奈良のタクシー求人とタクシー会社比較|結論
この記事の結論
奈良県のタクシー運転者の年間推計額は314万1,800円で、全国(450万8,200円)より136万6,400円低い水準です(令和7年賃金構造基本統計調査、全タク連の第4表)。
全産業労働者(501万400円)との差は186万8,600円で、47都道府県で5番目に大きい差です。同じ統計の県内の運転の仕事では、営業用大型トラック509万1,900円、中小型トラック473万5,100円、バス451万5,000円で、タクシーは最も低い額です。
令和6年は362万8,100円で、令和7年は48万6,300円(13.4%)減りました(前年比は本記事が両年の値から計算)。ただし令和7年の推計労働者数は約240人と少なく、標本の影響が大きい数字です。
県内の法人タクシーは54者・956両(2024年の運賃改定申請の受付時点)で、7つの交通圏に分かれます。2024年11月11日に増収率11.31%の運賃改定が実施され、2026年の改定要請は申請割合が5割に届かず手続きが始まりませんでした。
公式の採用ページで条件を確認できた奈良近鉄タクシーと生駒交通は、どちらも二種免許の取得費用を会社が負担するとしています。
「奈良 タクシー 求人」で調べると、求人サイトの一覧や広告が多く並びます。しかし、年収の水準は公的統計、給与保障や勤務形態は各社が自分の採用ページに書いている内容がいちばん確かな情報です。
この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和6・7年)、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の集計、国土交通省近畿運輸局の運賃改定と営業区域の資料、県内2社の公式採用ページだけを使って、年収と会社の条件を順位を付けずに整理します。都道府県別の一覧はタクシー運転手の年収(都道府県別)にまとめています。
奈良のタクシー運転手の年収|314万1,800円、全国34位
全タク連が厚生労働省の統計をもとに作成した「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(2026年10月6日付の訂正版【最新版】)第4表の奈良の行は次のとおりです。年間推計額は「6月分のきまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」です。
| 項目(奈良) | タクシー運転者 | 全産業労働者 | 差 |
|---|---|---|---|
| 月間労働時間 | 170時間 | 174時間 | タクシーが4時間短い |
| 年間推計額 | 3,141,800円 | 5,010,400円 | 1,868,600円(全産業が高い) |
| (参考)令和6年調査の格差・対前年増減 | 第4表では「-」(記載なし) | ||
第4表の47都道府県の年間推計額を本記事で並べ替えると、奈良は34位です。全産業との差186万8,600円は、茨城・石川・群馬・山梨に次いで5番目に大きい差です。なお、第4表の「対前年増減」の列は、年収の増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減で、奈良はこの列が「-」になっています。年収の前年比は、次の表のように各年の年収から計算します。
令和6年と令和7年|363万円から314万円へ、標本は約240人
賃金構造基本統計調査の都道府県別第3表(一般労働者・産業計)の奈良県のタクシー運転者の値です。令和5年の表では奈良県のタクシー運転者は「-」で、値が公表されていません。年間推計額と前年比、推計労働者数(表の「十人単位」を10倍した値)は本記事の計算です。
| 調査年 | 年間推計額 | 前年比(本記事の計算) | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 平均年齢 | 勤続年数 | 月間実労働時間 | 推計労働者数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年 | 公表なし(表では「-」) | |||||||
| 令和6年 | 3,628,100円 | - | 293,600円 | 104,900円 | 61.0歳 | 13.5年 | 202時間 | 約730人 |
| 令和7年 | 3,141,800円 | -13.4% | 255,400円 | 77,000円 | 62.0歳 | 12.7年 | 170時間 | 約240人 |
令和7年は月間労働時間が202時間から170時間へ32時間短くなり、月の給与も3万8,200円下がりました。1時間あたりの額(年間推計額÷月間労働時間÷12)は約1,497円から約1,540円でほぼ変わっていません。推計労働者数は約240人と少なく、全タク連も第4表の注1で、小規模な都道府県では調査対象事業所が少なく実情が正確に反映されていない可能性があると注意しています。奈良の年収は、2年の平均(約338万5,000円)程度の幅で見るのが慎重です。
令和7年の内訳は、所定内給与額25万4,000円、時間外・深夜手当などの超過分(きまって支給する額との差)1,400円、年間賞与7万7,000円で、賞与は年収の約2.5%です。歩合給の計算の仕組みはタクシーの歩合給の計算と足切りで解説しています。
県内のバス・トラックと比べる|年収・時給ともに最も低い
同じ令和7年の都道府県別第3表の奈良県の欄から、自動車運転の職種を並べました。1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間の12倍で割った本記事の計算値です。
| 職種(奈良県) | 平均年齢 | 月間実労働時間 | きまって支給する現金給与額(月) | 年間賞与 | 年間推計額 | 1時間あたり |
|---|---|---|---|---|---|---|
| タクシー運転者 | 62.0歳 | 170時間 | 255,400円 | 77,000円 | 3,141,800円 | 約1,540円 |
| バス運転者 | 52.6歳 | 192時間 | 312,500円 | 765,000円 | 4,515,000円 | 約1,960円 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 49.0歳 | 227時間 | 410,800円 | 162,300円 | 5,091,900円 | 約1,869円 |
| 営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) | 49.2歳 | 215時間 | 354,700円 | 478,700円 | 4,735,100円 | 約1,835円 |
奈良県では、タクシーの年間推計額はバスより137万3,200円、中小型トラックより159万3,300円、大型トラックより195万100円低い結果です。労働時間はタクシーが最も短いものの、1時間あたりで見ても約1,540円で4職種のうち最も低くなっています。差が大きいのは賞与で、バスの76万5,000円に対しタクシーは7万7,000円です。全国の比較はタクシー・バス・トラックの年収比較を参照してください。
奈良のタクシー市場|7つの交通圏、54者・956両
近畿運輸局の資料(2024年6月28日)では、運賃改定の対象となった奈良県地区(奈良県全域)の法人タクシーは54者・956両です。2026年7月6日の資料では、奈良地区の全車両数は938両でした。
タクシーが営業できる範囲(営業区域)は、近畿運輸局の公示(2026年7月1日、近運自二公示第9号の別紙)では、奈良県の営業区域として次の7つの交通圏が挙げられています。このうち奈良市域・生駒・中部の3交通圏は、タクシー特措法の「準特定地域」に指定されています。
| 営業区域(交通圏) | 区域 | 準特定地域 |
|---|---|---|
| 奈良市域交通圏 | 奈良市(旧都祁村の区域を除く) | 指定(2026年10月1日〜2029年9月30日) |
| 生駒交通圏 | 生駒市、大和郡山市、生駒郡 | 指定(2025年10月1日〜2028年9月30日) |
| 西大和交通圏 | 香芝市、葛城市、北葛城郡、磯城郡 | - |
| 山の辺交通圏 | 天理市、桜井市、奈良市のうち旧都祁村の区域、山辺郡 | - |
| 中部交通圏 | 大和高田市、橿原市、高市郡 | 指定(2025年10月1日〜2028年9月30日) |
| 金剛交通圏 | 御所市、五條市 | - |
| 大台交通圏 | 宇陀市、宇陀郡、吉野郡 | - |
国土交通省が公表した令和5年度の日車営収(法人タクシー1日1車あたりの営業収入、速報値)は、奈良市域交通圏が3万1,664円(平成13年度は3万1,364円)、生駒交通圏が3万1,448円(同2万8,505円)でした。1台の車を複数の乗務員が交代で使うため、乗務員1人の売上とは一致しません。奈良近鉄タクシーは採用ページで、奈良県内のタクシーは主に「駅待ち、車庫待ち」の営業スタイルだと説明しています。営業区域の考え方はタクシーの営業区域で解説しています。
2024年11月の運賃改定と、2026年の改定要請
近畿運輸局は2024年10月11日に奈良県地区の新運賃を公示し、2024年11月11日から実施されました。増収率は11.31%で、普通車の上限運賃は初乗り1.3km 750円・加算246mごと100円(改定前は1.3km 680円・248mごと90円)です。同局は奈良県タクシー協会に対し、運転者の労働条件の改善措置を講じ、その状況を自主的に公表するよう指導するとしています。
その前の改定(2022年4月1日実施、改定率9.25%)の後、同局は賃金の改善が一定水準に届いていない事業者を調査し、2024年7月31日に「指導に至る事業者は確認されませんでした」と公表しています。
2026年には4月3日に奈良地区で運賃改定の要請が出されましたが、受付期間(7月3日まで)の要請は8件・444両で、全車両数938両に対する割合は47.33%でした。5割を超えなかったため、近畿運輸局は運賃改定の手続きを開始しないとしています(2026年7月6日)。運賃と収入の関係はタクシーの運賃改定と収入にまとめています。
奈良のタクシー会社比較|公式採用ページで条件を確かめた2社
奈良県内に営業所があり、会社の公式採用ページで給与・勤務・二種免許の取得制度・応募資格を確認できた2社を、五十音順で並べます。順位や優劣を示すものではありません。県内のほかの会社は、公式サイトに採用条件の記載が見つからなかったため対象外としました。
| 項目 | 生駒交通株式会社 | 奈良近鉄タクシー株式会社 |
|---|---|---|
| 勤務地(公表どおり) | 募集要項に記載なし(本社は生駒市小明町) | 奈良営業所(奈良市大安寺)。ほかに東和(天理市)・生駒・大和郡山・中和(橿原市)・王寺の各営業所でも募集 |
| 給与(公表どおり) | 固定給+歩合給、賞与2回。月収例20万〜40万円、2023年8月実績で1か月平均約33万円 | 奈良営業所は月給171,000円〜690,000円(基本給171,000円+深夜勤務手当+諸手当+売上給・成果給)。上限額は営業所により異なる |
| 給与保障(公表どおり) | 公表なし | 期間限定の採用キャンペーンとして、タクシー初心者は3か月間月給26万円を保障(条件あり) |
| 勤務時間 | 6時〜翌2時の間で最大15時間拘束 | 日勤7時〜17時45分、7時〜22時30分、隔日勤務7時〜24時30分など(奈良営業所の例) |
| 休日 | 有給・慶弔(公休日数の記載なし) | 月7日公休、年次有給休暇・慶弔休暇 |
| 二種免許の取得 | 取得費用は会社負担 | 取得費用は全額会社負担。奈良交通自動車教習所で取得(基本費用は会社負担) |
| 応募資格 | 二種免許取得者、または19〜65歳で普通免許の保有期間が通算1年以上 | 二種免許所持者、または一種免許取得後3年以上 |
二種免許は通常、普通免許取得後3年以上が受験資格です。取得後1年以上で受けられる特例の教習は二種免許の受験資格特例教習、会社の養成制度の見方は二種免許の養成制度で解説しています。
奈良近鉄タクシー|6営業所と駅待ち中心の営業
奈良近鉄タクシーの募集要項(2025年11月16日更新)では、奈良営業所の営業エリアは近鉄奈良駅、JR奈良駅、西大寺駅、あやめ池駅、学園前駅、富雄駅を中心とした奈良市内で、駅からの乗り込みと無線配車・アプリ配車が中心です。流し営業はしておらず、近鉄グループとして近鉄各駅構内の待機場所数が他社より有利だと説明しています。月収例は総売上116万円で69万円、68万5,000円で36万6,000円、59万1,000円で29万9,000円(総売上は残業分を含む)です。
営業所ごとの月給の幅は、奈良17万1,000円〜69万円、東和(天理市)〜47万4,000円、生駒〜39万5,000円、大和郡山〜38万6,000円、王寺〜38万6,000円、中和(橿原市)〜34万8,000円です。新人研修は二種免許の取得、安全推進部による約2〜3週間の本社研修、先輩ドライバーの側乗教習の順です。会社の情報は奈良近鉄タクシーの会社ページへ。
生駒交通|タクシー・観光バス・旅行の3事業
生駒交通は生駒市に本社を置き、タクシー、貸切観光バス、旅行の3つの事業を行っています。採用情報では、正社員のタクシー乗務員のほか、デイタイム乗務員とパートの乗務員の募集要項も掲載しています。待遇として社会保険・厚生年金、制服貸与、マイカー通勤可、健康診断年2回(会社負担)、退職金制度、全車ドライブレコーダー・防犯装置・GPS・ETC、交通費支給(規定による)を挙げています。
奈良でタクシー求人を比べるときの確認項目
- 営業所の交通圏:同じ会社でも営業所によって交通圏が違い、奈良近鉄タクシーのように月給の上限額も営業所で変わります。
- 給与保障の条件:期間限定のキャンペーンかどうか、何か月か、条件は何か。読み方はタクシーの給与保障の仕組みで解説しています。
- 拘束時間と休日:「最大15時間拘束」「月7日公休」などの数え方をそろえて比べる。ルールはタクシーの隔日勤務を参照してください。
- 賞与:統計上の奈良県のタクシー運転者の賞与は年7万7,000円で、県内のバス(76万5,000円)と大きな差があります。会社ごとの算定方法を確認しておくと判断しやすくなります。
- 運賃改定の動き:2026年の改定要請は手続き開始に至りませんでした。今後の改定の有無は近畿運輸局の発表で確認できます。
県内の求人は奈良県のタクシー求人、市ごとには奈良市・生駒市・橿原市・天理市のページから探せます。条件別には二種免許の養成制度ありの求人・給与保障ありの求人・未経験歓迎の求人で絞り込めます。近畿のほかの地域は大阪のタクシー会社比較・京都のタクシー会社比較も参考になります。
出典・一次情報
本記事の数字は、次の公表資料と各社の公式採用ページに基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・前年比・平均・1時間あたり・差額・順位は、公表値から本記事が計算したものです。
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の訂正版【最新版】)第4表・注1 taxi-japan.or.jp(PDF)
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)
- 国土交通省近畿運輸局「奈良県地区のタクシー運賃の改定審査開始について」(2024年6月28日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省近畿運輸局「奈良県地区のタクシー運賃改定について」(2024年10月11日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省近畿運輸局「タクシー運賃改定実施に伴う労働条件の改善状況の調査結果について(奈良県地区)」(2024年7月31日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省近畿運輸局「奈良地区におけるタクシーの運賃改定要請(申請)状況について」(2026年7月6日) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省近畿運輸局 公示「法人タクシー事業における軽自動車の活用について」(2026年7月1日、近運自二公示第9号、別紙の営業区域) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省近畿運輸局「準特定地域(近畿運輸局管内)」(2026年10月1日現在) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月、準特定地域における令和5年度速報値) mlit.go.jp
- 奈良近鉄タクシー株式会社「募集要項」奈良営業所 narakintaxi.co.jp/採用情報(各営業所の募集要項) 同
- 生駒交通株式会社「タクシー乗務員募集要項」 ikomakotsu.com
数字の範囲について
賃金構造基本統計調査の奈良県の数字は県全体の値で、市や交通圏ごとの年収は公表されていません。対象は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者で、個人タクシーは含みません。額は税・社会保険料を引く前の額面です。日車営収は法人タクシーの数字です。会社の公表条件は閲覧日時点のもので、営業所や勤務形態によって異なる場合があります。応募前に最新の募集要項と面接で確認してください。



