東京のタクシー運転手の年収|結論

この記事の結論

東京都のタクシー運転者の年間推計額は570万3,500円で、都内のバス・トラックの運転者より高い水準です(令和7年賃金構造基本統計調査から本記事が計算)。同じ統計の都内のバス運転者は446万3,100円、営業用大型トラックは521万6,700円、営業用中小型トラックは445万1,700円です。
実労働1時間あたりでは約2,400円で、都内の運転の仕事で最も高い水準です。一方で年間賞与は9万7,100円と少なく、年収のほぼすべてを毎月の給与で受け取る形です。
年収は令和5年585万9,800円、令和6年502万2,500円、令和7年570万3,500円と年によって大きく動いており、標本の入れ替わりの影響もあるため単年の数字だけで判断しないことが大切です。
売上の側では、特別区・武三地区の実働1日1車あたり運送収入が令和7年度6万2,731円(東京ハイヤー・タクシー協会調、税込)で、令和4年度の5万5,692円から増えています。2026年4月20日には改定率10.14%の運賃改定が実施されました。

「東京のタクシー運転手は稼げるのか」を知るには、年収の平均だけでなく、同じ東京で働く他の運転の仕事との比較、年ごとのぶれ、そして給与のもとになる売上(運送収入)の動きを合わせて見る必要があります。

この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和5〜7年)、東京ハイヤー・タクシー協会(東タク協)「TAXICABS IN TOKYO 2026」、関東運輸局の運賃改定の公示、国土交通省の公表資料という一次情報だけで、東京のタクシー運転者の収入を整理します。都道府県別47表の比較や、主要都市の車両数・試験制度の違いは都市別のタクシーの働き方で扱っているので、ここでは東京の中身に絞ります。

都内の運転の仕事と比べる|タクシーが年収・時間あたりとも最も高い

令和7年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(都道府県別第3表)の東京都の欄から、自動車運転の職種を並べました。年間推計額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」、1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間の12倍で割った本記事の計算値です。

職種(東京都)平均年齢勤続年数月間実労働時間きまって支給する現金給与額(月)年間賞与年間推計額1時間あたり
タクシー運転者53.6歳7.1年198時間467,200円97,100円5,703,500円約2,400円
バス運転者58.1歳10.4年216時間343,900円336,300円4,463,100円約1,722円
営業用大型貨物自動車運転者53.7歳19.3年202時間407,500円326,700円5,216,700円約2,152円
営業用貨物自動車運転者(大型車を除く)51.9歳11.7年201時間351,600円232,500円4,451,700円約1,846円
(参考)乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く)59.0歳8.4年194時間309,300円362,200円4,073,800円約1,750円

東京では、タクシーの年間推計額が大型トラックより48万6,800円、バスより124万400円高い結果です。全国で見るとタクシー・バス・中小型トラックの年収はほぼ横並びで大型トラックが最も高いのに対し(タクシー・バス・トラックの年収比較)、東京ではタクシーが最も高くなります。月間実労働時間もバスやトラックより短いため、1時間あたりの差はさらに広がります。

全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の集計では、この570万3,500円は47都道府県で1位、東京都の全産業労働者(677万9,800円)との差は107万6,300円です。

給与の中身|所定内40.2万円、超過分6.5万円、賞与は年収の約1.7%

同じ表で、東京都のタクシー運転者の所定内給与額は40万1,800円、時間外・深夜手当などの超過労働給与額(きまって支給する額との差)は6万5,400円です。年間賞与9万7,100円は年収の約1.7%にすぎず、全国のタクシー運転者(約4.4%)よりもさらに毎月の給与に重心があります。歩合給が中心の賃金で、売上がそのまま月々の給与に反映される形だと読めます。歩合給の計算方法はタクシーの歩合給の計算と足切りで解説しています。

3年間の推移|585万円、502万円、570万円と年ごとに動く

令和5年・6年・7年の同じ表から、東京都のタクシー運転者の数字を並べます。推計労働者数は表の「労働者数(十人単位)」を10倍した値です。

調査年年間推計額きまって支給する現金給与額(月)年間賞与平均年齢勤続年数月間実労働時間推計労働者数
令和5年5,859,800円480,100円98,600円54.2歳10.9年203時間約4万6,530人
令和6年5,022,500円403,000円186,500円57.3歳8.8年208時間約4万5,650人
令和7年5,703,500円467,200円97,100円53.6歳7.1年198時間約4万6,160人

令和6年に一度下がり、令和7年に68万1,000円戻っています。平均年齢や勤続年数も年ごとに数年単位で動いており、この統計が毎年6月分の給与を標本で調べるものであることを考えると、1年ごとの増減には調査対象の入れ替わりの影響が含まれていると見るのが自然です。3年を通して見ると、東京のタクシー運転者の年収はおおむね500万〜590万円の範囲にあります。

なお、全タク連の資料の第4表にある「対前年増減」の列は、年収そのものの増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減です(東京は格差が令和6年の142万1,300円から107万6,300円に縮小し、-34万5,000円)。年収の前年比を見るときは、上の表のように各年の統計を直接比べてください。

売上の側から見る|特別区・武三地区の1日1車あたり運送収入

タクシー運転者の給与の多くは歩合給なので、会社の売上(運送収入)の動きが収入の土台になります。東タク協が「TAXICABS IN TOKYO 2026」に掲載している特別区・武三地区(東京23区・武蔵野市・三鷹市)の法人タクシーの輸送実績から、実働1日1車あたりの数字を抜き出しました。

年度実働1日1車あたり運送収入(税込)実働1日1車あたり輸送回数実車率
令和元年度51,284円27.2回46.7%
令和2年度38,011円21.2回39.0%
令和3年度42,516円23.2回42.0%
令和4年度55,692円26.9回47.1%
令和5年度61,686円26.2回47.9%
令和6年度61,754円25.3回47.5%
令和7年度62,731円25.3回47.8%

(東タク協調。実働1日1車あたり運送収入=運送収入÷延実働車両数。1台の車を複数の乗務員が交代で使うため、乗務員1人の1乗務の売上とは一致しません)

令和7年度の6万2,731円は令和元年度より約22%多く、輸送回数は25.3回と令和元年度(27.2回)より少ないのが特徴です。1回あたりの単価が上がったことで、少ない回数でも売上が伸びている形です。令和7年度の月別では12月の6万7,652円が最も高く、5月の6万816円が最も低くなっています。多摩地区は令和7年度4万8,941円で、同じ東京都でも特別区・武三地区との差は約1万4,000円あります。

国土交通省が公表した準特定地域の速報値でも、特別区・武三交通圏の日車営収は令和5年度6万1,443円で、平成13年度の5万1,326円を上回っています。

2026年4月の運賃改定|初乗り1.0km 500円、改定率10.14%

関東運輸局は2026年3月19日、特別区・武三地区の新しい運賃を公示し、4月20日に実施されました。普通車の上限運賃の変更点は次のとおりです。

項目(普通車・上限運賃)改定前改定後(2026年4月20日〜)
初乗り1.096km 500円1.0km 500円
加算運賃255mごとに100円232mごとに100円
時間距離併用制(時速10km以下)95秒ごとに100円85秒ごとに100円
改定率(所要増収率)10.14%(前回は2022年11月14日実施の14.24%)

関東運輸局は改定の目的を「物価高騰に対応するとともに、タクシー運転者の労働環境の改善・人材確保を図ること」と説明しています。公示に添付された算定根拠では、原価計算の対象30社の令和6年度実績で、運送原価に占める運転者人件費の割合が69.1%でした。タクシー会社の費用の大半が運転者の人件費であり、運賃の水準が賃金の原資に直結する構造です。

運賃が上がった分がどのように乗務員の給与に回るかは、会社ごとの賃金規定(歩合率など)で決まり、統計で効果が確認できるのは改定後の調査を待つ必要があります。運賃改定と収入の関係はタクシーの運賃改定と収入で詳しく整理しています。

東京の乗務員数と平均年齢|5.9万人、平均55.5歳

東タク協の同じ資料に掲載された東京タクシーセンター等の調べでは、東京のタクシー乗務員数(運転者証の交付数)は令和4年度の5万3,656人を底に増え、令和7年度は5万9,369人でした。女性乗務員は2,191人で、平成28年度の1,239人から約1,000人増えています。法人タクシー乗務員の平均年齢は平成28年度の58.6歳から下がり、令和7年度は55.5歳です。

東タク協は「積極的な新卒ドライバー採用などによる新規労働力の確保」に取り組んだ結果として平均年齢が下がっていると説明しています。賃金構造基本統計調査でも東京都のタクシー運転者の勤続年数は7.1年と短く、新しく入った人の割合が高いことがうかがえます。未経験から入る人向けの制度は未経験からタクシードライバーになるにはにまとめています。

東京でタクシーの求人を比べるときの確認項目

統計の平均は会社や営業所、勤務形態による差をならした数字です。東京で求人を比べるときは、次の点を募集要項と面接で確認してください。

  1. 営業区域:特別区・武三地区と多摩地区では、1日1車あたりの運送収入に約1万4,000円の差があります(令和7年度、東タク協調)。
  2. 歩合率と賃金規定:運賃改定の後に賃金規定がどう変わったか。
  3. 給与保証の額と期間:大手各社の保証はタクシーの給与保証の仕組みで比較しています。
  4. 勤務形態:隔日勤務か日勤か。月の乗務回数と拘束時間はタクシーの隔日勤務とはを参照してください。
  5. 賞与の有無:東京都のタクシー運転者の賞与は統計上年9万7,100円で、賞与よりも月々の給与で比べるのが実態に合います。

東京の大手5社の採用条件は大手タクシー会社の採用条件の比較に並べています。都内の求人は東京都のタクシー求人、会社別には日本交通・国際自動車・大和自動車交通・帝都自動車交通・日の丸交通のページから探せます。

出典・一次情報

本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・1時間あたり・差額・増減率は、公表値から本記事が計算したものです。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)
  • 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の【最新版】) taxi-japan.or.jp(PDF)
  • 一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会「TAXICABS IN TOKYO 2026」(年度別特別区・武三地区タクシー輸送実績、年度別多摩地区タクシー輸送実績、乗務員数・平均年齢、運賃改定の記録) taxi-tokyo.or.jp(PDF)
  • 関東運輸局プレスリリース「令和8年4月20日より東京都特別区・武三地区のタクシー運賃が変わります。」(2026年3月19日、別添 所要増収率の算定根拠) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
  • 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月31日) mlit.go.jp

数字の範囲について

賃金構造基本統計調査の東京都の数字には特別区・武三地区と多摩地区の両方が含まれ、企業規模10人以上の企業で働く一般労働者が対象です(個人タクシーは含みません)。額は税・社会保険料を引く前の額面です。東タク協の輸送実績は協会の調べによる法人タクシーの数字で、運送収入は消費税込みです。