北海道のタクシー運転手の年収|結論

この記事の結論

北海道のタクシー運転者の年間推計額は420万3,200円で、道内の営業用トラックとほぼ同じ水準です(令和7年賃金構造基本統計調査から本記事が計算)。同じ統計の道内のバス運転者は478万3,000円、営業用大型トラックは419万8,400円、営業用中小型トラックは422万2,900円です。
全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると47都道府県の8位で、北海道の全産業労働者との差46万2,400円は47都道府県で最も小さい差です。
ただし月間労働時間は223時間と長く、1時間あたりでは約1,571円です。年収は令和5年366万4,000円、令和6年327万4,600円、令和7年420万3,200円と大きく動いていますが、1時間あたりは3年とも約1,540〜1,570円でほとんど変わっていません。
2025年12月から2026年7月にかけて、札幌・小樽地区(改定率10.04%)をはじめ道内8地区で運賃改定が実施され、北海道運輸局の算定ではいずれも歩合給による運転者人件費の増加が見込まれています。

北海道でタクシーの仕事を考えるとき、「道内の他の運転の仕事と比べて稼げるのか」「年によって数字が大きく違うのはなぜか」「相次ぐ運賃改定で収入は変わるのか」が気になるところです。

この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の都道府県別の職種表(令和5〜7年)、全タク連の集計資料、北海道運輸局の運賃改定の公表資料、国土交通省の準特定地域の速報値、道内で採用している会社の公式募集要項という一次情報だけで、北海道のタクシー運転者の収入を整理します。札幌の会社ごとの給与保証や二種免許の養成制度は札幌のタクシー会社比較で詳しく比べているので、ここでは年収と売上の数字に絞ります。

道内の運転の仕事と比べる|タクシーはトラックと横並び、バスが最も高い

令和7年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(都道府県別第3表)の北海道の欄から、自動車運転の職種を並べました。年間推計額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」、1時間あたりは年間推計額を月間実労働時間(所定内+超過)の12倍で割った本記事の計算値です。

職種(北海道)平均年齢勤続年数月間実労働時間きまって支給する現金給与額(月)年間賞与年間推計額1時間あたり
タクシー運転者54.5歳8.5年223時間343,100円86,000円4,203,200円約1,571円
バス運転者55.8歳14.6年198時間321,100円929,800円4,783,000円約2,013円
営業用大型貨物自動車運転者55.1歳14.9年205時間319,900円359,600円4,198,400円約1,707円
営業用貨物自動車運転者(大型車を除く)46.6歳12.9年199時間310,400円498,100円4,222,900円約1,768円

北海道では、タクシーの年間推計額は大型トラックとほぼ同額(4,800円高い)、中小型トラックより1万9,700円低く、バスより57万9,800円低い結果です。毎月の給与(きまって支給する額)はタクシーが4職種で最も高い一方、年間賞与が8万6,000円と少ないため、賞与の多いバスに年収で差を付けられています。全国でもタクシー・バス・中小型トラックがほぼ横並びという構図があり(タクシー・バス・トラックの年収比較)、北海道はバスが一段高い点が違います。

注意したいのは労働時間です。北海道のタクシー運転者の月間実労働時間223時間は4職種で最も長く、全タク連の第4表でも山口県(224時間)に次いで長い時間です。そのため1時間あたりでは約1,571円と、4職種で最も低くなります。

全タク連の第4表の年間推計額を本記事で並べ替えると、北海道のタクシー運転者は47都道府県で8位(全国行を除く)です。北海道の全産業労働者の年間推計額466万5,600円との差は46万2,400円で、全国平均の差94万7,400円の半分以下、47都道府県で最も小さい差でした。これは北海道の全産業の年収が全国(545万5,600円)より低いことも影響しています。

給与の中身|所定内26.1万円、超過分8.2万円、賞与は年収の約2%

同じ表で、北海道のタクシー運転者の所定内給与額は26万1,100円、時間外・深夜手当などの超過労働給与額(きまって支給する額との差)は8万2,000円です。超過実労働時間が月43時間あり、毎月の給与の約4分の1が超過分にあたります。年間賞与8万6,000円は年収の約2.0%で、全国のタクシー運転者(約4.4%)より毎月の給与に重心があります。歩合給の計算の仕組みはタクシーの歩合給の計算と足切りで解説しています。

3年間の推移|年収は大きく動くが、1時間あたりはほぼ一定

令和5年・6年・7年の同じ表から、北海道のタクシー運転者の数字を並べます。推計労働者数は表の「労働者数(十人単位)」を10倍した値、1時間あたりは本記事の計算値です。

調査年年間推計額きまって支給する現金給与額(月)年間賞与月間実労働時間1時間あたり平均年齢勤続年数推計労働者数
令和5年3,664,000円298,400円83,200円196時間約1,558円62.0歳10.9年約1万8,760人
令和6年3,274,600円262,900円119,800円177時間約1,542円65.4歳12.6年約7,590人
令和7年4,203,200円343,100円86,000円223時間約1,571円54.5歳8.5年約9,520人

年収は令和6年に前年比10.6%減、令和7年に前年比28.4%増(92万8,600円増)と大きく動いています(両年の統計から本記事が計算)。しかし1時間あたりは3年とも約1,540〜1,570円で、令和6年から7年の伸びは約1.9%にとどまります。年収の増減の大部分は、月間実労働時間が177時間から223時間に増えたことで説明できます。

平均年齢も65.4歳から54.5歳へ10歳以上若くなり、推計労働者数も年によって約7,590人から約1万8,760人まで変わっています。この統計は毎年6月分の給与を企業規模10人以上の事業所から標本で調べたもので、全タク連も資料の注1で、タクシー運転者にかかわる調査対象事業所数は限られており、各都道府県の実情が正確に反映されていない可能性に留意が必要としています。単年の増減より、1時間あたりの水準と労働時間を合わせて見るのが実態に近い読み方です。

なお、全タク連の資料の第4表にある「対前年増減」の列は、年収の増減ではなく「全産業との格差」の前年からの増減です(北海道は格差が令和6年の117万1,500円から46万2,400円に縮小し、-70万9,100円)。年収の前年比は、上の表のように各年の統計を直接比べてください。

2025〜2026年の運賃改定|道内8地区で改定率10〜18%

北海道運輸局の報道発表で確認できた、2025年12月から2026年7月までの道内のタクシー運賃改定です。いずれも令和7年の賃金構造基本統計調査(2025年6月分)より後の改定で、上の年収の数字にはまだ反映されていません。

地区実施日改定率普通車の新しい上限運賃運送原価に占める人件費の割合(令和6年度実績/改定後の見込み)
函館A地区2025年12月1日12.68%初乗り1.35km 700円、加算267mごと100円63.86%/65.47%
帯広地区2025年12月1日10.07%初乗り1.4km 760円、加算226mごと80円60.34%/59.71%
札幌・小樽地区2025年12月17日10.04%初乗り1.05km 600円、加算272mごと100円66.54%/69.78%
室蘭地区2026年3月27日10.52%初乗り1.3km 700円、加算275mごと100円63.66%/65.53%
旭川地区2026年4月13日18.08%初乗り1.31km 750円、加算281mごと100円59.23%/63.17%
釧路地区2026年4月13日10.27%初乗り1.4km 800円、加算259mごと100円60.67%/63.05%
北見地区2026年6月12日12.23%初乗り1.4km 750円、加算293mごと100円64.25%/66.32%
千歳・空知・後志地区2026年7月10日13.61%初乗り1.4km 740円、加算293mごと100円63.08%/65.12%

(人件費の割合は、各公表資料の「タクシー事業の収支実績及び推定収支」の運送費の人件費の構成比。改定後の額には、どの地区も「歩合給による運転者人件費の増加を見込んだ額」と注記されています)

北海道運輸局は改定の理由を「労働条件の改善や物価の高騰などに対応するため」と説明しています。札幌・小樽、帯広、室蘭、旭川、釧路、北見、千歳・空知・後志の各地区では、改定に合わせて冬期割増2割を適用できるようになり(それまでは地区の一部の地域だけ、または適用なし)、改定率にはその増収分が含まれています(旭川地区は11月25日〜翌年3月31日、それ以外は12月10日〜翌年3月26日)。運賃改定と収入の関係はタクシーの運賃改定と収入で整理しています。

札幌・小樽地区の算定|運転者人件費は約7.4億円の増加を見込む

札幌・小樽地区の公表資料(原価計算対象17社)では、運送費の人件費は令和6年度実績で90億9,543万9千円、令和8年度の査定(改定前)で101億5,306万4千円、運賃改定後で108億9,513万円とされ、改定後は査定から約7億4,207万円(約7.3%)増える見込みです。運送収入は査定の138億3,769万円から改定後152億2,707万円に増える計算で、増収分の多くが歩合給を通じて運転者に回る前提で原価が組まれていることが分かります。札幌・小樽地区は今回の改定で旧札幌A地区(札幌交通圏)と旧札幌B地区(小樽市)の運賃が一本化され、改定申請は地区の53事業者のうち38事業者・3,739両(申請率82.87%)から出されました。

ただし、運賃の上昇分がどのように乗務員の給与に配分されるかは各社の賃金規定で決まります。統計で効果を確かめられるのは、改定後の賃金構造基本統計調査(令和8年分以降)を待つ必要があります。

売上の側から見る|札幌交通圏の日車営収は3万8,136円

国土交通省が2024年7月に公表した準特定地域の速報値から、道内の交通圏の日車営収(1日1車あたりの営業収入)を抜き出しました。令和5年度の数字で、上の運賃改定より前のものです。

交通圏(準特定地域)平成13年度令和5年度令和5年度の日車実車キロ
札幌交通圏37,866円38,136円87.2km
釧路交通圏23,094円29,479円68.7km
帯広交通圏23,478円26,417円65.5km
旭川交通圏24,044円26,279円66.2km
函館交通圏25,680円24,975円63.7km
北見交通圏29,752円24,144円60.1km
小樽市30,173円23,405円73.4km

札幌交通圏の3万8,136円は道内の他の交通圏より1万円前後高く、同じ北海道でも札幌と地方都市では1台あたりの売上に大きな差があります。一方、同じ資料の東京の特別区・武三交通圏は6万1,443円で、札幌との差は約2万3,000円あります。賃金構造基本統計調査の北海道の年収は道全体の値で、札幌市だけの年収は公表されていないため、地域ごとの違いはこうした売上の数字で補って見る必要があります。

道内で採用している会社が公表している給与の形

札幌市内に営業所があり、公式の募集要項に給与の仕組みや収入の実績を載せている会社の例です(2026年10月閲覧)。統計の平均と会社の公表値の違いを知るための参考で、順位付けではありません。

会社給与の仕組み(公表どおり)公表している収入・保障
札幌エムケイ(白石営業所)月給18万6,060円+各種手当(残業・深夜)+業績給与2025年の平均年収実績:タクシー乗務員505万円、ハイヤー乗務員606万円(全従業員平均540万円)。入社後6か月間は月給35万円(昼夜交代勤務)・30万円(昼専属勤務)を保障(規定あり)
SKタクシーグループ(三和交通)歩合制:売上の50〜55%乗務開始から6か月間 夜勤35万円・日勤25万円の賃金保障(規定あり)。収入の実績は公表なし
札幌第一交通(第一交通産業グループ)基本給+固定残業代+業績歩合給保証給制度あり(金額は公表なし)。賞与年2回、退職金制度(勤続2年以上)

収入の実績を数字で公表しているのは札幌エムケイだけで、タクシー乗務員の平均年収505万円は統計上の北海道の平均(420万3,200円)より高い水準です。ただし会社の平均は勤務形態や乗務日数によって変わり、統計とは対象も集計方法も異なります。SKタクシーグループのような歩合率の公表がある会社は、売上から給与の目安を自分で計算できます。

各社の保障期間・二種免許の費用・勤務時間の比較は札幌のタクシー会社比較にまとめています。会社別にはエムケイ(MKタクシー)・第一交通産業のページからも確認できます。

北海道でタクシーの求人を比べるときの確認項目

  1. 営業区域:札幌交通圏と地方の交通圏では、日車営収に1万円前後の差があります(国土交通省の令和5年度速報値)。
  2. 労働時間と給与の関係:北海道は月の労働時間が長い傾向があります。月給の額だけでなく、乗務回数・勤務時間と合わせて比べてください。
  3. 運賃改定後の賃金規定:2025年12月以降の改定の後、歩合率や保障額が変わったかどうか。
  4. 冬期割増の扱い:冬期割増を適用しているか、その分が歩合給にどう反映されるか。
  5. 賞与の有無と算定方法:統計上の北海道の賞与は年8万6,000円と少なめです。賞与の制度がある会社は、固定額か売上連動かを確認してください。

勤務形態のルールはタクシーの隔日勤務とはと夜勤と日勤の違い、保障の読み方はタクシーの給与保証の仕組みを参考にしてください。他の都府県との比較はタクシー運転手の年収(都道府県別)にあります。道内の求人は北海道のタクシー求人、札幌市に絞るなら札幌市のタクシー求人、二種免許の取得費用を会社が負担する求人は二種免許養成制度ありの求人から探せます。

出典・一次情報

本記事の数字は、次の公表資料に基づいています(いずれも2026年10月閲覧)。年間推計額・1時間あたり・差額・前年比・割合は、公表値から本記事が計算したものです。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和5年・6年・7年)一般労働者 都道府県別第3表(都道府県、職種(特掲)、性別) e-Stat(令和7年)/e-Stat(令和6年)/e-Stat(令和5年)
  • 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「『令和7年賃金構造基本統計調査』によるタクシー運転者の現況」(令和8年5月、2026年10月6日付の【最新版】)第4表・注1 taxi-japan.or.jp(PDF)
  • 北海道運輸局 報道発表「12月17日より札幌・小樽地区のタクシー運賃が変わります ~新運賃の公表について~」(2025年11月17日、別紙 収支実績及び推定収支) wwwtb.mlit.go.jp(PDF)
  • 北海道運輸局 報道発表 函館A地区(2025年10月31日) PDF/帯広地区(2025年10月31日) PDF/室蘭地区(2026年2月20日) PDF/旭川地区(2026年3月3日) PDF/釧路地区(2026年3月3日) PDF/北見地区(2026年5月8日) PDF/千歳・空知・後志地区(2026年6月2日) PDF(いずれも「〇月〇日から〇〇地区のタクシー運賃が変わります~新運賃の公表について~」)
  • 国土交通省「タクシー事業の準特定地域における輸送実績(速報値)の公表について」(2024年7月31日、準特定地域における令和5年度速報値) mlit.go.jp
  • 札幌エムケイ株式会社 採用サイト 白石営業所 募集要項 sapporomk-recruit.jp
  • SKタクシーグループ 採用情報 sk-sanwa.jp/三和交通 募集要項 sk-taxi.or.jp
  • 第一交通産業グループ 求人サイト「WAY」 recruit.way-taxi.net/札幌第一交通 夜勤タクシードライバー募集要項 no1-taxi.saiyo-job.jp

数字の範囲について

賃金構造基本統計調査の北海道の数字は道全体の値で、札幌市など市単位の年収は公表されていません。対象は企業規模10人以上の企業で働く一般労働者で、個人タクシーは含みません。額は税・社会保険料を引く前の額面です。準特定地域の日車営収は運賃改定前の令和5年度の速報値です。会社の公表条件は閲覧日時点のもので、営業所や勤務形態によって異なる場合があります。