自動運転のセーフティドライバーとは|結論

この記事の結論

セーフティドライバーは、公道で試験走行する自動運転車に乗り、システムを監視して必要なときに運転を代わる人です。
東京のロボタクシー計画では、この役をタクシー会社の乗務員が担っています。GO・Waymo・日本交通は「日本交通の乗務員が同乗した自動走行試験」を進めていると発表し(2026年9月15日)、Uberは2026年後半に予定する試験運行で「日の丸交通の乗務員が『セーフティドライバー』として同乗」すると発表しました(2026年8月13日)。
会社が公式採用ページで募集している例もあります。Wayve の Vehicle Safety Operator(東京・横浜)は、日本の運転免許を5年以上持っていることなどが条件で、二種免許は条件に入っていません。給与は公表されていません。

自動運転タクシーのニュースで「セーフティドライバーが同乗」という言葉をよく見かけるようになりました。運転席に座っているのに運転していない、という不思議な仕事に見えるかもしれません。

この記事では、自動運転の会社とタクシー会社の公式発表、会社の公式採用ページ、道路交通法(e-Gov法令検索)と国土交通省の手引きという一次情報だけを使い、セーフティドライバーの仕事内容、求められる免許、実際に出ている求人の条件を整理します(2026年10月17日時点)。自動運転でタクシーの仕事がどうなるかという全体の話はタクシーの自動運転で仕事はなくなる?にまとめています。

セーフティドライバーの仕事内容|公式の求人と発表に書かれていること

「セーフティドライバー」という職名は、道路交通法や旅客自動車運送事業運輸規則に出てくる言葉ではありません。各社が試験走行で車に乗る人を呼ぶ名前です。仕事の中身は、会社の公式求人に具体的に書かれています。

Wayve(英国の自動運転AIの会社。日産・Uberと東京での試験運行を計画)の Vehicle Safety Operator の求人(2026年10月5日掲載)では、仕事内容が次のように書かれています(英文を編集部で訳しました)。

  • 日本各地での自動運転車の公道試験の運用を支える
  • 公道試験中に自動運転システムを安全に監視し、必要なときはいつでも介入する
  • AIの運転を良くするため、エンジニアや研究チームに整理した形でフィードバックする
  • AIの学習と改善に使うデータの収集・検証を支える
  • 車両・試験・安全に関わる問題を正確に報告する

まとめると、仕事は「監視する」「危ないときは運転を代わる」「気づいたことを言葉にして開発者に返す」の3つです。運転がうまいだけでなく、車の動きの違和感を具体的に説明できることが求められます。

試験の段階で仕事は変わる|手動運転から同乗、そして無人へ

日本交通の発表を時系列で並べると、乗務員の役割が段階ごとに変わってきたことがわかります。

発表日乗務員の役割(発表の原文から)
2024年12月17日「初期フェーズにおいては、日本交通の乗務員がWaymoの車両を運転し、Waymoの自動運転技術を東京の公道に導入するためのテストを行います」
2025年4月14日「トレーニングを受けた日本交通の乗務員は、東京都心の港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の7区において、Waymo車両の手動運転を開始します」。若林社長は「日本交通の乗務員は米国でもトレーニングを実施」と説明
2026年9月15日「現在は日本交通の乗務員が同乗した自動走行試験が順調に進捗しています」。2027年中に完全無人の商用運行を目指し、日本交通は「現場における運行管理や営業所運営」を担う

最初は人が運転してデータを集め、次に自動走行に同乗して見守り、無人運行の段階では運行管理や営業所の仕事に移る、という流れです。無人運行のときに人が担う制度上の役割は遠隔監視オペレーターと特定自動運行主任者・保安員で解説しています。

東京・横浜でセーフティドライバーを担っているのは誰か

2026年10月17日時点で、東京・横浜の自動運転タクシーの取り組みについて、各社が公式に発表している「誰が乗るか」を並べます。

取り組み車に乗る人(発表どおり)段階・時期
GO・Waymo・日本交通(東京)日本交通の乗務員同乗した自動走行試験を実施中。2027年中に完全無人の商用運行を目指す(開始時期は許認可の取得後に決定)
Uber・Wayve・日産(東京)日の丸交通の乗務員が「セーフティドライバー」として同乗2026年後半に試験運行を予定。日の丸交通は運行主体として運行管理・デポでのオペレーション・メンテナンス・点検・清掃・充電などを担当
日産ほか(横浜)セーフティドライバーが同乗(自動運転SAEレベル2相当)2026年10月1日〜12月18日に2期に分けて行う実証。第2期(11月4日〜)に国際自動車が交通事業者の視点で運行・運用体制の構築を支援

Uberの発表は「日本の法令において、ロボタクシーの運行は旅客運送サービスの認可を受けたタクシー事業者が行う必要があります」と説明しています。運行の主体がタクシー会社である以上、東京の道を知り、お客様を乗せて走ってきた乗務員がセーフティドライバーを務めるのは自然な形といえます。Uberも日の丸交通の乗務員について「東京の交通事情を熟知した」と書いています。

各社の会社情報は日本交通、日の丸交通、国際自動車のページにまとめています。

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実際の求人|会社の公式採用ページに出ている条件

自動運転の車に乗って監視・介入やデータ収集を行う仕事は、自動運転の開発会社の公式採用ページにも出ています。2026年10月17日に掲載を確認できたもののうち、セーフティドライバーに近い仕事を並べます。掲載順は順位ではありません。

会社・職種主な仕事免許・経験の条件給与勤務地・勤務
Wayve「Vehicle Safety Operator」公道試験で自動運転システムを監視し必要なら介入、エンジニアへのフィードバック、データ収集日本の運転免許を5年以上保有、過去3年間に有責の保険請求がないこと公表なし横浜または東京の拠点。週40時間、06:30〜15:30または14:30〜23:30、週末勤務あり
Turing「自動運転開発ドライバー」一般道・高速道路での走行データ収集、自動運転AIのテスト走行・評価走行、記録・報告普通自動車第一種(AT限定可)、免許取得後5年以上、過去3年間無事故・無違反時給2,500円〜4,500円東京都大田区(平和島)。契約社員、平日週5日、朝番05:00〜14:00か遅番14:00〜23:00
T2「オペレーションドライバー(大型トラック自動運転システム)」レベル4自動運転大型トラックの公道実証で、自動運転での走行試験と手動運転でのデータ収集、幹線の長距離輸送大型自動車免許、大型トラックの運行経験3年以上月収35.4万円〜53.3万円(固定残業50時間分を含む)神奈川県海老名市。正社員またはアソシエイト社員

Wayveの選考では、運転免許・運転記録・累積点数の証明書の確認と、横浜の教習所での2時間の運転試験があると書かれています。採用は研修の修了、事前の確認、継続的な薬物・アルコール検査に合格することが条件です。

テストドライバーやデータ収集の求人を、勤務時間・給与の書き方まで含めて詳しく比べたものはテストドライバー・自動運転開発ドライバーの求人にまとめています。

必要な免許|公式求人に二種免許を必須にしたものはない

上の表のとおり、確認できた公式求人で二種免許を必須にしているものはありませんでした。乗用車の試験は普通免許(一種)、大型トラックは大型免許が条件です。

道路交通法第86条は、二種免許が必要な人を「旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者」と定めています。条文が対象にしているのはお客様を運ぶための運転で、お客様を乗せない試験走行やデータ収集の求人も、二種免許を条件にしていません。

一方、国土交通省の「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月)は、レベル4で走っている間は二種免許は不要としつつ、「運行形態によっては二種免許を保有した者が乗車することもある」と注意書きをしています。いまの東京の試験はセーフティドライバーが乗る段階で、レベル4(特定自動運行)での運行ではありません。同乗役をタクシー会社の乗務員が担っていることは各社が発表していますが、同乗する人に二種免許を求めるかどうかまでは、発表には書かれていません。詳しくは自動運転タクシーに二種免許はいるのかで解説しています。

タクシー乗務員の経験とのつながり

セーフティドライバーとタクシー乗務員の仕事には、公式の資料から確認できる共通点があります。

  • 東京の同乗役はタクシー会社の乗務員:日本交通・日の丸交通の発表のとおりです。日本交通の若林社長は2026年9月15日の発表で「この1年間、専門の訓練を積んだ当社の乗務員たち」が「Waymo Driver」を東京の道路環境に適応させるために尽力してきたと述べています。
  • 求人でも経験として挙げられている:Turingの求人は「活かせる経験」に「タクシー/ハイヤー/送迎ドライバー経験者」を、歓迎スキルに「ハイヤー、タクシー、送迎ドライバー等、プロドライバーとしての実務経験」を挙げています。
  • 無事故・無違反が重視される:Wayveは過去3年間の有責の保険請求なし、Turingは過去3年間の無事故・無違反を条件にしています。日々の安全運転の記録がそのまま応募条件になります。

ただし、自動運転の試験はまだ限られた地域・台数で行われている段階で、各社の計画の時期も「目標」です。今のところ、タクシー乗務員として働くことが、東京でセーフティドライバーの役に関われる道の一つになっている、というのが公表資料から言えることです。

タクシー乗務員の始め方は未経験からタクシー運転手になるには、二種免許の取り方は二種免許の費用と取り方で解説しています。求人はタクシードライバー求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の記述は、次の公表資料・公式発表・公式求人に基づいています(いずれも2026年10月17日閲覧)。

  • GO・Waymo・日本交通「2025年より東京における自動運転技術のテストに向けて協業」(2024年12月17日) 日本交通 ニュースリリース
  • GO・Waymo・日本交通「今週より東京都心7区でWaymo車両の走行を開始」(2025年4月14日) 日本交通 ニュースリリース
  • GO・Waymo・日本交通「自動運転タクシー商用化の実現に向けて合意」(2026年9月15日) 日本交通 ニュースリリース
  • Wayve・Uber・日産「ロボタクシーの開発・展開に関する覚書」(2026年3月12日) 日産ニュースルーム
  • Uber「ロボタクシー試験運行の運行パートナーとして、日の丸交通と合意」(2026年8月13日) Uber ニュースルーム
  • 日産自動車「2026年度の横浜市における自動運転モビリティサービス実証実験の詳細を発表」(2026年9月14日) 日産ニュースルーム
  • Wayve「Vehicle Safety Operator」(東京・横浜、2026年10月5日掲載) Wayve 採用ページ
  • Turing「【契約社員/フルタイム勤務】自動運転開発ドライバー」 Turing 採用ページ
  • T2「オペレーションドライバー(大型トラック自動運転システム)」 T2 採用ページ
  • 道路交通法 第2条・第86条(e-Gov法令検索) laws.e-gov.go.jp
  • 国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月) mlit.go.jp(PDF)

求人と計画の変更について

求人の条件は閲覧日時点で各社の公式採用ページに掲載されていた内容です。募集は予告なく終わったり条件が変わったりします。応募前に必ず各社の採用ページで最新の内容を確認してください。