京都のタクシー運転手の年収|結論
この記事の結論
京都府のタクシー運転者の年間推計額は445万6,600円で、府内の中小型トラックとほぼ同額、バス・大型トラックより低い水準です(令和7年賃金構造基本統計調査から本記事が計算)。同じ統計の府内のバス運転者は478万8,700円、営業用中小型トラックは446万3,200円、営業用大型トラックは532万9,100円です。
全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると47都道府県の6位です。ただし京都府のタクシー運転者は統計上の推計労働者数が令和6年に約940人と少なく、令和7年は年間賞与が110万5,000円と前後の年から大きく外れているため、全タク連も注意を促しているとおり、1年の数字だけで判断しないことが大切です。
売上と給与の側では、京都市域地区で2025年8月6日に増収率8.72%の運賃改定が実施され、京都府タクシー協会の集計では改定後6か月の一般運転者1人平均給与月額が37万2,994円と、前年同期から5.6%増えています。
京都でタクシーの仕事を考えるとき、「京都のタクシーの年収はどのくらいか」「観光地の京都は稼げるのか」「運賃改定で給与は上がったのか」が気になるところです。
この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和5〜7年)、近畿運輸局の運賃改定の公表資料、京都府タクシー協会の労働条件改善状況の公表、国土交通省の準特定地域の速報値、各社の公式採用ページという一次情報だけで、京都のタクシー運転者の収入を整理します。京都の会社ごとの給与保障・勤務の比較は京都のタクシー会社比較にまとめているので、ここでは年収の水準と動きに絞ります。
府内の運転の仕事と比べる|中小型トラックとほぼ同額、バスより33万円低い
令和7年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(都道府県別第3表)の京都府の欄から、自動車運転の職種を並べました。年間推計額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」、1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間の12倍で割った本記事の計算値です。
| 職種(京都府) | 平均年齢 | 勤続年数 | 月間実労働時間 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 年間推計額 | 1時間あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タクシー運転者 | 55.7歳 | 8.9年 | 208時間 | 279,300円 | 1,105,000円 | 4,456,600円 | 約1,785円 |
| バス運転者 | 53.8歳 | 13.1年 | 205時間 | 350,700円 | 580,300円 | 4,788,700円 | 約1,947円 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 51.6歳 | 11.8年 | 208時間 | 415,600円 | 341,900円 | 5,329,100円 | 約2,135円 |
| 営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) | 51.7歳 | 12.4年 | 198時間 | 340,800円 | 373,600円 | 4,463,200円 | 約1,878円 |
京都府では、タクシーの年間推計額は中小型トラックとの差が6,600円とほぼ同額で、バスより33万2,100円、大型トラックより87万2,500円低い結果です。月間実労働時間はタクシーが208時間と大型トラックに並んで最も長いため、1時間あたりでは約1,785円と4職種で最も低くなります。全国でもタクシー・バス・中小型トラックがほぼ横並びで大型トラックが最も高いという構図があり(タクシー・バス・トラックの年収比較)、京都も大きくは同じ形です。
全タク連の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると、京都府のタクシー運転者は47都道府県(全国行を除く)で6位です。京都府の全産業労働者の年間推計額533万6,600円との差は88万円で、全国平均の差94万7,400円よりやや小さくなっています。一方で月間労働時間はタクシー208時間に対して全産業173時間と、35時間長いことも同じ表に示されています。
給与の中身|所定内20.8万円、超過分7.2万円、賞与110.5万円
令和7年の京都府のタクシー運転者の所定内給与額は20万7,600円、時間外・深夜手当などの超過労働給与額(きまって支給する額との差)は7万1,700円、年間賞与その他特別給与額は110万5,000円で、年収の約24.8%を賞与が占めます。全国のタクシー運転者の賞与の比重(約4.4%)や、東京都(約1.7%)・大阪府(約4.7%)と比べて突出しています。
ただし、京都府のタクシー運転者の年間賞与は令和5年44万3,700円、令和6年29万5,500円で、令和7年だけが大きく外れています。調査対象に入った事業所の賃金制度(賞与の比重が大きい会社が含まれたかどうか)によって大きく変わる数字なので、「京都のタクシー会社は賞与が多い」と一般化することはできません。月々の給与(きまって支給する額27万9,300円)と賞与を合わせた年間の額で見るのが適切です。歩合給の計算の仕組みはタクシーの歩合給の計算と足切りで解説しています。
3年間の推移|295万円、387万円、446万円と大きく動く
令和5年・6年・7年の同じ表から、京都府のタクシー運転者の数字を並べます。推計労働者数は表の「労働者数(十人単位)」を10倍した値、前年比は年間推計額から本記事が計算した値です。
| 調査年 | 年間推計額 | 前年比 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 平均年齢 | 勤続年数 | 月間実労働時間 | 推計労働者数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年 | 2,950,500円 | - | 208,900円 | 443,700円 | 62.9歳 | 13.5年 | 170時間 | 約1,640人 |
| 令和6年 | 3,867,900円 | +31.1% | 297,700円 | 295,500円 | 66.6歳 | 8.1年 | 189時間 | 約940人 |
| 令和7年 | 4,456,600円 | +15.2% | 279,300円 | 1,105,000円 | 55.7歳 | 8.9年 | 208時間 | 約5,230人 |
数字の上では2年で約150万円増えていますが、推計労働者数が約1,640人、約940人、約5,230人と年ごとに大きく変わり、平均年齢も62.9歳、66.6歳、55.7歳と動いています。月間実労働時間も170時間から208時間へと38時間長くなっています。この統計は毎年6月分の給与を企業規模10人以上の事業所から標本で調べたもので、調査対象に入る事業所や労働者が入れ替わると数字が大きく動きます。
全タク連の資料も第4表の注1で、全国のあらゆる産業を対象とする調査の性格上、タクシー運転者に係る調査対象事業所数は限定され、小規模な都道府県では「各都道府県の実情が正確に反映されていない可能性があることに留意することが必要」としています。京都府の令和7年の伸びは、実際の賃上げと標本の入れ替わりの両方を含んでいると読むのが慎重です。
なお、全タク連の資料の第4表にある「対前年増減」の列は、年収の増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減です(京都府は格差が令和6年の129万4,200円から88万円に縮小し、-41万4,200円)。年収の前年比は上の表のように、各年の統計の値から計算してください。
2025年8月の京都市域地区の運賃改定|初乗り0.9km 500円、増収率8.72%
近畿運輸局は2025年2月6日に京都市域地区の運賃改定の審査開始を発表し(申請事業者35者・3,643両、対象地域の法人事業者61者・5,392両)、7月7日に新しい運賃を公示しました。実施日は8月6日です。普通車の上限運賃の変更点は次のとおりです。
| 項目(普通車・上限運賃) | 改定前 | 改定後(2025年8月6日〜) |
|---|---|---|
| 初乗り | 1.0km 500円 | 0.9km 500円 |
| 加算運賃 | 279mごとに100円 | 255mごとに100円 |
| 時間距離併用制 | 1分45秒ごとに100円 | 1分35秒ごとに100円 |
| 増収率 | 8.72% | |
京都市域地区は、京都市(旧京北町の区域を除く)・向日市・長岡京市・宇治市・八幡市・城陽市・京田辺市・木津川市と乙訓郡・久世郡・綴喜郡・相楽郡です。近畿運輸局は査定の考え方として、改定要請の主要な理由のひとつが運転者の労働条件の改善であることを踏まえ、「実績における運送収入に対する運転者人件費の割合を維持した上で、健全な経営が成立する水準の運賃を設定する」という考え方で査定したと説明しています。公表された収支表(原価計算の対象事業者分)では、令和5年度実績で運送原価に占める人件費の割合が63.12%でした。
運賃改定と収入の関係の一般的な仕組みはタクシーの運賃改定と収入で整理しています。
京都北部地区は2026年9月30日に改定率12.38%の改定
福知山市・舞鶴市・綾部市・宮津市・亀岡市・京丹後市・南丹市・与謝郡・船井郡と京都市の旧京北町の区域からなる京都北部地区では、近畿運輸局が2026年8月27日に新運賃を公示し、9月30日に実施されました。改定率は12.38%で、普通車の上限運賃は初乗り1.3km 600円・加算243mごと100円から、初乗り1.2km 600円・加算210mごと100円に変わりました(前回の改定は2024年3月18日)。査定の考え方は京都市域地区と同じく、運転者人件費の割合を維持したうえで健全な経営が成り立つ水準とされています。
運賃改定後の給与|一般運転者の1人平均給与月額は5.6%増
京都府タクシー協会は2026年10月13日、京都市域地区で運賃を改定した50社(一般運転者がいない事業者を除く)の集計を公表しました。改定後6か月(2025年8月〜2026年1月)と前年同期(2024年8月〜2025年1月)の、一般運転者1人平均給与月額を月ごとに並べます。増減と増減率は本記事の計算です。
| 月 | 改定後(2025年8月〜2026年1月) | 前年同月 | 増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 8月 | 367,165円 | 355,265円 | +11,900円 | +3.3% |
| 9月 | 342,241円 | 319,738円 | +22,503円 | +7.0% |
| 10月 | 346,309円 | 330,851円 | +15,458円 | +4.7% |
| 11月 | 406,245円 | 388,787円 | +17,458円 | +4.5% |
| 12月 | 440,633円 | 412,516円 | +28,117円 | +6.8% |
| 1月 | 335,388円 | 311,356円 | +24,032円 | +7.7% |
| 6か月計 | 372,994円 | 353,294円 | +19,700円 | +5.6% |
6か月とも前年同月を上回り、平均で5.6%の増加です。同じ資料では、営業収入(税抜き)の平均増収率は8.5%、乗務員1人あたりの営業収入(月)は改定前55万1,898円から改定後58万3,142円になっています。表の数字から計算すると、この1人平均給与月額は月例賃金と賞与の合計を延べ乗務員数で割った額で、賞与の支給が多い12月や11月が高くなっています。
運転者に支払った賃金の総額(月例賃金と賞与)が営業収入に占める割合を同じ表から計算すると、改定前の約59.3%に対して改定後は約59.7%で、協会はこの変動を「営業収入に占める賃金支給率」100.73として示しています。売上のおよそ6割が運転者の賃金として支払われていることになり、売上が増えればその分が給与に反映される構造が読み取れます。賃金改善率がプラスだった会社とマイナスだった会社の内訳や、乗務員の費用負担の扱いは京都のタクシー会社比較で紹介しています。
この6か月平均の37万2,994円を単純に12倍すると約448万円で、賃金構造基本統計調査の京都府の年間推計額445万6,600円と近い水準です。ただし、協会の集計は京都市域地区の運賃改定実施事業者に限った6か月の平均で、賞与の多い月を含むため、年収そのものではありません。
1日1車あたりの営業収入|京都市域交通圏は3万4,332円
国土交通省が2024年7月に公表した準特定地域の速報値では、京都市域交通圏の日車営収(1日1車あたりの営業収入)は令和5年度3万4,332円で、平成13年度の2万6,853円を上回っています。同じ資料の大阪市域交通圏は3万8,775円、神戸市域交通圏は3万5,034円、特別区・武三交通圏(東京)は6万1,443円です。この数字は2025年8月の運賃改定より前のものです。
京都の会社が公表している年収の実績
京都市域地区に営業所があり、公式の採用ページに年収の実績や例を載せている会社の例です(2026年10月閲覧)。会社の比較や順位付けではなく、統計の平均と会社の公表値の違いを知るための参考として並べます。
| 会社 | 公表している年収(公表どおり) | 対象・条件 |
|---|---|---|
| エムケイ(京都MK) | スタンダードタクシー 平均年収 昼勤499万円・夜勤610万円 | 2025年度実績。入社3か月以降の給与体系は固定給27万円(諸手当含む)+インセンティブ |
| 彌榮自動車(ヤサカタクシー) | 普通車ドライバー 皆勤者平均年収 約408万円 | 2025年度実績。基準内賃金18万8,000円+能率給 |
| 阪急タクシー | モデル年収 40歳代 約620万円・約560万円、50歳代 約500万円 | 会社全体のモデル(京都・大阪・兵庫の営業所共通の募集要項)。賞与年2回を含む |
会社の公表値は、勤務形態(昼勤・夜勤・隔日)、皆勤者かどうか、車種や部門によって対象が異なり、そのまま統計の平均や他社の数字と比べることはできません。たとえばエムケイの昼勤と夜勤の差は約111万円あります。給与保障の期間・額、1車2人制などの勤務の違いは京都のタクシー会社比較で、公式募集要項をもとに5社を並べています。
京都府内の求人は京都府のタクシー求人・京都市のタクシー求人、会社別にはエムケイ(MKタクシー)・阪急タクシーのページから確認できます。
京都でタクシーの求人を比べるときの確認項目
- 営業区域:京都市域地区か京都北部地区か。運賃の水準も改定の時期も違います。
- 運賃改定後の賃金規定:2025年8月(京都北部地区は2026年9月)の改定の後、歩合率や手当がどう変わったか。
- 賞与の扱い:統計の賞与は年によって大きく動くため、募集要項で賞与の回数と算定方法を確認してください。考え方はタクシーの賞与と退職金で整理しています。
- 公表年収の対象:会社の示す年収が昼勤か夜勤か、皆勤者の平均か、モデル例か。
- 勤務形態と労働時間:京都府のタクシー運転者の月間実労働時間は統計上208時間です。隔日勤務のルールはタクシーの隔日勤務とはを参照してください。
観光案内を生かす働き方は観光タクシー・インバウンド対応ドライバーの仕事、未経験から始める流れは未経験からタクシードライバーになるにはで解説しています。大阪との比較には大阪のタクシー運転手の年収も参考になります。
出典・一次情報
本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・前年比・1時間あたり・差額・割合・増減率は、公表値から本記事が計算したものです。
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)/同(令和6年)/同(令和5年)
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の【最新版】)第4表・注1 taxi-japan.or.jp(PDF)
- 近畿運輸局「京都市域地区のタクシー運賃の改定審査開始について」(2025年2月6日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)/「京都市域地区のタクシー運賃改定について」(2025年7月7日、別添1 新運賃・別添2 収支実績及び推定収支) 同(PDF)
- 近畿運輸局「京都北部地区のタクシー運賃改定について」(2026年8月27日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 一般社団法人京都府タクシー協会「京都市域地区 運賃改定後の労働条件改善状況」(2026年10月13日) kyoto-taxi.or.jp(PDF)
- 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月31日、準特定地域における令和5年度速報値) mlit.go.jp
- MKタクシー京都 採用サイト 給与体系 kyotomk-recruit.jp
- 彌榮自動車(ヤサカタクシー)採用サイト 給与について yasaka-recruit.jp
- 阪急タクシー株式会社 タクシードライバー募集要項 hankyu-taxi.co.jp
数字の範囲について
賃金構造基本統計調査の京都府の数字は府全体の値で、京都市など市単位の年収は公表されていません。対象は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者で、個人タクシーは含みません。額は税・社会保険料を引く前の額面です。京都府タクシー協会の集計は京都市域地区で運賃を改定した協会員50社の一般運転者の数字です。会社の公表値は閲覧日時点のもので、営業所や勤務形態によって異なる場合があります。



