レベル4の自動運転が走っている場所|結論
この記事の結論
国土交通省の2026年6月8日の資料では、運転者を要しないレベル4自動運転のバス等は全国11箇所で実装され、特定自動運行の許可は12件です。
11箇所は北海道上士幌町、福井県永平寺町、長野県塩尻市、宮城県気仙沼市、大阪市(万博)、茨城県日立市、愛媛県松山市、三重県多気町、東京都大田区(羽田)、千葉県柏市、茨城県常陸太田市です。
ただし、各地の警察が載せている公安委員会の公示を2026年10月18日に確かめると、このうち愛媛県松山市(2026年1月21日)、東京都大田区の羽田(2月4日)、北海道上士幌町(4月23日)、宮城県気仙沼市のJR気仙沼線BRT(7月24日)の4件は、「特定自動運行を行わないこととしたため」許可証が返納され、許可が失効しています。11箇所は「これまでに実装された」数で、いま運行している数ではありません。
また「運転者がいない」は「車内が無人」と同じ意味ではありません。国土交通省の手引き(第3版・2026年9月)に人員配置が載っている7地域のうち、車内無人は永平寺町と上士幌町の2地域で、ほかの5地域は車内に特定自動運行主任者が乗っています。
11箇所は国土交通省の資料で「バス等」とされる運行で、タクシーのように乗客の指定した場所へ向かうレベル4の営業運行は、2026年10月17日時点で公式発表を確認できませんでした。
「自動運転のバスが走り始めた」というニュースを見ると、運転席が空のバスが全国を走っているように思えるかもしれません。実際には、レベル4の運行は限られた区間で、しかも多くは車内に乗務員がいる形で行われています。
この記事では、国土交通省・経済産業省・警察庁の公表資料と、運行事業者の公式発表という一次情報だけを使い、レベル4の自動運転が「どこで」「どんな体制で」走っているかを整理します。自動運転とタクシーの仕事の全体像はタクシーの自動運転で仕事はなくなる?で解説しています。
全国11箇所の一覧|国交省 令和8年6月8日の資料
国土交通省が第3回 国土交通省自動運転社会実現本部(2026年6月8日)に出した参考資料「自動運転の普及に伴う社会変容への対応について」は、「これまでの補助事業等により、運転者を要しない「レベル4自動運転」のバス等が11箇所で実装」と書き、写真付きで11地域を並べています。さらに注記で「道路交通法の特定自動運行の許可件数としては、長野県塩尻市で2回目の許可を出しているため、12件の実績がある」としています。
11地域を、同じ国土交通省の「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月)に載っている運行の概要・人員配置と合わせて表にします。車両の欄は国土交通省の資料の表記です。
| 地域 | 車両(資料の表記) | 運行の概要(手引きの記載) | 人員配置(手引きの記載) |
|---|---|---|---|
| 北海道上士幌町 (許可は2026年4月23日に失効) | ハンドルがない車両 | 無償運行。上士幌交通ターミナル〜上士幌町役場北側(約600m)、月・木・土曜に1日2便 | 車内無人。特定自動運行主任者と現場措置業務実施者を兼ねる1名体制 |
| 福井県永平寺町 | 小型カート | 自家用有償旅客運送。荒谷〜志比間(約2km)、土日・祝日の10時〜15時 | 車内無人。特定自動運行主任者(特定自動運行保安員と兼務)と現場措置業務実施者の2名体制 |
| 長野県塩尻市 | 小型EVバス | 無償運行。塩尻駅〜塩尻市役所(約460m)。手引きの例は2025年1月23日〜2月7日の運行 | 車内に特定自動運行主任者を1名配置 |
| 宮城県気仙沼市 (許可は2026年7月24日に失効) | 大型バス | 手引きの社会実装例には掲載なし(本記事では未確認) | |
| 大阪府大阪市(万博) | 大型EVバス | 手引きの社会実装例には掲載なし(本記事では未確認) | |
| 茨城県日立市 | 中型バス | 一般乗合旅客自動車運送事業(ひたちBRT)。2025年2月3日から平日に運行。BRT専用道の区間を自動走行し、それ以外は運転手が手動で運転 | 特定自動運行主任者(特定自動運行保安員を兼務)1名体制 |
| 愛媛県松山市 (許可は2026年1月21日に失効) | 小型EVバス | 一般乗合旅客運送。伊予鉄道高浜線 高浜駅〜松山観光港(約800m)、毎日約60往復 | 車内に特定自動運行主任者を1名配置 |
| 三重県多気町 | ハンドルがない車両 | 手引きの社会実装例には掲載なし(本記事では未確認) | |
| 東京都大田区(羽田) (許可は2026年2月4日に失効) | ハンドルがない車両 | 無償運行。羽田イノベーションシティ敷地内(約800m)、事前予約により運行 | 車内に特定自動運行主任者を1名配置 |
| 千葉県柏市 | 中型バス | 貸切(東京大学シャトルバス)。約700mの区間、平日の11時30分〜15時30分 | 特定自動運行主任者(特定自動運行保安員を兼務)が車両に乗車 |
| 茨城県常陸太田市 | ハンドルがない車両 | 手引きの社会実装例には掲載なし(本記事では未確認) | |
表の4地域(気仙沼市・大阪市・多気町・常陸太田市)は、手引き第3版の「自動運転レベル4認可取得自治体の社会実装例」に載っていないため、人員配置を公表資料で確かめられていません。ここは「未確認」として残しています。
地域名の下に「失効」とある4地域は、各地の公安委員会が許可の失効(許可証の返納)を公示しています(2026年10月18日確認)。返納の理由はいずれも「特定自動運行を行わないこととしたため」です。このうち松山市・大田区(羽田)・上士幌町の3件は、国土交通省の資料(2026年6月8日)より前に失効しています。国の資料の11箇所は、これまでの実績の数として読む必要があります。茨城県・大阪府・三重県の公示は本記事では確かめられていません。
9か所から11箇所へ|国の目標「2025年度目途50か所程度」との比較
国土交通省は、同じ「レベル4自動運転の実装地域」の数を資料ごとに更新しています。確認できた3つの資料を並べます。
| 資料 | レベル4の実装地域 | 前の資料から加わった地域 |
|---|---|---|
| 国土交通省 物流・自動車局「自動運転の普及・拡大に関する取組」(令和8年1月29日) | 9か所(2025年11月時点の記載) | - |
| 国土交通省 物流・自動車局「自動運転の普及・拡大に向けた取組み」(令和8年3月5日) | 10箇所 | 宮城県気仙沼市 |
| 国土交通省「自動運転の普及に伴う社会変容への対応について」参考資料(令和8年6月8日) | 11箇所(許可件数は12件) | 茨城県常陸太田市 |
国の目標は、国土交通白書2024によると自動運転移動サービスを「2025年度目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上の地域」で実現することです。2025年6月の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」でも「2027年度までに、無人自動運転移動サービスを100か所以上で実現」が掲げられています。2026年6月時点の11箇所は、この目標と比べると少ない数です。
なお、2026年7月から10月17日までの間に新しい許可や運行開始があったかどうかは、国土交通省・警察庁の一覧の更新を見つけられず、確認できていません。全国の許可をまとめた警察庁の一覧も見当たらず、件数は国土交通省の資料の「12件」が確認できた最新の数です。
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求人一覧を見るレベル4でも車内に人が乗る|「乗務員乗車型」と「遠隔監視型」
警察庁の資料「特定自動運行に係る許可制度の創設について」は、許可を受けた者に「遠隔監視装置を設置し、遠隔監視を行う者(特定自動運行主任者)を配置(特定自動運行主任者が乗車している場合を除く)」ことを求めています。つまり制度上、主任者は遠隔地にいても、車内に乗っていてもよいことになっています。
手引き第3版は、主任者を車両に乗せて運行するレベル4を「乗務員乗車型」と呼び、「特定自動運行主任者と特定自動運行保安員を兼ねた乗務員が乗車する場合も存在」と説明しています。一覧の7地域を手引きの人員配置で分けると次のとおりです。
| 形 | 地域 | 手引きの記載 |
|---|---|---|
| 車内無人(遠隔監視) | 福井県永平寺町、北海道上士幌町 | 「車内無人」と明記 |
| 車内に主任者が乗る(乗務員乗車型) | 東京都大田区(羽田)、愛媛県松山市、長野県塩尻市、茨城県日立市、千葉県柏市 | 「車内に特定自動運行主任者を1名配置」など |
なお、この表の上士幌町・大田区(羽田)・松山市の3地域は、その後に許可が失効しています(上の一覧を参照)。
柏市の運行について、経済産業省は2026年1月13日の発表で「2026年1月13日(火曜日)から、一般道における中型バスでのレベル4自動運転による運行を開始し、その走行距離は700mとなります。運転席には、乗務員が乗車します。」と書いています。運行事業者は東武バスセントラル、最高速度は40km/hです。
日立市のひたちBRT|車内無人の路線バスは2026年度中が目標
茨城交通の2025年1月24日の発表によると、同社は2024年12月18日に茨城県公安委員会から特定自動運行の許可を受け、2025年2月3日からひたちBRTで営業運行を始めました。約8.7kmの路線のうち、BRT専用道の約6.1kmをレベル4で走り、それ以外はドライバーが手動で運転します。
同じ発表には「今後バス車内に茨城交通の関係者が乗車しない、国内初の車内無人での路線バス営業運行を2026年度中に実施することを目指します」とあります。これは目標で、2026年10月17日時点で車内無人の営業運行が始まったという公式発表は確認できませんでした。
乗っている人に二種免許はいるのか
手引き第3版は「特定自動(レベル4)運行中は二種免許は不要であるが、運行形態によっては二種免許を保有した者が乗車することもあることに留意。」と書いています(109ページ)。日立市のように手動運転の区間がある路線では、その区間はバスの運転手が運転します。手引きは、レベル2とレベル4の区間が混ざる運行について「乗務員の配置シフトを考慮すると、レベル4区間も二種免許の運転手を拘束するため、期待した効果が顕在化しにくい」とも整理しています(83ページ)。法律の仕組みと運行の形ごとの整理は自動運転タクシーに二種免許はいるのか、二種免許そのものの取り方は二種免許の費用と取り方にまとめています。
永平寺町|国内初の許可と「1人の遠隔監視者が3台」
車内無人の代表例が福井県永平寺町です。経済産業省・国土交通省のプロジェクト「RoAD to the L4」の公式ページによると、経緯は次のとおりです。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2023年3月30日 | 産業技術総合研究所が、遠隔監視のみのレベル4の自動運行装置を備えた車両として国土交通省中部運輸局の認可を国内で初めて取得 |
| 2023年5月2日 | 運行を担うまちづくり株式会社ZENコネクトが、運転者を配置しないで運行するレベル4による自家用有償旅客運送の登録を全国で初めて受ける |
| 2023年5月11日 | 同社が福井県公安委員会から特定自動運行の許可を国内で初めて取得 |
許可を受けた計画では、車両は7人乗りの電動カート4台(同時運行は最大3台で、1台は予備)、区間は永平寺町荒谷〜志比(門前)間の約2km、最大12km/h、片道料金は大人100円です。手引き第3版は永平寺町について「1人の遠隔監視者が3台を運行可能な」レベル4の自動運行装置の認可を日本で初めて取得した、と紹介しています。
ただし永平寺町でも人がいなくなったわけではなく、人員配置は「特定自動運行主任者(特定自動運行保安員と兼務)と現場措置業務実施者の2名体制」です。遠隔で監視する人と、事故などのときに現場へ向かう人がいる形です。これらの役割の法律上の位置づけと遠隔監視の仕事の中身は遠隔監視オペレーターと特定自動運行主任者・保安員、自動運転が広がった後にタクシー会社に残る仕事は自動運転が広がってもタクシー会社に残る仕事で整理しています。
道路の外では空港でも|羽田・成田の制限区域内
一般の道路とは別に、空港の制限区域内でもレベル4が使われ始めています。国土交通省の2026年6月8日の参考資料は「2024年に必要な規定・ガイドラインの策定等を行い、2025年12月に自動運転レベル4の実用化が開始(東京国際空港、成田国際空港)」と書いています。空港業務の生産性向上の一つとして位置づけられ、今後は両空港での導入台数の増加と、ほかの国内空港への展開を検討するとしています。
これは乗客を乗せるタクシーやバスの話ではなく、空港の中の業務用の車両の話です。11箇所の数には含まれていません。
タクシー型のレベル4はこれから|国が選んだ「任意地点移動型」の地域
11箇所は国土交通省の資料で「バス等」とされ、写真もバスやハンドルのない小型車両です。手引きに運行の概要が載る地域は、いずれも数百mから数kmの決まった区間を走っています。乗客が指定した場所へ向かうタクシー型の自動運転について、国は地域を選んで重点的に支える方針を示しています。
デジタル庁の第14回モビリティワーキンググループの事務局資料「先行的事業化地域の採択地域について」は、先行的事業化地域の選定案として次の地域を挙げています。
| 類型(資料の表記) | 地域 |
|---|---|
| ① 最新技術活用型(任意地点移動型) | 神奈川県横浜市、大阪府堺市、兵庫県神戸市 |
| ② 運行エリア拡大型 | 茨城県日立市、長野県塩尻市 |
| ③ 技術的課題解決型 | 宮城県仙台市、茨城県つくば市、神奈川県川崎市、神奈川県平塚市、石川県小松市、愛知県、京都府、香川県三豊市 |
同じ資料の堺市のページ(自動運転に取り組む背景)には「タクシーは地域公共交通の一翼を担うものであり、自動運転タクシーの活用により、市民の移動サービスの維持・確保をめざします。」と書かれています。資料は「選定案」で、確定の告知ページは本記事では確認できていません。
東京・大阪のロボタクシーの計画(GO・Waymo・日本交通、Uber・Wayve・日産・日の丸交通、newmo)も、2026年10月17日時点で完全無人の営業運行を始めたという公式発表はありません。各社の発表日と中身は東京・大阪のロボタクシー計画まとめに表でまとめています。
これからタクシー業界で働く人へ
レベル4の現場では、車内で安全を見守る乗務員、遠隔で監視する人、事故などのときに現場へ向かう人が配置されています。東京でWaymoの車両に同乗して自動走行試験を行っているのも、タクシー会社(日本交通)の乗務員です。いまタクシー乗務員として働くことは、地域の道路事情と安全運行を身につけることでもあります。同乗役の仕事内容は自動運転のセーフティドライバーとは、自動運転の開発会社が公式に出している試験走行の求人はテストドライバー・自動運転開発ドライバーの求人にまとめています。
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出典・一次情報
本記事の記述は、次の公表資料と公式発表に基づいています(いずれも2026年10月17日閲覧。公安委員会の公示は2026年10月18日閲覧)。
- 国土交通省「参考資料 自動運転の普及に伴う社会変容への対応について」(令和8年6月8日、第3回 国土交通省自動運転社会実現本部) mlit.go.jp(PDF)/開催ページ mlit.go.jp
- 国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月) mlit.go.jp(PDF)/掲載ページ mlit.go.jp
- 国土交通省 物流・自動車局「自動運転の普及・拡大に関する取組」(令和8年1月29日) mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省 物流・自動車局「自動運転の普及・拡大に向けた取組み」(令和8年3月5日) road-to-the-l4.go.jp(PDF)
- 国土交通省「国土交通白書2024」第2節 2 自動運転の実現 mlit.go.jp
- 警視庁「特定自動運行の許可等の公示」(失効:2026年2月4日 BOLDLY株式会社 東京都大田区) keishicho.metro.tokyo.lg.jp
- 愛媛県警察「特定自動運行の許可に係る公示」(許可第1号 失効:2026年1月21日 伊予鉄バス株式会社) police.pref.ehime.jp
- 北海道釧路方面公安委員会告示第36号(令和8年5月29日・許可証第2号の返納・失効年月日 令和8年4月23日) police.pref.hokkaido.lg.jp(PDF)
- 宮城県公安委員会「特定自動運行許可の失効」(許可証第1号・東日本旅客鉄道株式会社・失効年月日 令和8年7月24日) police.pref.miyagi.jp(PDF)
- 警察庁「特定自動運行に係る許可制度の創設について」 npa.go.jp(PDF)
- 経済産業省「一般道における中型バスでのレベル4自動運転による運行を開始します」(2026年1月13日) meti.go.jp
- 茨城交通「国内最長距離&国内初の中型バスでのレベル4自動運転の営業運行」(2025年1月24日) ibako.co.jp
- RoAD to the L4「国内初のレベル4自動運転移動サービスのための認可・許可取得」 road-to-the-l4.go.jp
- デジタル庁 第14回モビリティワーキンググループ 事務局資料2「先行的事業化地域の採択地域について」 digital.go.jp(PDF)
数字の更新について
レベル4の実装地域の数と許可件数は、国土交通省が資料を出すたびに更新されます。本記事は2026年10月17日時点で確認できた最新の資料(2026年6月8日)の数字です。許可の失効は各都道府県の公安委員会の公示で確かめています(2026年10月18日時点)。



