自動運転タクシーと二種免許|結論

この記事の結論

レベル4の自動運転で走っている間は、二種免許は不要です。
国土交通省の「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月)は「特定自動(レベル4)運行中は二種免許は不要であるが、運行形態によっては二種免許を保有した者が乗車することもあることに留意」と書いています。
根拠は道路交通法です。二種免許はお客様を運ぶ目的で「運転」する人の免許で(第86条)、法律上の「運転」からはレベル4の特定自動運行が除かれています(第2条)。
一方、人が運転する区間がある運行や、セーフティドライバーが運転を担う段階(レベル2相当)では、お客様を乗せて運転する人に二種免許が要る形が残ります。東京の自動運転タクシーの試験でも、同乗役を担っているのはタクシー会社の乗務員です。

「自動運転タクシーが走るようになったら、二種免許はもういらないのでは」「二種を取る意味はあるのか」と考える人もいるでしょう。

この記事では、道路交通法(e-Gov法令検索)、国土交通省の手引き第3版、警察庁の記載要領、会社の公式求人という一次情報だけを使い、自動運転と二種免許の関係を原文に沿って整理します(2026年10月17日時点)。自動運転の計画全体はタクシーの自動運転で仕事はなくなる?で解説しています。

法律の仕組み|二種免許は「運転する人」の免許

道路交通法第86条第1項は、二種免許が必要な人を次のように定めています。

「次の表の上欄に掲げる自動車で旅客自動車であるものを旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者は、当該自動車の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第二種免許を受けなければならない。」

タクシー(普通自動車)でお客様を運ぶなら普通第二種免許、という決まりです。ポイントは「運転しようとする者」に必要な免許だということです。

そして同じ法律の第2条は、「運転」を定義するときに「特定自動運行を行う場合を除く」と書いています。特定自動運行とは、自動運行装置を使用条件の範囲で使って車を運行することで、レベル4の自動運転を指します。ただし、運行中の道路・交通・車の状況に応じて車の装置を操作する人がいる場合は、特定自動運行から除かれます。

走り方法律上の扱い二種免許
人がお客様を乗せて運転する(今のタクシー)運転必要(第86条)
人が乗って状況に応じて操作する自動運転(レベル2相当の試験など)特定自動運行に当たらない=運転お客様を運ぶ目的で運転するなら必要
レベル4(特定自動運行)で走っている間運転に当たらない不要(手引き第3版の記載)

レベル4では運転する人がいなくなる代わりに、遠隔監視などを行う特定自動運行主任者や、お客様の安全を確保する特定自動運行保安員が置かれます。これらの役割は遠隔監視オペレーターと特定自動運行主任者・保安員で解説しています。

国土交通省の手引き第3版の整理|運行の形ごとに誰が何をするか

手引き第3版は「レベル4自動運転移動サービスの実装方式」として、運行に関わる人の役割を運行の形ごとに整理しています(p.109)。原文の図を、記事用に表に書き直したものです。

役割レベル2レベル4 乗務員乗車型レベル4 遠隔監視型
運転者(走行状況を判断して車両を操作する人)二種免許の運転手が実施(右の役割をすべて担う)システムが実施(運転者不在)
特定自動運行主任者・特定自動運行保安員乗務員が乗車して各業務を実施遠隔監視センターの監視者が各業務を実施
現場措置業務実施者(現場で危険防止の措置を講じる人)特定自動運行主任者が担当走路近辺に配置された担当者が実施(上記人員が兼務可能)
サービス乗務員(料金収受などを対応する人)乗務員が乗車して各業務を実施各サービスを無人化・遠隔化

この表の下に「※特定自動(レベル4)運行中は二種免許は不要であるが、運行形態によっては二種免許を保有した者が乗車することもあることに留意。」という注記があります。また、主任者は道路交通法で、保安員は有償運行をする場合に配置が必須とされています。

なお、2024年6月の手引き第1版では、費用の項目に「遠隔監視員人件費 遠隔で自動運転車両の監視をスタッフが行う(2種免許不要)」「車内安全保安員人件費 車両内で乗客の安全管理をスタッフが行う(運転をしない場合は2種免許不要)」と書かれていました。

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二種免許を持つ人が乗る場面|レベル2の区間・回送・運行終了後の運転

手引きの注記にある「運行形態によっては」とは、どんな場合でしょうか。手引き第3版は、レベル4とレベル2の区間がどう混ざるかで効果が変わると説明しています(p.83、有償運行の場合)。

パターン走り方手引きの説明(原文)
A回送も旅客運送も全区間レベル4「全ての区間をレベル4にすることで、ドライバーの乗車が一切不要となり、運転手不足の緩和や事業性の向上につながる」
B回送はレベル2、旅客運送はレベル4「回送区間は、一種ドライバーでも運転できるため、二種ドライバーを一種に置き換えることにより、運転手不足が緩和」
C旅客運送の中にレベル2とレベル4が混在「乗務員の配置シフトを考慮すると、レベル4区間も二種免許の運転手を拘束するため、期待した効果が顕在化しにくい」

お客様を乗せたまま人が運転する区間があれば、その区間を運転する人には二種免許が必要です。そのため、パターンCのように乗務員がレベル4の区間でも乗り続ける運行では、二種免許を持つ乗務員が乗ることになります。

警察庁の記載要領(令和8年3月)も、特定自動運行主任者の要件の例として、自動運行が終わった後にその車を運転する予定がある場合は「当該特定自動運行用自動車の種類及び目的に応じた運転免許を保有していること」を挙げています。お客様を運ぶ車を運転する予定があれば、目的に応じた免許、つまり二種免許が関わってきます。

東京の自動運転タクシーの試験では

GO・Waymo・日本交通は2026年9月15日、「現在は日本交通の乗務員が同乗した自動走行試験が順調に進捗」と発表しました。Uberは、2026年後半に予定する東京での試験運行で「日の丸交通の乗務員が『セーフティドライバー』として同乗」すると発表しています(2026年8月13日)。どちらもタクシー会社の乗務員です。ただし、いまの東京の試験はセーフティドライバーが乗る段階で、手引きの注記が対象にしているレベル4(特定自動運行)の運行ではありません。また各社の発表は、同乗する乗務員に二種免許を求めるかどうかまでは書いていません。セーフティドライバーの仕事は自動運転のセーフティドライバーとはで解説しています。

自動運転の求人の免許条件|二種を必須にした公式求人はない

2026年10月17日に会社の公式採用ページで確認できた、自動運転の車に乗る・車を扱う仕事の免許条件を並べます。掲載順は順位ではありません。

会社・職種免許の条件(公式求人の記載)二種免許
Wayve「Vehicle Safety Operator」(東京・横浜)日本の運転免許を5年以上保有、過去3年間に有責の保険請求なし記載なし
Wayve「Fleet Operations Trainer」(東京)日本の運転免許、運転歴8年以上(主に日本)記載なし
Turing「自動運転開発ドライバー」(東京都大田区)普通自動車第一種運転免許(AT限定可/MT歓迎)、免許取得後5年以上必須・歓迎ともに記載なし
T2「オペレーションドライバー」(神奈川県海老名市)大型自動車免許、大型トラックの運行経験3年以上記載なし(貨物)
T2「大型トラック テストドライバー」(神奈川県海老名市)大型自動車第一種運転免許、大型トラックの運転経験5年以上記載なし(貨物)
newmo「Field Integration Engineer(実車運用)」(大阪市城東区)普通自動車運転免許記載なし

試験走行やデータ収集はお客様を乗せずに行うため、どの求人も一種免許(大型トラックは大型免許)を条件にしています。手引きの「レベル4運行中は二種不要」とも合う結果です。給与や勤務時間まで含めた求人の比較はテストドライバー・自動運転開発ドライバーの求人にまとめています。

これからタクシー運転手を目指す人にとっての二種免許

自動運転の計画が進んでも、今のタクシーでお客様を乗せて運転するには、道路交通法第86条により普通第二種免許が必要です。東京で計画されている自動運転タクシーも、GO・Waymo・日本交通の発表では「2027年中」に「段階的に100台規模」を目指すもので、開始時期は許認可の取得後に決まるとされています。

また、ここまで見たように、自動運転への移行の途中でも、お客様を乗せて人が運転する区間があれば二種免許を持つ運転手が担い、東京の試験ではタクシー会社の乗務員が同乗役を担っています。タクシーの仕事に就くために二種免許を取ることは、今の求人に応募するための条件であり、自動運転の試験に関わっているタクシー会社で乗務員として働く前提にもなっています。

二種免許の取り方と費用は二種免許の費用と取り方、受験できる年齢と経歴は二種免許の受験資格と年齢で解説しています。会社が取得費用を負担する制度はタクシー会社の二種免許養成制度にまとめ、制度のある求人は二種免許養成制度のある求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の法令・公表資料・公式発表・公式求人に基づいています(いずれも2026年10月17日閲覧)。

法律の解釈について

この記事は、法令の条文と国土交通省の手引きの記載を並べて整理したものです。個別の運行で必要な免許は、運行の形や許認可の内容によって決まります。実際の扱いは運行事業者や運輸局・警察にご確認ください。