宮城のタクシー運転手の年収|結論

この記事の結論

宮城県のタクシー運転者の年間推計額は334万6,900円で、県内のバス・トラックの運転者より低い水準です(令和7年賃金構造基本統計調査から本記事が計算)。同じ統計の県内のバス運転者は382万3,600円、営業用大型トラックは439万6,000円、営業用中小型トラックは421万1,300円です。
全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると47都道府県の27位で、東北6県の中では最も高い数字です。
年収は令和5年343万3,200円、令和6年300万7,400円、令和7年334万6,900円と推移していますが、調査対象の労働者数が少なく、賞与が0円と集計された年もあるため、単年の増減より300万〜340万円台という水準で見るのが適切です。
売上の側では、2026年3月20日に仙台地区(改定率10.08%)、7月1日に仙台市を除く宮城地区(改定率11.53%)で運賃改定が実施されました。

宮城でタクシーの仕事を考えるとき、「仙台のタクシーはどのくらい稼げるのか」「県内の他の運転の仕事と比べてどうか」「2026年の運賃改定で収入は変わるのか」が気になるところです。

この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和5〜7年)、全タク連の集計資料、東北運輸局の運賃改定と労働条件の改善状況の公表資料、国土交通省の準特定地域の速報値、県内で採用している会社の公式募集要項という一次情報だけで、宮城県のタクシー運転者の収入を整理します。

県内の運転の仕事と比べる|タクシーは4職種で最も低い

令和7年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(都道府県別第3表)の宮城県の欄から、自動車運転の職種を並べました。年間推計額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」、1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間(所定内+超過)の12倍で割った本記事の計算値です。

職種(宮城県)平均年齢勤続年数月間実労働時間きまって支給する現金給与額(月)年間賞与年間推計額1時間あたり
タクシー運転者62.4歳10.6年187時間273,300円67,300円3,346,900円約1,491円
バス運転者60.1歳8.4年167時間301,700円203,200円3,823,600円約1,908円
営業用大型貨物自動車運転者55.2歳13.9年188時間351,300円180,400円4,396,000円約1,949円
営業用貨物自動車運転者(大型車を除く)49.9歳10.6年184時間314,700円434,900円4,211,300円約1,907円

宮城県では、タクシーの年間推計額はバスより47万6,700円、中小型トラックより86万4,400円、大型トラックより104万9,100円低い結果です。1時間あたりでも約1,491円で、他の3職種(約1,900円台)との差があります。全国ではタクシー・バス・中小型トラックがほぼ横並びという構図ですが(タクシー・バス・トラックの年収比較)、宮城ではタクシーが一段低い位置にあります。なお、宮城県のバス運転者の推計労働者数は約670人と少なく、この比較にも標本の小ささの影響があり得ます。

全タク連の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると、宮城県のタクシー運転者は47都道府県で27位(全国行を除く)です。東北6県では青森303万3,900円、岩手279万9,800円、秋田298万7,800円、山形304万2,200円、福島317万6,600円で、宮城が最も高くなっています。宮城県の全産業労働者の年間推計額499万3,200円との差は164万6,300円で、全国平均の差94万7,400円より大きい差です。

給与の中身|所定内22.4万円、超過分4.9万円、賞与は年収の約2%

同じ表で、宮城県のタクシー運転者の所定内給与額は22万4,300円、時間外・深夜手当などの超過労働給与額(きまって支給する額との差)は4万9,000円です。年間賞与6万7,300円は年収の約2.0%で、全国のタクシー運転者(約4.4%)より毎月の給与に重心があります。平均年齢62.4歳は県内の4職種で最も高い年齢です。歩合給の計算の仕組みはタクシーの歩合給の計算と足切り、60代からの働き方は60代のタクシードライバーで解説しています。

3年間の推移|300万〜343万円の範囲、標本が少なく値が動きやすい

令和5年・6年・7年の同じ表から、宮城県のタクシー運転者の数字を並べます。推計労働者数は表の「労働者数(十人単位)」を10倍した値、1時間あたりは本記事の計算値です。

調査年年間推計額きまって支給する現金給与額(月)年間賞与月間実労働時間1時間あたり平均年齢勤続年数推計労働者数
令和5年3,433,200円286,100円0円193時間約1,482円67.2歳13.9年約1,590人
令和6年3,007,400円238,600円144,200円164時間約1,528円66.2歳22.2年約1,680人
令和7年3,346,900円273,300円67,300円187時間約1,491円62.4歳10.6年約4,680人

年収は令和6年に前年比12.4%減、令和7年に前年比11.3%増(33万9,500円増)でした(両年の統計から本記事が計算)。一方で1時間あたりは3年とも約1,480〜1,530円の範囲にあり、年収の増減は主に月間実労働時間の違い(164〜193時間)によるものです。

注意したいのは標本の小ささです。推計労働者数は令和5・6年が約1,600人前後と少なく、令和5年は年間賞与が0円と集計されています。勤続年数も13.9年、22.2年、10.6年と年ごとに大きく変わっています。全タク連は資料の注1で、全国のあらゆる産業・規模・職種を対象とする調査の性格上、タクシー運転者にかかわる調査対象事業所数は限られ、小規模な都道府県では各都道府県の実情が正確に反映されていない可能性に留意が必要としています。宮城県の数字はこの注意が特に当てはまるため、単年の増減や順位より、複数年の水準で見てください。

なお、全タク連の資料の第4表にある「対前年増減」の列は、年収の増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減です(宮城は格差が令和6年の172万3,000円から164万6,300円に縮小し、-7万6,700円)。

2026年の運賃改定|仙台地区は3月、宮城地区は7月に実施

東北運輸局は2026年に、仙台地区(仙台市全域)と宮城地区(仙台市を除く宮城県全域)の運賃改定を相次いで公示しました。普通車の上限運賃は次のとおりです。いずれも令和7年の賃金構造基本統計調査(2025年6月分)より後の改定で、上の年収の数字にはまだ反映されていません。

項目(普通車・上限運賃)仙台地区(仙台市全域)宮城地区(仙台市を除く県内全域)
公示日・実施日2026年2月19日公示、3月20日実施2026年5月29日公示、7月1日実施
改定前初乗り1.4km 710円、加算310mごと100円初乗り1.2km 750円、加算293mごと100円
改定後初乗り1.3km 700円、加算275mごと100円初乗り1.2km 800円、加算254mごと100円
改定率10.08%(迎車回送料金の増収分を含む)11.53%
前回の改定2023年5月31日2023年9月20日

仙台地区は法人43者・法人車両2,075両(個人タクシー473者)の地区で、改定の要請は1,282両(要請率61.8%)から「人件費等の諸経費高騰への対応等」を理由に出されました。あわせて迎車回送料金(1回100円・200円・300円のいずれか)が新設されています。運賃改定と収入の関係はタクシーの運賃改定と収入で整理しています。

算定の中身|仙台地区は人件費を実績より約15%多く見込む

仙台地区の公表資料(原価計算対象14社)では、人件費は令和6年度実績で39億6,131万9千円(運送原価の60.45%)、令和8年度の査定で45億7,339万3千円(同64.31%)とされ、査定の段階で実績より約15.5%多い人件費を見込んだうえで、それをまかなう運賃水準として改定率10.08%が算定されています。宮城地区(原価計算対象11社)では、人件費は令和6年度実績4億2,727万6千円(57.88%)から査定4億4,724万1千円(59.19%)で、約4.7%増の見込みです。

前回改定の後の賃金|時間あたり賃金が下がった会社は103社中25社

東北運輸局は2025年10月17日、2023年9月20日に運賃を改定した宮城地区(旧宮城県B地区)について、宮城県タクシー協会の取りまとめをもとにした労働条件の改善状況の調査結果を公表しました。改定後6か月間の「運転者1人平均時間あたり賃金」の支給率を前年同期と比べたもので、結果は次のとおりです。

時間あたり賃金の支給率の変動事業者数
20%以上増10者
10%以上20%未満増24者
0%以上10%未満増44者
-10%以上0%未満(減少)19者
-10%未満(減少)6者
計103者

103者のうち78者は増加または横ばい(0%以上)、25者は減少でした。減少した事業者について東北運輸局は、車両の修理代や燃料費などの経費の増加、運転者の高齢化による実働率の低下などを理由として確認し、指導に至る事業者はなかったとしています。運賃が上がっても、賃金が上がるかどうかは会社によって違うことを示す公表資料で、応募先を選ぶときは改定後の賃金規定を確認することが大切です。

売上の側から見る|仙台市の日車営収は2万6,710円

国土交通省が2024年7月に公表した準特定地域の速報値から、仙台市と東北の他の県庁所在地の交通圏の日車営収(1日1車あたりの営業収入)を並べました。令和5年度の数字で、2026年の運賃改定より前のものです。

営業区域(準特定地域)平成13年度令和5年度令和5年度の日車実車キロ
仙台市35,887円26,710円60.2km
秋田交通圏24,662円29,291円55.4km
盛岡交通圏26,329円26,056円60.2km
青森交通圏25,781円23,612円55.0km
山形交通圏26,337円22,804円49.3km
福島交通圏24,653円21,411円48.1km

仙台市の日車営収は平成13年度の3万5,887円から約26%少ない2万6,710円で、日車実車キロも94.7kmから60.2kmに減っています。東北最大の都市ですが、1台あたりの売上は秋田交通圏を下回り、盛岡交通圏とほぼ同じ水準です。同じ資料の札幌交通圏は3万8,136円でした。1台あたりの売上の低さが、統計上の年収の水準にもつながっていると考えられます。

仙台で採用している会社の公表条件

仙台市内に営業所があり、公式の募集要項に給与の数字や仕組みを載せている会社の例です(2026年10月閲覧)。統計の平均と会社の公表値の違いを知るための参考で、会社の比較や順位付けではありません。

項目日交タクシー(グリーンキャブ仙台支社)観光第一交通(第一交通産業グループ)
給与の形乗務開始から1年間は月給23万円(隔日勤務のみ・規定あり)。1年後は月給(基本給・固定)17万9,574円+歩合給基本給+固定残業代+業績歩合給。保証給制度あり(金額は公表なし)
賞与・退職金賞与年3回(4・8・12月、乗務開始1年後から)賞与年2回、退職金制度(勤続2年以上)
勤務隔日勤務 8:00〜翌1:30(拘束17時間30分・休憩3時間)。日勤も可(月24乗務)。休日月6〜7日隔日勤務 7:00〜翌1:00(月12回程度・年間休日203日)、日勤 7:00〜17:00、夜勤 17:00〜2:00
二種免許・応募資格取得費用は会社負担(規定あり)。63歳以下取得費用は全額会社負担。64歳以下(65歳定年制)
勤務地仙台市太白区仙台市若林区

両社とも収入の実績(平均年収など)は公表していません。日交タクシーの1年間の月給23万円は、統計上の宮城県の所定内給与額(22万4,300円)と近い水準です。公表されている給与は保障や固定部分の額で、保障が終わった後の収入は歩合給、つまり売上によって変わります。

会社別にはグリーンキャブ・第一交通産業のページから確認できます。給与保証の読み方はタクシーの給与保証の仕組み、賞与の確認方法はタクシーの賞与と退職金を参考にしてください。

宮城でタクシーの求人を比べるときの確認項目

  1. 営業区域:仙台地区(仙台市全域)と宮城地区(それ以外の県内)では運賃も改定時期も異なります。
  2. 運賃改定後の賃金規定:2026年の改定の後、歩合率や固定給が変わったかどうか。前回改定では時間あたり賃金が下がった会社もありました。
  3. 保障の期間と条件:保障が隔日勤務だけか、日勤にも適用されるか。保障が終わった後の固定部分がいくらか。
  4. 賞与の回数と算定方法:統計上の宮城県の賞与は年6万7,300円と少なめです。賞与が固定額か売上連動かを確認してください。
  5. 勤務形態と休日:隔日勤務の拘束時間と休憩。ルールはタクシーの隔日勤務とはを参照してください。

他の都府県との比較はタクシー運転手の年収(都道府県別)、未経験から始める流れは未経験からタクシードライバーになるにはにまとめています。県内の求人は宮城県のタクシー求人、仙台市に絞るなら仙台市のタクシー求人、二種免許の取得費用を会社が負担する求人は二種免許養成制度ありの求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・1時間あたり・差額・前年比・割合は、公表値から本記事が計算したものです。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)/e-Stat(令和6年)/e-Stat(令和5年)
  • 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の【最新版】)第4表・注1 taxi-japan.or.jp(PDF)
  • 東北運輸局「仙台地区におけるタクシー運賃改定~新運賃の公表について~」(2026年2月19日、収支実績及び推定収支を含む) wwwtb.mlit.go.jp/PDF
  • 東北運輸局「宮城地区におけるタクシー運賃改定~新運賃の公表について~」(2026年5月29日) wwwtb.mlit.go.jp/PDF
  • 東北運輸局「宮城地区(旧宮城県B地区)のタクシーの運賃改定実施による労働条件の改善状況調査結果について」(2025年10月17日) wwwtb.mlit.go.jp/PDF
  • 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月31日、準特定地域における令和5年度速報値) mlit.go.jp
  • 株式会社グリーンキャブ仙台支社(日交タクシー)採用情報・募集要項 sendai-bosyu.sakura.ne.jp(公式サイト greencab-nikkotaxi.jp からリンク)
  • 第一交通産業グループ 求人サイト「WAY」 recruit.way-taxi.net/観光第一交通 募集要項(隔日勤務 B182/431・夜勤 B182/432・日勤 B182/433)

数字の範囲について

賃金構造基本統計調査の宮城県の数字は県全体の値で、仙台市だけの年収は公表されていません。対象は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者で、個人タクシーは含みません。額は税・社会保険料を引く前の額面です。準特定地域の日車営収は運賃改定前の令和5年度の速報値です。会社の公表条件は閲覧日時点のもので、営業所や勤務形態によって異なる場合があります。