東京・大阪のロボタクシー計画|結論

この記事の結論

東京・大阪のロボタクシーは、2026年10月17日時点でどの陣営も完全無人の営業運行の開始を発表しておらず、公表されている時期はすべて目標です。
東京ではGO・Waymo・日本交通が「2027年中」に完全無人の商用運行を、Uber・Wayve・日産が「2026年後半」に試験運行の開始を目指しています。大阪ではnewmoが大阪市・堺市で「2028年」のレベル4商用化を目指しています。
どの陣営でもタクシー会社が運行を担う形で、日本交通の乗務員はWaymoの車両に同乗して自動走行試験を行い、日の丸交通の乗務員は試験運行の初期段階でセーフティドライバーとして同乗する計画です。newmoは大阪でライドシェアドライバーによる自動運転向けのデータ収集走行を2026年5月に始めたと発表しています(2026年6月15日)。

「ロボタクシー」「自動運転タクシー」のニュースは、発表の日付や「目指す」「予定」の言葉が抜け落ちたまま広がりがちです。この記事では、各社の公式発表(ニュースリリース)と国の資料だけを使い、発表日・中身・いま決まっていることを表で整理します。予定は予定として書き、始まったと公式発表がないことは「始まった」と書きません。

自動運転とタクシーの仕事の全体像はタクシーの自動運転で仕事はなくなる?、バスなどのレベル4がどこで走っているかはレベル4の自動運転はどこで走っている?で解説しています。

3陣営の比較表|発表日・目標時期・タクシー会社の役割

2026年10月17日時点で公式に発表されている内容を、陣営ごとに並べます。「目標時期」はすべて各社が「目指す」とした時期で、開始が決まった日付ではありません。

陣営地域主な発表日目標時期(各社の表現)運行を担う会社人の関わり方(公表内容)
GO・Waymo・日本交通東京2024年12月17日、2025年4月14日、2026年9月15日2027年中に完全無人走行による商用タクシー運行を目指す。段階的に100台規模日本交通(現場の運行管理・営業所運営)日本交通の乗務員が同乗した自動走行試験を実施中
Uber・Wayve・日産・日の丸交通東京2026年3月12日、2026年8月13日2026年後半に東京で試験運行の開始を目指す日の丸交通(運行主体)初期段階は日の丸交通の乗務員がセーフティドライバーとして同乗する計画
newmo大阪市・堺市2026年5月29日、6月15日、8月5日、8月18日2028年のレベル4商用化を目指す堺市のコンソーシアムでは未来都・堺相互タクシーが「タクシー事業(運行主体)」として参加(newmo自身もタクシー事業を運営)ライドシェアドライバーによるデータ収集走行(2026年5月から)

国土交通省の資料「自動運転の社会実現に向けた国土交通省の取組について」(令和8年2月24日)は、各社の時期を「日本交通 ウェイモ(米)と無人タクシー(サービス開始時期非公表)」「日産 無人タクシー(2027年度サービス開始予定)」と整理しています。国の資料でも、東京の無人タクシーの開始時期は決まった日付として扱われていません。

GO・Waymo・日本交通(東京)|手動運転から同乗試験へ

日本交通のニュースリリースから、3社の発表を時系列で並べます。

発表日発表の中身(原文の要点)日本交通の乗務員の関わり方
2024年12月17日東京でWaymoの自動運転技術「Waymo Driver」のテストを行うため、戦略的パートナーシップを締結。初期フェーズは2025年に東京都心から開始予定「初期フェーズにおいては、日本交通の乗務員がWaymoの車両を運転し…テストを行います」
2025年4月14日(走行は4月14日の週から)港区・新宿区・渋谷区・千代田区・中央区・品川区・江東区の7区でWaymo車両の走行を開始。日本交通は「Waymo車両の運転および維持管理を行い、それを支えるインフラも提供」「トレーニングを受けた日本交通の乗務員」が手動で運転し、データを集める
2026年9月15日東京での商用化に向けた戦略的パートナーシップに合意。2027年中に国内初の完全無人走行による商用タクシー運行を目指し、段階的に100台規模。配車はGOとWaymoの両アプリ「現在は日本交通の乗務員が同乗した自動走行試験が順調に進捗」。商用化後は日本交通が「現場における運行管理や営業所運営」を担う

2026年9月15日の発表は「正式な運行開始時期は、確かな安全性が認められ、道路交通法や道路運送法等に規定された必要な許認可の取得が完了した後に決定されます」と明記しています。2026年10月17日時点で、完全無人での公道試験の開始や許可の取得を知らせる公式発表は確認できませんでした。

2025年4月の発表で日本交通の若林社長は「日本交通の乗務員は米国でもトレーニングを実施し、今日この日までしっかりと体制を整えてきました」と述べています。2026年9月の発表では「この1年間、専門の訓練を積んだ当社の乗務員たち」がWaymo Driverを東京の道路環境に適応させるために尽力してきたと説明しています。日本交通の募集条件は日本交通の会社ページにまとめています。

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Uber・Wayve・日産・日の丸交通(東京)|2026年後半の試験運行が目標

日産のニュースリリース(2026年3月12日)とUberのニュースルーム(2026年8月13日)の内容です。

発表日発表の中身(原文の要点)
2026年3月12日Wayve・Uber・日産の3社が覚書(MOU)を締結。「関係当局と協議を進め、2026年後半に東京にて、ロボタクシーの試験運行の開始を目指す」。WayveのAI Driverを載せた「日産リーフ」をUberのプラットフォームで提供。「初期段階では、訓練を受けたセーフティードライバーが同乗し、車両はUberのネットワーク上で運行されます」
2026年8月13日Uberが日の丸交通と運行パートナーシップ契約を締結。日の丸交通は運行主体として「車両の運行管理、車両基地(デポ)でのオペレーション、車両のメンテナンス、点検、清掃、充電、および車両の稼働状況の管理」を担う。初期段階では「東京の交通事情を熟知した日の丸交通の乗務員が「セーフティドライバー」として同乗」

Uberの発表には「日本の法令において、ロボタクシーの運行は旅客運送サービスの認可を受けたタクシー事業者が行う必要があります」と書かれています。アプリの会社や自動運転の技術の会社だけでは運行できず、タクシー会社が運行主体になる仕組みです。

2026年10月17日時点で、この試験運行が始まったという公式発表は確認できませんでした。発表どおり「2026年後半」の目標の段階です。日の丸交通の募集条件は日の丸交通の会社ページで確認できます。

Wayveは東京・横浜で試験車両の安全オペレーターを募集

Wayveの公式採用ページには、2026年10月5日付で「Vehicle Safety Operator」(東京・横浜の拠点)の求人が出ています。公道試験で自動運転システムを監視し、必要なときに介入すること、エンジニアへのフィードバック、データ収集が仕事です。応募条件は日本の運転免許を5年以上持っていること("full, clean Japanese driving license, held for a minimum of 5 years")、過去3年間に有責の保険請求がないことなどで、二種免許の記載はありません。給与は公表されていません。これはWayve自身の開発試験の仕事で、上の試験運行で同乗する日の丸交通の乗務員とは別の募集です。セーフティドライバーの仕事内容は自動運転のセーフティドライバーとはで解説しています。

newmo(大阪市・堺市)|2028年のレベル4商用化が目標

newmoは大阪などでタクシー事業を運営し、自動運転タクシーの開発も行う会社です。2026年の発表(PR TIMESで配信した自社の発表文)を並べます。

発表日発表の中身(原文の要点)
2026年5月29日東京都大田区平和島の東京流通センター内に開発拠点「Autonomy Garage Tokyo」を開設。約20名の自動運転開発チームを年内に40名体制へ。「2028年のレベル4商用化を目指して両市(堺市・大阪市)で実証を開始」
2026年6月15日大阪市城東区に「newmo Autonomy JOTO Base(城東ベース)」を開設。「newmoが2028年の商用運行開始を目指す自動運転タクシー」のデータ収集・実証の拠点。データ収集車両3台を配備し、今秋に新型の自動運転車両を配備予定
2026年8月5日「堺市自動運転タクシー実装コンソーシアム」を共同設立。未来都と堺相互タクシーが「タクシー事業(運行主体)」、KDDIスマートモビリティが「自動運転タクシーの走行・運行・遠隔監視の支援」、堺市はオブザーバー
2026年8月18日JR西日本などと、JR新大阪駅で将来の自動運転タクシーと駅の結節を見据えた配車の実証。期間は2026年8月20日〜10月31日(予定)で、使う車は現在の有人タクシー

国の資料では、堺市はデジタル庁の自動運転社会実装の「先行的事業化地域」の選定案で「最新技術活用型(任意地点移動型)」に挙がっています。newmoの発表は「堺市での取り組みは国による「自動運転社会実装先行的事業化地域」に選定されています」と書いています。

ライドシェアドライバーによるデータ収集走行|80名超の応募

2026年6月15日の発表によると、JOTO Baseの最初の取り組みは、専用車両を使った「ライドシェアドライバーによるデータ収集走行」です。2025年の大阪・関西万博をきっかけに運転の仕事を始めたライドシェアドライバーが、2026年5月からシフト制でデータ収集を行い、大阪市の舞洲エリアと堺市の堺浜エリアを中心に走っています。newmoはこれを「国内初」としています。

発表には「データ収集ドライバーの募集には80名を超える応募が集まり、必要数は即時に満枠となりました。今後の増車にあわせて、数十名規模へと拡大していく予定です。」とあります。データ収集ドライバーの給与や勤務時間などの募集条件は、公表資料では確認できませんでした。

newmoは同じ拠点で「Field Integration Engineer(実車運用/大阪)」も公式に募集しています。仕事内容には「出走前後のセーフティドライバーとの打ち合わせ、チェックリスト運用の徹底、勤怠確認」「セーフティドライバーからの日々の報告内容の一次確認」が含まれ、応募条件は普通自動車運転免許、給与は年収500万〜700万円(スキルや経験に応じて決定)、雇用形態は正社員または業務委託と書かれています。自動運転の開発会社が出しているテストドライバーなどの求人の比較はテストドライバー・自動運転開発ドライバーの求人にまとめています。日本版ライドシェアの仕組みはライドシェアドライバーの求人の仕組みで解説しています。

参考|横浜・神戸の日産の実証

東京・大阪ではありませんが、首都圏の横浜でも日産が配車サービスの形での実証を2026年10月1日〜12月18日に行うと発表しています。国土交通省の令和8年2月24日の資料は、日産の無人タクシーを「2027年度サービス開始予定」と整理しています。

発表日中身
2026年9月14日(横浜市)みなとみらい・桜木町・関内を含む市街地で、2026年10月1日〜12月18日に2期に分けて実証。運行台数10台、乗降地28か所。車両はセーフティドライバーが同乗する自動運転SAEレベル2相当。第2期に国際自動車が「交通事業者視点での運行・運用体制構築の支援」、プレミア・エイドが「監視システムを使用した乗客サポート業務」で参加。各社は「2027年以降のサービス提供開始と遠隔監視設備を備えたドライバーレス」によるサービスに取り組むとしている
2026年10月14日(神戸市)神戸・灘五郷エリアと周辺で、2026年12月8日〜12月18日の平日に実証。横浜の遠隔管制室から横浜と神戸の車両運行を一元的に管制する取り組みを行う。2027年度に一部エリアでの有償運行、2030年度に商用運行の開始を目指す

国際自動車の募集条件は国際自動車の会社ページにまとめています。

予定と現状を分けて読む|ホンダ・トヨタの発表との違い

ロボタクシーの話題では、古い計画や性格の違う提携が「いま進んでいる計画」と混ざって紹介されることがあります。公式発表の中身を確認すると次のとおりです。

発表公式発表の中身2026年10月17日時点で確認できること
ホンダ・GM・クルーズ(2023年10月19日)「日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始予定」。東京都心部で数十台からスタートし、500台規模での運用を見込むサービス開始の発表は確認できない。計画の見直しについてのホンダ自身の公式発表も見つけられなかった
トヨタ・Waymo(2025年4月30日)自動運転の開発と普及の戦略的パートナーシップに基本合意。中身は新たな車両プラットフォーム開発と、トヨタの将来の市販車両の自動運転技術。「協業の範囲、詳細については更なる議論を進めてまいります」日本でのロボタクシー運行の計画を発表したものではない

今後も新しい発表が出たら、(1)発表日、(2)「目指す」「予定」なのか「開始した」なのか、(3)運行主体のタクシー会社はどこか、の3点を確認すると、計画の段階を取り違えずに読めます。

タクシー乗務員として働くこととロボタクシー

東京の2陣営はいずれも、試験の段階ではタクシー会社の乗務員が車両に乗ると発表しています(日本交通は手動運転のあと同乗試験、日の丸交通はセーフティドライバーとして同乗する計画)。地域の道路事情を知り、安全運行を続けてきた乗務員の経験が、試験の段階で使われている形です。同乗する乗務員と二種免許の関係は自動運転タクシーに二種免許はいるのか、完全無人の運行で遠隔監視を担う人の制度上の役割は遠隔監視オペレーターと特定自動運行主任者・保安員、ロボタクシーが走り始めた後にタクシー会社に残る仕事は自動運転が広がってもタクシー会社に残る仕事で整理しています。

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出典・一次情報

本記事の記述は、次の公式発表と公表資料に基づいています(いずれも2026年10月17日閲覧)。

  • GO・Waymo・日本交通「2025年より東京における自動運転技術のテストに向けて協業」(2024年12月17日) 日本交通 ニュースリリース
  • GO・Waymo・日本交通「今週より東京都心7区でWaymo車両の走行を開始」(2025年4月14日) 日本交通 ニュースリリース
  • GO・Waymo・日本交通「自動運転タクシー商用化の実現に向けて合意」(2026年9月15日) 日本交通 ニュースリリース
  • 日産自動車「Wayve、Uber、日産がロボタクシーでの協業を発表」(2026年3月12日) 日産ニュースルーム
  • Uber「Uber、ロボタクシー試験運行の運行パートナーとして、日の丸交通と合意」(2026年8月13日) Uber ニュースルーム
  • Wayve 採用ページ「Vehicle Safety Operator」(2026年10月5日掲載) jobs.ashbyhq.com
  • newmo「Autonomy Garage Tokyo」開設(2026年5月29日) PR TIMES/「JOTO Base(城東ベース)」開設(2026年6月15日) PR TIMES/「堺市自動運転タクシー実装コンソーシアム」設立(2026年8月5日) PR TIMES/JR新大阪駅での配車実証(2026年8月18日) PR TIMES
  • newmo 採用ページ「Field Integration Engineer(実車運用 / 大阪)」 herp.careers
  • 日産自動車「2026年度の横浜市における自動運転モビリティサービス実証実験の詳細を発表」(2026年9月14日) 日産ニュースルーム/「日産自動車、神戸市における2026年度自動運転モビリティサービス実証実験の詳細を発表」(2026年10月14日) 日産ニュースルーム
  • 国土交通省 物流・自動車局「自動運転の社会実現に向けた国土交通省の取組について」(令和8年2月24日、デジタル庁 モビリティワーキンググループ掲載資料) digital.go.jp(PDF)
  • デジタル庁 第14回モビリティワーキンググループ 事務局資料2「先行的事業化地域の採択地域について」 digital.go.jp(PDF)
  • 本田技研工業「日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始予定」(2023年10月19日) global.honda
  • トヨタ自動車「トヨタとWaymo、自動運転の普及を加速する戦略的パートナーシップの枠組みに合意」(2025年4月30日) global.toyota

計画の変更について

ロボタクシーの時期・台数・参加企業は、各社が閲覧日時点で公表している内容です。許認可や安全性の確認の状況によって変わることがあります。最新の情報は各社の発表で確認してください。