自動運転とタクシー運転手の仕事についての発言|結論
この記事の結論
タクシー運転手の仕事が自動運転でどれだけ変わるかを数字で示した政府答弁や国の予測は、国会会議録と国土交通省の資料を調べた範囲では見つかりませんでした。
国土交通省の資料は「運転手の労働力供給の転移・仕事内容の変化」「福祉や介護などの場面での有人運送は高付加価値化」「1:Nの運行管理による人件費の削減」と書いています。
国会では、国土交通省の局長が自動運転は「ドライバー不足の解消ですとか地域の足の確保にも有効」と答弁し、国土交通大臣は「一人で複数車両を監視するなど先進的な取組への重点的な支援」を所信で述べています。
タクシー会社の社長は「有人のタクシーとの共存」「将来的な乗務員不足を補完」(日本交通)、「有人タクシーとロボタクシーがそれぞれの強みを発揮できる運行体制」(日の丸交通)と発言しています。
この記事は、国会会議録、国土交通省の資料、業界団体の資料、各社の公式発表から、自動運転とタクシー運転手の仕事に関わる発言を原文のまま短く引用して並べるものです。発言の評価や今後の予測は書きません。各発言の出典は表と最後の出典欄にリンクしています。
制度や計画の全体像はタクシーの自動運転で仕事はなくなる?、タクシー会社に残る仕事の整理は自動運転が広がってもタクシー会社に残る仕事にあります。
国会での発言|国土交通大臣・局長・経産省審議官
国立国会図書館の国会会議録検索システムから、2025年以降の政府側の発言を引用します。
| 日付・会議 | 発言者 | 発言(原文の抜粋) |
|---|---|---|
| 2025年6月12日 参議院 国土交通委員会 | 鶴田浩久 国土交通省物流・自動車局長 | 「自動運転は、交通事故の削減に加えまして、御指摘のとおり、ドライバー不足の解消ですとか地域の足の確保にも有効であると認識しています。」 |
| 同上 | 同上 | 「輸送力の高い自動運転大型バスですとかサービスを面的に展開できる自動運転タクシーなどの活用をする、また、一人が複数車両を遠隔監視する運行形態への移行と、こういったものを重点化するということでございます。」 |
| 2025年11月20日 参議院 国土交通委員会 | 石原大 国土交通省物流・自動車局長 | 「このウェイモ、東京でもサービスの開始に向けて、今年の四月より実証走行を開始しているところでございます。」 |
| 2026年3月6日 衆議院 国土交通委員会(所信) | 金子恭之 国土交通大臣 | 「特に、自動運転については、私を本部長とする国土交通省自動運転社会実現本部を立ち上げ、AI技術を活用した高度な自動運転車の開発、普及の後押し、一人で複数車両を監視するなど先進的な取組への重点的な支援、事故原因究明体制の構築に向けた検討などの取組を強力に推進してまいります。」 |
| 同上 | 同上 | 「バス、タクシーやトラック、鉄道の担い手確保や経営力強化に向け、早期の賃上げや人材確保、養成の取組、経営効率化に向けた投資への支援を推進するとともに、特定技能外国人の適正な受入れ等を進めてまいります。」 |
| 2026年5月13日 衆議院 経済産業委員会 | 田中一成 経済産業省大臣官房審議官 | 「ドライバー不足といった社会課題を解決するために、自動運転移動サービスを実装していく上では、事業採算性の確保が重要な課題であると認識しております。」 |
| 同上 | 同上 | 「一人の監視者が複数台の車両を遠隔監視する、いわゆる一対nの遠隔監視モデル、この実現に向けた取組がランニングコストを抑える意味でも大変重要と考えております。」 |
金子大臣は2026年3月19日の参議院国土交通委員会でも、自動運転と担い手確保について同じ内容の所信を述べています。「一人で複数車両を監視する」遠隔監視の仕事が法令でどう決められているかは遠隔監視オペレーターと特定自動運行主任者・保安員で解説しています。
会議録の調べ方と、見つからなかったもの
国会会議録検索システムの検索API(2025年1月1日以降の発言)で「自動運転 タクシー 雇用」「自動運転 タクシー 乗務員」「ロボタクシー」「自動運転タクシー」「自動運転 運転手 仕事」を検索し、政府側(大臣・局長・審議官など)の発言を読みました。タクシー運転手の雇用や仕事の量の見通しを数字で述べた政府答弁は見つかりませんでした。
国土交通省の資料|「仕事内容の変化」と「有人運送の高付加価値化」
2026年6月8日の第3回 国土交通省自動運転社会実現本部の「資料1」と「参考資料」から、運転手の仕事に関わる記述を引用します。
| 資料 | 記述(原文) |
|---|---|
| 参考資料(想定される主な社会変容) | 「運転手の労働力供給の転移・仕事内容の変化、他の交通機関との分担の変化」 |
| 参考資料(自動車・交通産業の構造転換) | 「遠隔監視や配車管理業などの新しい自動運転関連産業の創出」 |
| 同上 | 「自動運転事業に対応した既存の運行管理者等の業務内容の変容(遠隔監視、配車管理業など)」 |
| 同上 | 「自動運転車両の普及が進む中でも、福祉や介護などの場面での有人運送は高付加価値化」 |
| 参考資料(快適で移動しやすい地域の実現) | 「バス、タクシー、公共ライドシェアへの自動運転化により、運転者不足の解消と十分な輸送力の供給が可能となり」 |
| 同上 | 「1:Nの運行管理による人件費の削減や運賃の低廉化等により、公共交通事業の収益構造が大幅に改善。」 |
| 資料1(今後の主な課題・方向性) | 「公共交通事業者と自動車メーカー等の役割分担(バス・タクシー事業者が主体となった自動運転旅客サービスのあり方など)」 |
同じく国土交通省の「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月)には、「特定自動(レベル4)運行中は二種免許は不要であるが、運行形態によっては二種免許を保有した者が乗車することもあることに留意。」と書かれています。この記述の背景と法律の仕組みは自動運転タクシーに二種免許はいるのかで整理しています。
タクシー運転手の求人をチェック
求人一覧を見る業界団体の発言|全国ハイヤー・タクシー連合会
全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の「TAXI TODAY in Japan 2026」から引用します。
| 出典 | 記述(原文) |
|---|---|
| タクシー事業の進化に関する決議(令和7年10月30日 第62回全国ハイヤー・タクシー事業者大会) | 「移動の未来を託すべき自動運転タクシーへの主体的な関与」 |
| 自動運転タクシーの社会実装に向けて(14ページ) | 「タクシー業界においても、現在のタクシー事業と同等か、それ以上の安全性がタクシー事業者の責任において確保されることを基本として、自動運転タクシーの社会実装に向けて取り組みを進めます。」 |
タクシー会社・関係各社の社長の発言
各社の公式発表(ニュースリリース)に載っている社長などのコメントです。
| 発表日 | 発言者 | 発言(原文の抜粋) |
|---|---|---|
| 2024年12月17日 | 日本交通 代表取締役社長 若林泰治 | 「自動運転技術の進展が日本におけるタクシー産業を発展させ、より安全で質の高い「移動インフラ」の実現につながると期待しています。」 |
| 2025年4月14日 | 日本交通 代表取締役社長 若林泰治 | 「自動運転タクシーが、将来の乗務員不足を補完する存在になることを期待しています。今般の取り組みを、人と先進技術との理想的な共存関係を作り上げていく第一歩にしたいと考えております。」 |
| 2025年4月14日 | 日本交通 取締役/GO 代表取締役会長 川鍋一朗 | 「日本の未来、少子高齢化、労働者不足の日本の移動の足の確保のためになる」(米国でWaymo車両に乗ったときに感じたこととして) |
| 2025年4月14日 | GO 代表取締役社長 中島宏 | 「労働人口の低下という社会課題がある中で、自動運転は東京をはじめの一歩としながらもさらに広く展開されていくべきものです。」 |
| 2026年9月15日 | 日本交通 代表取締役社長 若林泰治 | 「この1年間、専門の訓練を積んだ当社の乗務員たちは「Waymo Driver」が東京の道路環境に適応できるよう、全力を挙げて尽力してきました。」 |
| 同上 | 同上 | 「本取り組みは有人のタクシーとの共存のもと、将来的な乗務員不足を補完し、より安全で質の高い移動インフラを次世代へと引き継ぐための極めて重要な挑戦であると確信しております。」 |
| 2026年9月15日 | GO 代表取締役社長 中島宏 | 「タクシーアプリ『GO』一つで、従来のタクシーとWaymoの自動運転タクシーの両方を利用可能になります。」 |
| 2026年8月13日 | 日の丸交通 代表取締役社長 富田和孝 | 「有人タクシーとロボタクシーがそれぞれの強みを発揮できる運行体制の構築を目指します。深刻なドライバー不足という社会課題に対応しながら、人とテクノロジーが互いの強みを活かし合う…」 |
| 2026年1月8日 | 電脳交通 代表取締役社長CEO 近藤洋祐 | 「自動運転タクシーと有人タクシーの共存を目指し、新たなテクノロジーは地域の移動を支える手段として相互に補完し合う存在だと捉え」 |
若林社長が触れている乗務員の訓練と同乗の仕事は自動運転のセーフティドライバーとはで解説しています。日本交通・日の丸交通の募集条件は日本交通、日の丸交通の会社ページにまとめています。
発表文そのものに書かれていること
社長のコメントとは別に、発表文の本文にも運転手や運行の担い手に関わる記述があります。
| 発表日・発表者 | 記述(原文) |
|---|---|
| 2026年9月15日 GO・Waymo・日本交通 | 「本協業を通じた新たな移動インフラの実現が、移動課題の解決に貢献すると共に、人口減少や労働力不足といった日本が抱える構造的な社会課題の解決につながるものと確信しております。」 |
| 2026年8月13日 Uber | 「日本の法令において、ロボタクシーの運行は旅客運送サービスの認可を受けたタクシー事業者が行う必要があります。」 |
| 2026年5月29日 newmo | 「タクシー乗務員の担い手不足は、地方だけでなく都市部でも深刻な課題となっています。」 |
| 2023年10月19日 クルーズ・GM・ホンダ | 「3社は自動運転タクシーサービスによる新しい価値を提供するとともに、タクシーやバスの乗務員不足など社会課題の解決にも貢献していきたいと考えています。」 |
2023年10月19日のクルーズ・GM・ホンダの発表は「2026年初頭」の東京でのサービス開始予定を示したものですが、2026年10月17日時点でサービス開始の発表は確認できませんでした。各社の計画の時期と現状は東京・大阪のロボタクシー計画まとめで表にしています。
自治体の資料|堺市
デジタル庁の第14回モビリティワーキンググループの事務局資料(先行的事業化地域の選定案)には、各地域の説明ページがあります。タクシー型の自動運転を計画する堺市のページの記述です。
- 「人口減少・高齢化の進展により、地域公共交通として市民の移動を支えるバス・タクシーの重要性が増す一方、運転手不足を要因として市民ニーズに応じた移動サービス維持が困難になりつつあります。」
- 「タクシーは地域公共交通の一翼を担うものであり、自動運転タクシーの活用により、市民の移動サービスの維持・確保をめざします。」
レベル4の自動運転がどこで走っているかはレベル4の自動運転はどこで走っている?にまとめています。
タクシー乗務員の仕事を探している人へ
いまの募集条件で会社を比べたい人は、タクシードライバー求人、未経験からなら未経験歓迎の求人から探せます。運行を管理する側の仕事は運行管理者の求人と運行管理者(旅客)の資格で解説しています。自動運転の開発会社が公式に出しているテストドライバーなどの求人はテストドライバー・自動運転開発ドライバーの求人にまとめています。
出典・一次情報
本記事の引用は、次の会議録・公表資料・公式発表に基づいています(いずれも2026年10月17日閲覧)。
- 国会会議録検索システム:第217回国会 参議院 国土交通委員会(2025年6月12日)鶴田浩久 政府参考人 kokkai.ndl.go.jp/第219回国会 参議院 国土交通委員会(2025年11月20日)石原大 政府参考人 kokkai.ndl.go.jp/第221回国会 衆議院 国土交通委員会(2026年3月6日)金子恭之 国土交通大臣 kokkai.ndl.go.jp/同 参議院 国土交通委員会(2026年3月19日) kokkai.ndl.go.jp/同 衆議院 経済産業委員会(2026年5月13日)田中一成 政府参考人 kokkai.ndl.go.jp
- 国土交通省「資料1 自動運転の普及に伴う社会変容と今後の課題・方向性について」(令和8年6月8日) mlit.go.jp(PDF)/「参考資料 自動運転の普及に伴う社会変容への対応について」 mlit.go.jp(PDF)
- 国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第3版(2026年9月) mlit.go.jp(PDF)
- 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2026」 taxi-japan.or.jp(PDF)
- GO・Waymo・日本交通 ニュースリリース(2024年12月17日 日本交通/2025年4月14日 日本交通/2026年9月15日 日本交通)
- Uber「Uber、ロボタクシー試験運行の運行パートナーとして、日の丸交通と合意」(2026年8月13日) Uber ニュースルーム
- 電脳交通「自動運転 遠隔監視センター」設立(2026年1月8日) PR TIMES
- newmo「Autonomy Garage Tokyo」開設(2026年5月29日) PR TIMES
- 本田技研工業「日本での自動運転タクシーサービスを2026年初頭に開始予定」(2023年10月19日) global.honda
- デジタル庁 第14回モビリティワーキンググループ 事務局資料2「先行的事業化地域の採択地域について」 digital.go.jp(PDF)
引用について
引用は原文の一部を抜き出したもので、「…」は途中を省いた箇所です。発言の前後の文脈は、各出典のリンク先で確認してください。



