タクシー会社の新卒・20代採用|結論

この記事の結論

タクシー会社の新卒採用は大手を中心に定着しており、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の隔年調査では新卒者の全国採用人数は1,481人(2025年3月末現在)です。
日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車交通・日の丸交通は、大学・短大・専門学校の卒業見込み者と卒業後3年以内の人を対象に、タクシー乗務から始まる新卒採用を公表しています。
入社時に求める普通免許の年数は「免許取得から1年以上」の会社と「3年以上」の会社に分かれ、免許歴3年未満の人は二種免許の受験資格特例教習(19歳以上・免許歴1年以上で受験可能)を使う前提になります(警察庁)。
20〜24歳のタクシー運転者の年間推計額は483万3,600円で、全産業の361万3,700円を約122万円上回ります(令和7年賃金構造基本統計調査)。

「新卒でタクシー会社に入る人はいるのか」「大学4年で免許を取った場合でも大丈夫か」「その後のキャリアはどうなるのか」。この記事では、全タク連の統計、警察庁の制度、各社の新卒採用ページという一次情報だけで答えます。

受験資格特例教習の時限数・費用・若年運転者期間の詳細は二種免許は19歳から取れる(受験資格特例教習)で、二種免許の費用を会社が負担する仕組みは二種免許の養成制度で解説しています。

新卒でタクシー会社に入る人|全国1,481人

全タク連の「TAXI TODAY in Japan 2026」は、「訪日外国人向けタクシーやケア輸送サービス等が広がりをみせる中、同世代に比べて収入や休日が多いなどのメリットもあって、新卒者の採用が多くなっています」とし、新卒者の全国採用人数を1,481人(2025年3月末現在、隔年調査)と示しています。

都道府県別の内訳が公表されている前回調査(2022年4月〜2023年3月の採用、卒業後3年以内の者)では、全国155事業者で1,068人の新卒者が採用され、東京が799人と大半を占め、愛知60人、神奈川49人、京都47人が続きました。新卒の採用は、大都市の大手が中心です。

日本交通は新卒採用ページで、2011年に新卒採用を始めたこと、新卒入社の乗務員だけで構成する葛西営業所の乗務員の平均年齢が24.6歳(2022年12月末現在)であることを紹介しています。

新卒採用の募集要項を比較|6社の公式ページ

各社の新卒採用ページに書かれた主な条件です(2026年10月閲覧)。応募対象はいずれも、大学院・大学・短大・専門学校の卒業見込み者と既卒(卒業後3年以内)です。

会社・職種入社時の免許の条件研修中・初任給配属後の保障勤務
日本交通(東京)総合職ペーパードライバー歓迎。二種免許費用は会社全額負担(要2年以上勤務)研修期間中は日給1万円+交通費乗車デビュー後3か月 隔日勤務で月給27万円。初年度平均月収37万円と記載隔日勤務(1乗務15時間30分)月12回。勤務地は東京・大阪
国際自動車 タクシードライバー職入社日時点で免許取得から1年経過研修中は固定給269,000円+交通費配属後最大5か月間 269,000円の月給補償昼日勤・夜日勤(月22日)か隔日勤(月11回)を選択
大和自動車交通 総合営業職入社時点で普通第一種免許取得後1年以上、かつ19歳以上初任給250,000円(基本給21万円+営業職育成手当4万円)。研修3〜6か月配属後6か月 月給32万円(最低給与補償)隔日勤務 7時45分〜翌1時(休憩3時間含む)月12回
帝都自動車交通 プロフェッショナルドライバー第一種免許を取得済み、または入社までに取得可能大学卒・修士了247,000円、短大卒・専門卒235,000円配属後6か月 月額340,000円(隔日勤務)または250,000円(日勤)隔日勤務(所定15時間30分)または日勤(所定7時間30分)
日の丸交通 ドライバー採用入社時点で普通第一種免許取得後3年以上(見込み含む)研修中 8:30〜16:30配属後1年間 月30万円の給与保障(条件あり)7:30〜2:30(休憩180分、シフト制)
MK(京都)トラベルコーディネーター入社前年の10月末までに普通免許を取得二種免許取得済みで入社 月給300,000円〜。未取得は大卒220,000円、専門・短大卒210,000円公表なしハイヤー車両での貸切送迎。月10日公休(年間118日)

日の丸交通は、免許取得後1年以上3年未満の人向けに「職員採用(運行管理者)」の枠を別に設けています(240,000円〜、6:00〜15:00、当直勤務あり)。MKのトラベルコーディネーターはタクシーではなくハイヤー車両での業務ですが、新卒からドライバーとして働く職種として並べました。

新卒の選考フロー|公式ページの記載

会社選考フロー(公表どおり)補足
国際自動車①エントリー ②会社説明会 ③一次選考(グループ) ④二次選考(個別) ⑤最終選考 ⑥内々定二次選考で履歴書を提出(自己PR・志望理由は未記入でよいと記載)。Web選考も可
大和自動車交通(総合営業職)①説明会 ②1次面接 ③2次面接(役員面接) ④内定①FAQでは書類選考 ②1次面談 ③2次(役員面接)と説明。2次選考は交通費支給(上限あり)
帝都自動車交通①WEB説明会 ②WEB一次面接 ③履歴書提出 ④役員面接(WEB/対面)エントリーシート選考なし。応募時の志望動機は不問
日の丸交通①エントリー ②会社説明会 ③1次選考(個人面接) ④最終選考(社長との1対1面接) ⑤内定書類選考なし。最終選考は本社で、遠方からの参加は交通費全額支給。職員採用は2次面接と適性検査あり
MK(京都)①説明会 ②1次選考(グループディスカッション) ③2次選考(個人面接) ④最終選考1次合格者は2次前にエントリーシートを提出(書類選考はなし)

中途採用を含めた面接の内容や持ち物はタクシー会社の面接で聞かれることにまとめています。

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免許の年数と二種免許|受験資格特例との関係

タクシーの乗務には普通第二種免許が必要です。二種免許の受験資格は原則21歳以上・普通免許等の経歴3年以上ですが、警察庁によると、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・普通免許等の経歴通算1年以上で受験できます。年齢を引き下げる課程は7時限以上、経験年数を引き下げる課程は29時限以上です。

入社時の状況(例)二種免許の受験資格必要な特例教習
大学卒22歳・普通免許を高校卒業前後に取得(経歴4年程度)原則どおり受験可能不要
大学卒22歳・大学3年で取得(経歴1年以上3年未満)経験年数の特例で受験可能経験年数の課程(29時限以上)
専門・短大卒20歳・経歴1年以上年齢と経験年数の特例で受験可能年齢の課程(7時限以上)と経験年数の課程
経歴1年未満受験資格なし経歴1年を満たすまで待つ

年齢の特例を使って21歳になる前に二種免許を取った場合、21歳までは「若年運転者期間」となり、違反点数の合計が3点以上になると(1回の違反で3点となった場合を除く)若年運転者講習(9時間)を受ける義務があり、受講しないと特例で取った免許が取り消されます(警察庁)。大学卒の22歳であれば年齢の特例は不要で、この期間の対象にもなりません。

会社側も免許の年数に合わせた制度を用意しています。日本交通は新卒FAQで、二種免許が取れるまでは専用乗り場の正社員ディスパッチャー(ドア開閉や配車依頼)、コールセンター、採用業務の手伝いなどを担当すると説明しています。日の丸交通は免許歴1〜3年未満の人を職員採用(運行管理者)の枠で受け入れています。

20代の年収|20〜24歳は全産業より約122万円高い

全タク連の「第2表」(年齢階級別給与比較、2026年10月6日付の訂正版【最新版】)によると、20代のタクシー運転者の年収は全産業より高くなっています。

年齢階級タクシー運転者 月間給与タクシー運転者 年間推計額全産業労働者 年間推計額差
20〜24歳399,600円4,833,600円3,613,700円+1,219,900円
25〜29歳395,100円4,828,700円4,482,000円+346,700円
30〜34歳421,700円5,179,200円5,072,800円+106,400円
35〜39歳391,300円4,918,700円5,567,100円-648,400円

全タク連は「主要産業との比較では、20代前半で年間推計額が400万円を超えているのはタクシー運転者のみ」としています。一方、全産業は年功で上がるため、35歳以降は全産業のほうが高くなります。歩合給のタクシーは、年齢ではなく売上で賃金が決まる仕組みです。

会社の公表値では、大和自動車交通が総合営業職の1年目の最低年収を342万円、2年目の平均年収を約580万円(2022年度入社の直近1年間の平均)、日の丸交通が新卒入社1年目の月収例を25万円、2年目を35万円としています。統計でも、経験年数0年の年間推計額は371万円、1〜4年は418万円で、1年目は低めに出ます。

新卒入社後のキャリア|乗務から管理職・総合職へ

新卒採用では、乗務員として始めたあとのキャリアを各社が公表しています。

  • 日本交通:ノーマル乗務員として1年乗務した後、社内試験でゴールド乗務員になり、EDS(エキスパート・ドライバー・サービス)、スリースター乗務員、ハイヤー乗務員へ進めるとFAQで説明。運行管理者や経営幹部への道もあり、「タクシー部門の役員・所長・副所長といった責任者は全員元ドライバー」と記載しています。
  • 帝都自動車交通:新卒限定のキャリアパス制度で、タクシードライバーを極める、ハイヤードライバーにステップアップする、総合職に転換する、の選択ができると説明しています。
  • 日の丸交通:入社2年目以降に不定期で開かれる社内公募でキャリアチェンジができ、2年目以降のキャリアチェンジ率はタクシードライバー継続希望者も含めて80%以上(2024年2月時点)としています。必ず異動できるわけではないとも明記しています。
  • 国際自動車:観光タクシーやバイリンガルタクシー、運行管理職のほか、社内インターンシップ制度「ジョブトレーニング」をきっかけに総合職へジョブチェンジできると説明しています。
  • 大和自動車交通:総合営業職はタクシー乗務員から始め、適性と希望に応じてタクシー子会社の管理職や本社職員などのキャリアを築くとしています。

営業所の運行管理を担う国家資格については運行管理者(旅客)の資格で解説しています。

新卒・20代が確認したいこと

  1. 免許の年数:入社時点で何年必要か。足りない場合の特例教習の費用と、それまでの業務。
  2. 二種免許費用の条件:日本交通は「要2年以上勤務」と明記。返還の条件を確認する。
  3. 研修中と配属後の給与:固定給の期間と、保障が終わった後の給与の仕組み。
  4. キャリアの選択肢:総合職への転換や社内公募の時期と条件。
  5. 住まいと支援:寮・社宅、奨学金返還支援(大和自動車交通、MK)の有無。寮の条件はタクシー会社の寮・社宅で比較しています。

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出典・一次情報

本記事の制度と数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。

募集年度について

新卒採用の条件は募集年度ごとに変わります。上の表は閲覧日時点で各社のページに掲載されていた内容で、2027年卒向けと明記されているもの(大和自動車交通・MK)を含みます。応募する年度の最新の募集要項を確認してください。