及び周回コースの走行
2 交差点の通行
3 横断歩道及び踏切の通過
4 曲線コース、屈折コース及び坂道コースの走行
5 方向変換
6 鋭角コースの走行
1,200メートル以上

AT車の項目を先に行い、AT車の項目で合格基準に届かなければMT車の項目は行いません。AT限定の普通二種を受ける人はAT車の項目だけです。合格基準はAT車の項目とMT車の項目の「それぞれについて80パーセント以上」です。採点は「運転装置を操作する能力」「交通法規に従って運転する能力」「運転姿勢その他自動車を安全に運転する能力」の3つについて、減点式で行います。

MTの普通二種は「従前の例」でもよい

改正した府令(令和6年内閣府令第60号)の附則は、AT限定を除く普通二種の技能試験について「当分の間、なお従前の例によることができる」としています。警察庁の実施基準も、AT車とMT車に分ける「新試験方法」と、改正前の「旧試験方法」の両方を前提に書かれています。MTの普通二種をどちらの方法で行うかは試験場によって異なるため、受験する都道府県警察に確認してください。

路上試験の中身|停車4回・転回1回・生活道路

実施基準の別添「路上試験課題設定基準」は、免許の種類ごとに路上で行う課題の回数を決めています。普通免許(第一種)と普通二種を比べると次のとおりです。

課題普通免許普通二種
信号通過又は一時停止1回以上3回以上(信号によらない一時停止を2回以上含む)
右折・左折それぞれ2回以上それぞれ3回以上
横断歩道の通過2回以上6回以上
路端への停車及び発進1回4回
転回なし1回
走行距離4,500メートル以上6,000メートル以上
場内コースの課題方向変換又は縦列駐車1回鋭角コース1回、方向変換又は縦列駐車1回

コースの環境にも条件があり、二種の路上試験には時速40キロメートル以上で3,000メートル以上走れる道路(うち時速50キロメートル以上で1,200メートル以上)と、歩行者や自転車が途切れない住宅地・商業地などの「生活道路」を600メートル以上1,200メートル以下含めることとされています。路上試験の前には、場内と路上でそれぞれおおむね100メートルのならし走行があり、この間は採点されません。

路端への停車|「指定場所」1回と「直前合図」3回

普通二種の路端停車は、タクシーの乗車と降車の場面を想定した課題です。実施基準では次のように行います。

  • 指定場所における停車(旅客の乗車を想定・1回):試験官が指定したガードレールの支柱程度以上の目標物を、左側後部ドアの中心に合わせて停車する。
  • 直前合図による停車(旅客からの停止要請を想定・3回):試験官の「停車可能な場所で停車して下さい」という趣旨の合図の後、合理的に最も近い場所に停車する。3回のうち1回は停車禁止場所を含む場所で合図され、その場合は停車禁止場所を避けて止まる。

停車したら、ギアをニュートラル(AT車はパーキングなど)にし、ハンドブレーキとフットブレーキを効かせ、試験官の発進合図の後に発進します。採点基準では、道路の左側端から車体がおおむね0.3メートル以上離れて止まると減点で、技量未熟で指定場所や直前合図の停車ができないときは「課題不履行」として10点減点です。

転回|指示された区間内でできる限り速やかに

転回は普通二種だけの課題で、歩車道の区別がある道路のおおむね100〜200メートルの区間に設定されます。試験官は区間の100メートル以上手前で指示し、受験者は区間内でできる限り速やかに転回します。中央線に寄ってから、または一度左側に停車してから行ってもよいとされる一方、交差点の交差路や道路外の施設の出入口にいったん入り込む「スイッチターン」(積雪・凍結時を除く)や、信号機のある交差点での転回は行わないこととされています。区間内で転回できなければ「課題不履行」で10点減点です。

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場内の課題|鋭角コースは切り返し3回以下

二種の技能試験で特徴的なのが鋭角コースです。実施基準は、鋭角コースを「3回以下の切り返しによって通過すること」としています。採点基準では、鋭角コースの入口から出口までの間は切り返しの減点を適用しないため、3回までは切り返しをしても減点されません。狭路コースの入口から出口までの間で切り返し(脱輪・接触から戻る行為を含む)を4回行うと「通過不能」となり、試験中止です。また、車輪が縁石に乗り上げたりコース外に落輪したりしたときは、直ちに止まって乗り上げる前の地点まで戻って走り直すことが求められ、程度によって「脱輪」の減点や試験中止になります。

方向変換はコースの凹部に後退で入る課題、縦列駐車はコースに平行に止まってから後退を始め、立体障害物の内側に車体の全部を入れてから発進する課題です。路上試験では安全のため、場内コースを先に行うこととされています。

採点の仕組み|100点からの減点、二種は加速度の基準が厳しい

実施基準では、試験の成績は100点満点で、第二種免許は80点以上が合格です(新試験方法の普通二種はAT車・MT車の項目それぞれ80点以上)。採点は「回数減点」が原則で、違反するたびに減点されます。ただしシートベルト以外の安全措置など「特別減点細目」に当たるものは、1回目は減点を保留し、2回目に該当すると1回目にさかのぼって減点します。

採点基準の中で、二種だけ基準が厳しく書かれているのは加速度に関する項目です。

減点細目減点数(路上・場内)第一種の基準第二種の基準
アクセルむら(急発進)5点・5点おおむね0.4Gを超える加速度0.3G
急ブレーキ禁止違反10点・10点おおむね0.4Gを超える加速度0.3G
急ハンドル10点・10点おおむね0.3Gを超える横加速度0.2G
速度速過ぎ(カーブ)小10点・10点/大20点・20点カーブの横加速度がおおむね0.3G以上0.4G未満で小、0.4G以上で大それぞれ0.1G減じた値
制動操作不良(ブレーキが強すぎる)5点・5点おおむね0.4Gの加速度0.3G

そのほか、点数が大きい主な減点細目は次のとおりです(路上・場内の順)。

  • 20点:徐行違反(交差点の右左折時など)、速度速過ぎ(大)
  • 10点:安全不確認(発進・進路変更・交差点・降車時のドアなど)、シートベルトを着用しない、急ブレーキ、急ハンドル、エンスト(路上10点・場内5点)、発進手間どり(路上10点・場内5点)、切り返し(路上10点・場内5点)、課題不履行(路上の路端停車・転回)
  • 5点:ドアを完全に閉めずに走行、発進時に後写鏡を確認しない、ハンドブレーキを戻さずに走行など(安全措置不適)

たとえば急発進(5点)を4回すると20点の減点になり、それだけで合格点の80点ぎりぎりになります。普段の運転で問題にならない程度の操作でも、二種では乗客を乗せている前提で採点される点に注意が必要です。

試験中止になる場合

実施基準第12は、次のいずれかに当たると試験を中止すると定めています。

区分内容
危険行為等(路上試験)逆行大、発進不能、暴走、ふらつき大、通過不能、脱輪大、接触大、右側通行、安全地帯等進入、後車妨害、信号無視、進行妨害、横断等禁止違反、指定場所不停止(一時停止すべき場所で止まらない)、歩行者保護不停止等、安全間隔不保持、踏切不停止等、追越し違反、割込み、安全運転義務違反、通行禁止違反
試験官補助危険を避けるために試験官がブレーキやハンドルを操作した場合、口頭の指示で補助した場合、安全運転支援装置が作動してブレーキ等の操作が行われた場合
減点超過減点の合計で合格基準に届かないことが明らかになった場合
指示違反試験のための指示に従わない場合

試験車の安全運転支援装置は、機能を無効にできるものは無効にした状態で試験を行うとされています。試験後には、試験官が当日の結果から運転上の重要なポイントや今後の練習の目標を簡潔に助言することになっています。

試験車と、教習所の卒業検定との関係

普通二種の技能試験に使う車は、施行規則第24条で「乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で、長さ4.40メートル以上、幅1.69メートル以上、最遠軸距2.50メートル以上、輪距1.30メートル以上」と決められています。公安委員会が用意または指定した車を使い、指定を受けた警察職員(試験官)が同乗して行います。路上試験では、試験車を運転できる免許証を携帯していることが確認されます。

指定教習所の卒業検定について、施行規則第34条は「実施の方法及び合格の基準は、当該卒業検定に係る免許に係る技能試験の例に準ずる」としています。卒業検定は教習を終えた日から3か月以内に受ける必要があり、不合格だった場合は1時限以上の技能教習を追加で受けてからでないと再検定を受けられません。卒業検定に合格して交付される卒業証明書(1年以内)があれば、試験場の技能試験は免除され、学科試験だけを受けます。

項目試験場の技能試験教習所の卒業検定
実施の方法・合格基準施行規則第24条と警察庁の実施基準・採点基準技能試験の例に準ずる(施行規則第34条)
練習の場所自分で確保する教習所の技能教習(普通免許所持で最低12時限)
不合格のとき再受験のたびに手数料1時限以上の追加教習の後に再検定
合格後取得時講習を受けて免許交付卒業証明書で技能試験免除。学科試験へ

教習所での時限数や日数は二種免許の教習所の期間、学科試験の中身は二種免許の学科試験で解説しています。タクシー会社の養成制度を使えば教習所の費用を会社が負担する場合が多く、制度は二種免許の養成制度、求人は二種免許養成制度ありの求人と未経験歓迎の求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の制度と数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月14日閲覧)。

  • 警察庁「運転免許技能試験実施基準について(通達)」令和8年2月4日 丙運発第2号(同年4月1日から運用) npa.go.jp(PDF)
  • 警察庁「運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について(通達)」令和8年2月4日 丁運発第21号 npa.go.jp(PDF)
  • 道路交通法施行規則(第24条 技能試験、第34条 技能検定、令和6年内閣府令第60号附則第2条) e-Gov法令検索
  • 広島県警察「運転免許試験の種類・学科試験・技能試験」 pref.hiroshima.lg.jp
  • 警視庁「大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方)」 keishicho.metro.tokyo.lg.jp

この記事で扱っていないこと

警察庁の通達は全国の「標準」を示すもので、試験コースや運用の細部は都道府県警察ごとに定められます。直接受験の合格率は警察庁の運転免許統計で公表されていません。受験前に、住所地の試験場の案内で試験日・予約方法・使用する車を確認してください。